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拡張計画を立てる前に現状の問題点洗い出し

この物語は、もしも

「科学的な要望より先に政治的な理由で日本が有人宇宙飛行船を運用」

というシチュエーションでのシミュレーション小説です。

2021年頃の各国をモデルにし、組織名もそのままだが、

個人や計画そのものにモデルはあっても、実在のものではない、

あくまでも架空の物語として読んで下さい。

現在「こうのす」は8機のモジュールが接続されている。

モジュールを接続出来るポートはそれで全て。

もう追加でドッキングする余地が無い。

にも関わらず、やりたい事は多い。

例えば浴室モジュールを取り付けたい。

例えば人工重力を使った苗代及び温室モジュールで生産力を上げたい。

例えば無重力手術室を設置したい、病人はいないが。

例えば鶏舎を置いて、宇宙でも卵を得る、及び余った食材を食べてくれる動物を連れて行きたい。

例えば生け簀……もとい本格的アクアリウムを接続し、癒しと食糧生産をしたい。

例えばビバリウム(テラリウム)をもってより地球環境の再現実験をしたい。

等等モジュールのアイデアは局内でも出ている。

これに外部から

「大統りょ……もとい貴賓室があっても良いな」

「観光客用のスイートルームが有れば良い。

 今の『アネックス』でもプライベート的には問題がある」

「映画撮影したいから、宇宙戦艦の艦橋(ブリッジ)模したセットを」

「放送用のブースを」

「こちらでも農業用モジュール用意するからよろしく」

等といった要望が出ていた。


ドッキング出来る場所がない。

一時的な駐機は可能だが、恒久的な接続は出来ない。

同じ軌道を周回させ、必要な時にドッキングする、そんな事も考えたが

「これ全部打ち上げたら、流石に衝突のリスクを常に抱えてしまう」

ので、その方式には限界があった。


ドッキングポートを増設する。

一番簡単そうに見えるが、そうはいかない。

宇宙ステーションに限らず建造物は、建造開始前には既に完成した場合の想定が成されている。

出来てから「あれ?ちょっと不便だ」は過去の話。

あるいは余程出来の良くない工務店か。

設計時に人や物の動きや配置、使い勝手を考える。

「こうのす」は現在の形が最適なものとして、電源ユニットや酸素供給及び空気循環の配管が成されている。

3機目の「コア3」を接続する案が出ていたが、保留となった。

「コア3」は現在のコア1・コア2と直列に接続され、やはり上下左右4個所の接続ポートを持つ。

直列接続だと、30メートルの長さになって、ちょっと細長くなり過ぎる。

これの何が問題かというと、低軌道を周回する「こうのす」は、微少ながら空気分子との衝突で少しずつ速度を落として高度が下がる為、頻繁に再加速(ブースト)して軌道を押し上げているのだが、その際の重心位置計算に影響が出るのだ。

「こうのす」はほぼ完全対称である。

前後、上下左右、回転対称な設計である。

たまに重量が違うモジュールを接続した関係で、バランスを取るべく接続し直すが、2コア8ユニットから3コア12ユニットになると計算が複雑になる。

また、コア3の先にあるユニットをコア1側に移動させる際も、移動距離が長い分難しくなる。

ロボットアームでの手渡しもしづらい。

また、電源こと太陽電池についても問題が発生する。

現在の太陽電池は8モジュールに輸送機が1機接続して、電気供給出来るように計算されていた。

これにあと4モジュール追加となると、電力が不足する。

ではコア3にも太陽電池パネルを付ければ良い。

この場合、影が出来て後方の太陽電池の発電量を落とさないよう設計し直す。


更に、人員の問題も発生する。

現在、2コア8ユニット2帰還船という宇宙ステーションに、6人が3ヶ月常駐している。

一回で運び込んだ物資で、無補給生活をするにはそれくらいで限界だ。

もっと長期間宇宙滞在をするISSの場合、常駐人数の方を減らしている。

これを3コア12ユニット2帰還船という構成に変えてみる。

6人にしては広いし、使っていないユニットが多過ぎる。

実際、アメリカ単独で「こうのす」を利用した時、使用しないモジュールへのハッチは閉め、監視モードにしていた。

空気の循環と通電とモニター監視はするが、その他の電源は落とされる。

使わないし、入らないのだからそれで良い。

フルに使用状態にしていると、それだけで電力ロスと熱の発生が起こるから、休眠状態は必要だ。

そうして大量にモジュールをくっつけておきながら、人数的に全部使用しないので半分以上閉鎖する、それだったら現状のユニット構成で問題ないとなる。

実際には6人が半年、他に短期滞在が頻繁に来るという使われ方となる。

通常期と繁忙期で人数が倍近く変わる。

接続モジュールを使っている時と使わない時が出来てしまう。

秋山は南極基地を参考に、夏隊のような短期滞在者が居る期間と、越冬隊こと長期滞在隊だけでほぼ無補給で生活する期間に分けようかと考えている。

使ったり使わなかったりよりもメンテナンスも省電力もしやすいだろう。

これについても話し合おうか。


続いて物資備蓄の問題。

NASAの方から「半年は長期滞在にしてみないか」と言われた。

滞在期間が倍になれば、持ち込む物資の量も倍になる。

その上、短期滞在も受け入れるとなると、倉庫の容積を増やさねばなるまい。

輸送機の打ち上げ頻度を上げるのも、ちょっとどうかと思う。

基本的には「宇宙ステーションだけでの地産地消」なのだし、最初に持ち込むのは良いとして、そう何度も補給を受けるのは方針に反する。

そもそも、月ならともかく、火星までの2年半の旅で、頻繁に補給を受ける等まず無理だ。

極地方式、通過するであろう場所で会合出来るよう物資備蓄基地(デポ)を予め軌道に乗せて置き、通過する度にそこから物資を受け取り、廃棄物を詰めて捨てるというやり方も考えられなくはない。

それはNASAが決める事だ。

まずは無補給で一定期間生活が出来るかを試す。

そうなると

「4つある新ポートの内、1個には倉庫もしくは輸送機をそのまま繋げて、物資の備蓄場所にしておかないとダメですかね。

 コア3を繋いでも、3機分のポートしか増えないって事にもなりますか」

ではコア4を?

同じ問題を再生産するだけである。


空気の循環、水の処理、冷却問題、他にも何か有るか?

これらの問題を解決して、拡張計画を立てよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 地球挟んだ反対側にもう1つ浮かばせとけばいいんじゃないかな(無理解)
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