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ヲタク気質が日本にしか無いと思ったら大間違いだ

この物語は、もしも

「科学的な要望より先に政治的な理由で日本が有人宇宙飛行船を運用」

というシチュエーションでのシミュレーション小説です。

2021年頃の各国をモデルにし、組織名もそのままだが、

個人や計画そのものにモデルはあっても、実在のものではない、

あくまでも架空の物語として読んで下さい。

NASAとの定時連絡会で、コア3の話を打診した時、NASAの反応は

「ナイスジョーク!」

だった。

「いや、ジョークではなく……」

「ジョークだよな、ミスターアキヤマ。

 ジョークだと言い給え。

 こんなの手に負える訳無いではないか。

 ハハハ、日本人もジョークが上手くなったものだ」

荒唐無稽と実現可能の境界線の案件、そして面倒臭い、ジョークで片づけたいのだ。


この日本の計画が漏れる。

漏れるというのは正確ではないか。

連絡会はNASAとJAXAの職員だけでなく、協力企業や大学、他国の機関も含めて行われる。

オブザーバー参加だったりするも、話は聞こえているのだ。

やってみたいという物好きも多いのだ。


科学の世界に「イグノーベル賞」というものがある。

冗談みたいな研究を真面目に分析、論文化や製品化した、所謂「裏ノーベル賞」。

日本人はこの常連として知られる。

だが、日本人だけが多い訳ではない。

アメリカ人の受賞者は日本人以上に多いのだ。

そして日米と共に多いのは、パンジャンドラムとか氷山空母ハボクックとかマーマイトとかを考え付くイギリスである。

要は、知的好奇心と生活に困らないだけの経済的余裕があり、斜め上にぶっ飛ぶ変人の存在を許容する国ばかりという事だ。

変態3強の一角アメリカには、JAXAの計画を聞いて刺激を受ける者たちが多く存在するのだ。


「……事情が変わったよ、ミスターアキヤマ」

NASAのカウンターパートがこめかみを揉みながら話す。

「事情?

 何のですか?」

「以前言っていた君の国の地球環境再現型宇宙ステーション、協力希望者が多数出てね。

 宇宙企業の中にも、興味を持ったとこが数社ある。

 そして大統領も『やり給え』と言って来た」

「興味を持った企業の事はさておき、どうして大統領が??」

「スペースコロニーについて主導権を渡すな、との事だ。

 日本が実験をするなら、必ず絡め、と。

 それとオニール型とスタンフォード・トーラスのどちらが良いか調べろ、とね」

「……言っちゃなんですが、そういう事情を教えて良いのですか?

 アメリカが主導権握るって裏側の事情ですよね?」

「スペースコロニーなんて、あと百年かかっても完成しないよ。

 1Gの重力を作るサイズのスペースコロニーを作るだけの物資を、地球から宇宙に運ぶのにどれだけのロケットが必要だと思う?

 月や火星に居住する基地を作る事は出来ても、人工の大地を宇宙に浮かべる事は1世紀以上先になるだろうな。

 今の時点でどっちが主導権とか、ナンセンスだよ」

「ですが、協力はしてくれるんですよね?」

「協力させて貰おう。

 ま、いただくものはいただくがね」

「何が望みなんですか?」

「重力区画を動かす非接触型磁気回転方式についてだよ。

 リニアモーターカーの仕組みを利用するんだろ?

 こちらで製造する以上、技術はいただくよ」

「……まだ決定もしてないのに、その方式をどこから聞きましたか?

 って愚問でしたね。

 うち(JAXA)にはそちら(NASA)からの派遣職員が多数いますからね」

「そういう事だ。

 気を付け給え。

 君の部下と我々の派遣職員は手を組んで、色々画策しておるぞ。

 上司である我々に伝わって来た時には、もっと先に進んでいる」

「もしかして、貴方も出し抜かれた口とか?」

「……その通りだよ。

 そもそもこんな妄想じみた計画、承認する気が無かったのは君も知っているだろう。

 積極的に漏洩(リーク)し、自分の願望込みで構想を伝えた結果、期待が独り歩きしている」

「だからか……」

お互い溜息を吐きながら通信を切った。


オニール型というのはアニメで有名なシリンダー型である。

スタンフォード・トーラスも有名なドーナツ型である。

NASAからの派遣職員から漏れ出た情報を元に、アメリカの民間研究者や大学生は

「日本が遠心力を使った人工重力モジュールを作るそうだ。

 遠心力は回転半径が長い程、回転速度を抑える事が出来る。

 だからトーラス型のように、中心のコアユニットから支柱で遠くに置いて回転させよう」

「だが、日本に限らず我々アメリカでもドーナツのように円周全てを作るのは困難だ。

 一部だけで実験した方が良いな」

「観覧車のようにフレームをつけて、そこにゴンドラ代わりに与圧室をつける」

「観覧車か……。

 あれは直径100メートルくらいだな。

 それだと……」

「毎分5回転で1Gになる」

「いやあ、それだと酔うな。

 直径500メートルくらいにしよう。

 全周作る必要は無いから」

「それだと毎分2回転で1Gになるな。

 それで行こう!」

JAXAにもNASAにも相談せず、構想ばかりエスカレートし、設計図が何種類も書き上がって送信されて来る。

「直径500メートルで観覧車を作るような金属フレームの先に与圧室を両側に3基ずつ置く。

 そこまでの移動はカプセル状のリフトで移動する。

 将来の事を踏まえて全周用のフレームを作成する。

 無理だな。

 ISSだって全幅108.5メートルに過ぎないじゃないか。

 どうやって500メートルに届く金属フレームを組み立てるに足る資材を運搬するんだ……」

なお、ISSの建築構造(トラス)を運搬するのに、低軌道へ24トンの物資を運べるスペースシャトル打ち上げが9年で11回であった。

単純計算で5倍の資材を使うと仮定して、低軌道に約20トン級のロケット66回の打ち上げを必要とする。

日米欧露で分割しても16~17回の打ち上げとなる。

打ち上げペースで考えて13年以上先の完成となろう。

そこまで長く「こうのす」を運用する予定は無い。

それでも日米問わず、妄想するだけなら自由なのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ワイヤーでぶん回せばいけるいける(無謀) ほら将来軌道エレベーターに流用できる(はず)
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