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引っ越しは1人じゃ辛いよ、大人数が必要だよ

この物語は、もしも

「科学的な要望より先に政治的な理由で日本が有人宇宙飛行船を運用」

というシチュエーションでのシミュレーション小説です。

2021年頃の各国をモデルにし、組織名もそのままだが、

個人や計画そのものにモデルはあっても、実在のものではない、

あくまでも架空の物語として読んで下さい。

現在の日本独自宇宙ステーション「こうのす」の構成は

コア1結合

・ジェミニ改(井之頭船長機)+「のすり」

・旧「こうのとり改」+「のすり」:船長個室と倉庫

・「でんえん」:土壌農耕モジュール

・「ビストロ・エール」+船外倉庫:厨房モジュール

・「うみつばめ」:多目的ドッキングモジュール(フェーズ3で結合)


コア2結合

・ジェミニ改(山口船長機)+「のすり」

・「かるがも」:水耕モジュール

・「おうる」:化学・物理実験モジュール

・「ホルス」:米製多目的観測モジュール(フェーズ3で結合)

・空:輸送機HTV-Xがドッキングしている


コア2増設

・軟式拡張与圧室


となっている。

コア2には予備のドッキングポート(結合のみで、電気供給無し)があと1基空きがあった。


コア1の「うみつばめ」がドッキングしていたポートには、フェーズ1で簡易物理・化学実験モジュールに改装された「のすり」と簡易水耕モジュールに充てられた「のすり」(2機目)が直列結合されていたが、役目を終えて投棄されている。

今回も役目を終えた実験ラックはモジュールに入れられて廃棄される。


「さて不要品は投棄機に積み込もう。

 貯めておくと後から辛いぞ」

船長の発破で動き出す。


無重力とはいえ、質量は存在する。

動かして慣性がついてしまえば、重い物ほど止めづらい。

重いものは、結局複数人で運搬する。


物資のリサイクルが基本の宇宙ステーションではゴミは少ない。

例えば、ジャガイモを収穫した際、洗った水は再利用され、剥いた皮は肥料に処理されて土壌に戻る。

だが、塩素錠剤を入れていた瓶や、残飯を攪拌・粉砕するのに使用する(ブレード)が欠けたらゴミになる。

物理・化学モジュールは研究ラック式であり、終わった実験用ラックは取り外し、新しい実験用ラックの為に空けておく。

汚水処理で、どうしても残ってしまうものが出る。


「クリスマスツリーとか簡易神社とか雛人形とか、ゴミになっちゃいましたね」

「え? 神社は捨てないでしょ。

 残していくでしょ」

「残されても迷惑なのでは?

 次の居住者、日本人だけじゃないんですよ」

「でも、軍艦や護衛艦にも外国人乗ったりするけど、航海安全の神社はそのまま残しているでしょ?」

「いや、軍艦は軍艦、宇宙船は宇宙船ですよ」

見解が分かれた時は地上に聞く。


『神社は残して下さい、どうぞ』

「了解……ですが理由を聞きたいものです、どうぞ」

『初代”はやぶさ”の中和機が故障した時は”中和(ちゅうか)神社”に参拝しました。

 ”はやぶさ2”の時は新田稲荷神社でミッション成功祈願祭をしました。

 科学の最先端だからこそ成功を期したいので、運行の無事を祈る神社はそのままにして下さい。

 とのディレクター指示です、どうぞ』

「言いたい事は多数ありますが、理由としては納得出来ました、どうぞ」


こういう訳で、「こうのす神社」はそのまま置かれる事となった。

ただし、コア1から船長室入り口そばに移される。


「で、このお札は?」

「焼却処分」

「いいですか?」

「第三次隊が新しいお札貰ってくるそうです」

他のミッションスペシャリストたちがぶつくさ言いながら片付けている中、山口船長はちょっと嬉しかった。

(この「神社 木製模型」から「こうのす神社」作ったのは自分だし、あっさり捨てられたらちょっと残念だったからね)

無神論者に近い科学の使徒ミッションスペシャリストに対し、運用責任者(アストロノート)は神仏に頼みたいような部分も有ったりするのだ。


生活ゴミは石田船務長の独壇場である。

主婦に頼み込んで宇宙に来て貰っただけの事ある。

料理と共にキッチンの片づけは済んでいる。

一日の生活の後には、ゴミはとっくに分別済みになっている。

自治体のゴミ袋ではなく、宇宙ステーション用の貨物パックに詰められてネットに挟んでおく。

予めHTV-Xの補給物資で、これから使う物を拡張与圧室に運び込み、空いたHTV-Xには廃棄予定の物を積み込んでいったから、改めて捨てる為にHTV-Xに持っていくゴミは近々で生活で発生したものだけだ。


宇宙飛行士、特に軍人上がりだとこういう無駄の無い生活は訓練で出来るようになるまでしごける。

だが、研究者や技術者を打ち上げる、更にはISSよりも敷居を下げるのであれば、こういう生活全般のプロフェッショナルが一人居た方が良いかも、と山口船長は思った。

宇宙ステーションのように多くても20人も生活しない環境はともかく、今後月基地や火星基地を作り、恒常的に数十名を常駐させる時代が来たならば、生活班というのは必要になるかもしれない。


宇宙ステーション全体の廃棄物処理が終わると、今度は個々の飛行士の荷物の整頓である。

大した量のゴミが有る訳でもない。

それでも3ヶ月ちょっと生活した個室の中の荷物を整理し、不要な物はゴミとして袋詰めしてHTV-Xに運び入れ、持ち帰る物はコンパクトにまとめる。

現在の宇宙技術において、持ち込む量は数トンでも大丈夫だが、持ち帰る量は1トン未満、多くて数百kg、少ない場合は数十kgしか大気圏再突入用カプセルに持ち込めないアンバランスな状況がある。

スペースシャトル退役後に起こった問題だ。

(早く日本も有翼機を使って、持ち帰る量、手っ取り早く回収出来る仕組みが欲しいな)

と思う山口船長であった。


かくして第二次隊帰還の日は迫る。

先日作者、16年住んだ賃貸から引っ越しをしまして、

1人暮らしでの引っ越しって大変だな

ってのが今回のネタ元でした。

今日も今日で、引っ越し後の諸々の用事があって更新遅れてしまいました…。

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