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第76話 虚偽報告

西丘が仕掛けた自分の為の快楽計略が大失敗。

これを探偵事務所の所長に報告出来るわけがない。

しかも、所長の方でも彩を捜索している。そのうち発見されて、自分が脅したことがバレてしまうかもしれない。


そうなったら大変だ。

西丘は自分の過失を消す為に、ホテルに帰ってから考えた。

ベッドに座ったり立ったりを繰り返し、ようやく考えたことを紙にまとめ所長の丹高に連絡をした。


「西丘くんか? どうした? 休暇を楽しんでおるかね?」

「ええ。楽しませて頂いております。それでですね」


「どうかしたか?」

「偶然にも、家出人捜索依頼にあった多村彩さまと接触出来まして」


「おお! すごいじゃないか!」

「それがですねぇ……」


「ん? どうした」

「私も精一杯、彩さまを説得したのですが、どうやら新しい男性とともに生活をしているようでして、探さないで欲しいとのご希望なのです。過去を隠して新しい人生を再出発したいらしくて……」


「なんと、そうか……。それは彼女の心情も事情もあるだろうなぁ」

「そうなんです。それで捜索を打ち切って欲しいとの願いを所長から多村さまへお伝え願いたいのですが……」


「そうか……」

「はい」


「やむを得まい」

「はい」


西丘は電話を切り、早々に身支度を済ませ町から出て行った。




彩は、神社の敷地内で震えていた。

終わった舌戦。途端に緊張もほぐれた。

そして、鷹也が新しい女性と結婚することを思い出し、神社のお社に寄りかかって静かに泣いた。

自分の過去を悔やんだ。


ひとしきり泣いて買い物がまだだったと思い、神社から出てスーパーへ向かおうとした。

だが、お社の角を曲がると賽銭箱のところに矢間原が立っていた。


彩は驚いて立ち止まると、矢間原も彩から目をそらした。


「聞いていたんですか?」

「ハイ……」


「そういうことなんです。私、汚い女なんです」

「………………」


矢間原は顔をそらしたままだった。

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