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第42話 冷たい亡骸

絶句……。


言葉を失った……。


鈴に言えるわけが無い。


思い詰めたのだろう。

思い詰めてしまったのだろう。


彼女を殺したのは誰だ?


それは自分だ。


幸せの為に働いて結果彼女を殺した。



軽自動車が日本海側に向かって走って行く。

鈴は母親に頼んだ。

見せられるわけが無い。

母親の変わってしまった姿を。


警察署の安置所に白い布をかけられた彼女の遺体があった。

冷たい部屋。ここが彼女の最後の部屋なんてあんまりだ。

寂しい部屋だ。彼女の持ち物などどこにもない。


担当の警察官が顔にかけられたその布を取る。

損傷しており、顔の形が変わっている。

愛した妻かどうかは判別がつかない。

だが背格好から彩のようだった。


警察官が彼女の持ち物を出して来た。


「手掛かりが少なかったのですが、所持品にキャッシュカードがありました。オオムラアヤコさんで間違いないですね」


「え?」


慌ててそのカードを取り、名前の欄を見てみた。カタカナだが“オオムラアヤコ”と書いてある。

鷹也は、そのキャッシュカードを警察官の胸に押し付けた。


「ウチの妻は多村彩です。“子”はありません」

「え?」


警察官はすぐに調べに行った。

そして戻って来ると男に向かって大きくお辞儀をした。


「……スイマセンでした……」


鷹也は警察署を出て、「税金ドロボー!」と叫んだ。

だが口はニヤけてしまう。

間違いであった事にホッとした。


すぐに母親に電話をして安心をさせた。

帰り道は早かった。早く鈴に会いたい。

そして、まだ彩が生きている望みがある。


彩とまた会える日が来るかもしれないという気持ちで一杯だった。

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