13話:屋上での一幕
秋月の醜態を見届けた俺と奏音は、立ち入り禁止の屋上に来ていた。
復讐を終え、クラスメイトからの信頼を取り戻し、俺たちは明るみに満ちた街並みを一望する。
「復讐……終わったな…」
前にこうして屋上に来たのは、奏音を探す為だった。秋月に罵倒され、復讐を諦めかけていた奏音を呼び戻すために、俺は必死に声をかけた。
「そうね……」
けれど今の奏音には、そんな面影はない。むしろ、復讐を終えたことに清々しさを感じているようだった。ふと横目に入った彼女の横顔は、凛と日に照らされて美しい。
無事……とは言えないが、なんとかやり遂げた。
その事実は俺たちの頭に溶け込み、達成感を与えた。無謀な復讐という目標も、主に奏音のお陰で現実となった。
「――ありがとね」
俺が放とうと思った言葉は、先に奏音の口から飛び出す。
「こちらこそ、ありがとう」
彼女の礼を受け止めた上で、俺は付け足す。
「でも、俺……あんまり活躍できなかったな」
奏音に任せっきりになってしまった、そう自覚していたが故の一言。対等に礼を投げ合うのは、どこか彼女に申し訳なかった。
「そんなことないわよ」
あんたは十分力になってくれた、と奏音は続ける。
「威勢よく復讐を誓っただけで……別に俺は何も…」
謙遜ではない。真っ当な俺自身の意見だった。復讐してやると誓ったものの、自らの手で策を考え、千冬に制裁を下した覚えはない。
全部奏音のお陰。奏音がいたから千冬は教室を飛び出し、秋月は叫声を響かせ、クラスメイトからの信頼は取り戻せた。
全部、奏音のお陰なんだ。
「――そんなことないわよ」
奏音は続ける。
「あんたがいなかったら、私はここまでこれなかった。あんたがいなかったら、私はとっくに諦めてた。あんたのお陰で、私は今……ここにいるのよ」
語りかけるように、けれど視線は正面を向いたまま、奏音は言葉を並べる。
「――だから、ありがとね」
俺の言葉に屈せず、奏音は優しい笑みを浮かべた。嘘偽りのない、暖かい笑顔。
「そうか……なら、良かった」
大袈裟にせよ、お世辞にせよ。彼女がそう言うのなら、嬉しいに越したことはない。
俺たちは各々復讐の達成を噛み締め、感傷に浸り続けた。
――この先に待ち受ける困難のことは、一度忘れて。
お読み頂き、ありがとうございました。
今話(13話)にて、第1章が終了となります。
第1章では、復讐の決意から、復讐達成までの物語を書き。第2章では、復讐を終えた蓮翔たちのその後を書こうと思ってます。(蓮翔達への学校側の対応や、千冬…秋月のその後などなど)
最後になりましたが、この作品は読者の皆様の応援のお陰で成り立っています。
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