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価値がない

 アロガンツのコックピット内。


 俺を見上げているレリアを見ていた。


「――話がしたいわ」


 そんなレリアの申し出に、俺は興味もなかった。


「俺は話すことなんかない」


 ノエルが俺とレリアを交互に見ている。


「リオン、お願いだから話を聞いて。いえ、聞いてください」


 アロガンツの近くに小型の飛行船が降りてくると、ジルクたちの乗った鎧も降りてくる。


 溜息を吐いてコックピット内のライフルを手に取り胸部装甲を開くと、俺は外に出てアロガンツから降りた。


 随分と荒れた大地は、ルクシオンとイデアルが戦ったために土がむき出しになっていた。


 少し前は緑豊かな大地だったのに、数時間でこれだ。


 遠くでも黒い煙が何ヶ所からも立ち上っていた。


 俺はノエルの方に近付く。


「無事か?」


「う、うん。あのね!」


「あぁ、ノエルとの話は後だ」


 歩き出すと、レリアが俺の前に立ちはだかった。


「――どけよ」


「話を聞いて。お願い。謝罪する。今回のことは私たちが――」


「お前らの謝罪に意味なんてあるの?」


 俺は乱暴にレリアを押しのけると、アルベルクさんに声をかけているセルジュを蹴り飛ばした。


 アルベルクさんが俺を見上げる。


「――バルトファルト伯爵、最高責任者は私だ。私を討ち取れば君の功績だ。それを持って、戦争を終わらせて欲しい」


 ライフルを構え、銃口をアルベルクさんに向けた。


「そうか。俺の戦争は終わらせてやる」


 アルベルクさんは頷いていた。口の端から血が出ている。


「私の命もそこまでの価値しかないか」


「悪いな。お前らを叩くなら、徹底的にやらないと意味がなかった」


「――分かった。やってくれ」


 引き金を引こうとすると、セルジュが俺に跳びかかってきた。


「ま、待てよ!」


 俺よりも背が高く厄介なので撃ち殺そうかと思っていると、降りてきたクリスがセルジュを捕まえて腹に膝を打ち込む。


 背中を叩いて地面に押さえつけると、剣を抜いてセルジュの顔近くの地面に突き刺した。


「――抵抗すれば殺す」


 クリスの他にも、グレッグが降りてきていた。


 アンジェやリビアも飛行船から降りており、マリエの姿もあったが――随分と怯えている顔をしていた。


 俺はアルベルクさんに向き直る。


「あんた運が良いよ。この後を知らずに逝けるんだから」


 俺の言葉に、アルベルクさんが微笑んだ。


「そうだな。大変なのはこれからだ。だが――私はまだどこかでこの馬鹿息子を信じているのさ。私を笑うかい?」


「――残念ながら親の気持ちが分からない。でも、それがどういう意味か分かっているの? 我が子を谷底に突き落とすよりも酷いことになるんだが?」


「もちろんだ。この馬鹿には――生きて償いをしてもらう。それがどんなに辛い人生だろうとだ」


 グレッグが髪を乱暴にかいている。


「バルトファルト、いいのかよ? お前の気持ちは晴れるのか?」


 クリスに押さえつけられているセルジュを横目で見た。


「――問題ない。そいつ程度、見逃しても痛くも痒くもないからな」


 その言葉に、セルジュが叫んだ。


「待て! 俺を殺せ! お前に喧嘩を売ったのは俺だ。親父は関係ない! だから俺を!」


 ――そうか、お前はその程度の認識だったんだな。


 レリアが反対する。


「セルジュ、あんた何を言っているのよ!」


「これは俺の問題だ。お前は口を出すな!」


 ノエルもアルベルクさんを殺そうとする俺の前に立った。


「リオン、この人は悪い人じゃないの。本当はこんな戦争をしたくなかったの。でも、捕らえられて何も出来なくて――」


 俺はノエルの顔を見ながら、


「あぁ、知っているよ。屋敷で牢屋に入っているのを見たからね」


「――え?」


「そもそも、そんなことは関係ないんだ。お前ら、アルベルクさんの気持ちを無駄にするの?」


「な、何を――」


 グレッグが代わりに説明してくれる。


「そのおっさんが、お前らの代わりに身代わりになるんだよ。俺らにしてみれば、どちらでもいい。どっちも殺してもいい。バルトファルトがセルジュを許すならそれだけだ」


 後で責任は取らせるけどな。


 セルジュを見下しながら、


「そういうことだ。分かったか? お前はその程度の価値しかないんだよ。イデアルを失ったお前らが、俺と対等に交渉しようなんて厚かましいわけだ。話し合い? 最初にしてやっただろ。俺をここまで追い込んだのはお前らで、俺はお前らの希望通りに動いてやっただけだ」


「ち、違う。俺たちは!」


「どうでもいいんだよ。お前らはリビアをさらった。だから叩き潰した。馬鹿なお前らにも分かるシンプルな答えだ。分かりやすいだろう?」


 銃口をアルベルクさんに向けると、リビアが俺の前に立った。


 俺を前にしてアルベルクさんを庇うように両手を広げる。


 アンジェが慌ててリビアの腕を掴む。


「リビア、お前は何をしている! 邪魔をするな。これは――」


 よく見れば、リビアの背中に隠れるようにして、マリエがアルベルクさんの側にいた。


 ――治療を行っている。


「――どういうつもりだ?」


 低い声で聞いてみれば、マリエが俺に振り返って青い顔をしていた。


 震えながら、


「だ、だって、リオンが凄く怖い顔をしているから! もう止めようよ!」


「それだけの理由で敵を助けるのか? お前、俺にどれだけ助けられてきたか忘れてないだろうな? 俺が本気だって分かっていないなら――」


 少し脅してやろうとすると、リビアが俺の前を塞ぐ。


「――リビア、いい加減にしろ! 今更情けなんかかけても意味がないんだよ!」


 それでもリビアは俺の前に立つ。


「違います! ――違うんです。わ、私が助けたいのはリオンさんです。リオンさん、苦しそうな顔をしているじゃないですか! 同じなら――結果が変わらないなら、もうこれ以上は止めてください」


 マリエは俺に怯えながらアルベルクさんを治療していた。


 リビアが泣いている。


「私のせいで迷惑をかけたのは分かっています。でも――それでも、このままだとリオンさんが壊れちゃう」


 壊れちゃう? ――俺はアンジェに振り返る。


「そんなに苦しそうに見える?」


 アンジェも俺を心配しているのか、普段よりも悲しそうに見えた。


「普段とは大違いだ。お前が怒っているのは分かる。ただ、私は止めるつもりはない。それと同時に、これ以上は背負い込む必要もないとは思う。もう無理をするな。ここで終わっても結果は変わらない」


 苦しそうな顔をしていると言われ、俺は俯いた。


 そして引き金から指を離し、ライフルを下ろした。


「そっか。なら、ここで一旦終わるか」


 クリスに押さえられたセルジュが安堵していた。


「すまない。本当に悪かった」


 ――こいつは何を勘違いしているんだ?


「お前は馬鹿か? 俺が殺さないだけで、お前らに待っている現実が変わると思うの?」


「え?」


 治療を受けているアルベルクさんが、マリエにお礼を言うのだった。


「お嬢さん、ありがとう。だが、これ以上は必要ない。セルジュの方を治療してやって欲しい」


「で、でも!」


「私はしばらく持てばいいんだ。それから、セルジュと話をさせてもらいたい」


 俺はクリスに視線で許可を出すと、セルジュを解放した。


 セルジュがアルベルクさんに近付く。


「この馬鹿息子が。誰かが責任を取る必要がある。そしてお前には、共和国の未来を託す。この意味が分かるか?」


 セルジュは困りながらも、俯き悲しそうな顔をしていた。


「俺がラウルト家の当主になるってことかよ」


 ――あぁ、全く理解していなかったな。


 アルベルクさんが可哀想だ。


「――違う。この後に待つのは、共和国が今までに経験したことのない苦しい時代だ。お前はその時代を生きて責任を取る義務がある。見ろ! 聖樹は燃え、紋章からは今までのような力を感じない。我々は聖樹に見放されたのだ。そしてこの国を見ろ!」


 周囲を見れば焼け野原。


 共和国の兵器が転がり、動いている人の姿はない。


 遠くには黒い煙があちらこちらから立ち上っている。


 きっと、国中が大変なことになっている。


 俺とセルジュが戦えば、結果はこうなると分かっていた。まさか、俺たちが国内にいるときに仕掛けるとは、その時は気付かなかった理由の一つだ。


 こんな馬鹿な真似はしないと勝手に思い込んでいた。


「お――お、俺はただ――」


 たった数時間で荒廃した共和国を見て、セルジュはようやく理解したらしい。


「セルジュ、これはお前が背負う責任だ」


「む、無理だ。親父、俺にはこんな――」


 背負えないよな。そうだよ、背負えないんだよ。


 こうなると分かっていたから、俺は戦わなかったのに――。


 だが、この様子ならアルベルクさんはラスボスにならないだろう。


 放置しても問題なさそうだ。


「イデアルも失って、これからは一人で頑張るんだな」


 レリアが俺を見ていた。


「ね、ねぇ、お願い。もう酷いことはしないで。もう十分でしょ! お願いだから助けてよ」


 その言葉にいち早く反応を示したのは、アンジェだった。


 怒気を強め、そしてレリアに跳びかかりそうな勢いだ。


「十分? ふざけるなよ。お前ら、自分たちが何をしたのか分かっていないのか? リオンはこの場を引くだけだ。責任は取ってもらうぞ」


 アンジェを手で制した。


「もういいよ。こいつに話しても無意味だ。俺はお前らに期待していない。後は自分たちで何とかしろ。アルベルクさんの顔を立てて、この場は引いてやる」


 帰ろうとすると、ノエルが俺を突き飛ばした。


 怒らせたかと一瞬思ったが、同時に空を切るような音が聞こえてくる。


 直後、ノエルのお腹から血が噴き出した。


 ノエルを守るような淡い光を貫いたのは弾丸――。


 すぐに周囲を見れば、ライフルを構えたエミールの姿が見えた。


「野郎!」


 グレッグがライフルを構えて発砲。


 エミールの腕を撃ち抜くと、次に胸を撃ち抜いた。


「エミール――な、なんで。止めて! エミールを殺さないで!」


 レリアがグレッグにすがりつく。だが、グレッグは乱暴に振り払う。


 俺は倒れるレリアを無視して、


「リビア、ノエルを!」


 俺が声をかけると、リビアがすぐにノエルへと近付き治療を開始する。傷口に両手を当てると、淡い光を放っていた。


 ノエルが口から血を吐く。


 苦しそうな顔を見て、すぐにノエルに近付いて顔を覗き込んだ。


「何で庇った!」


 ノエルは目の下に隈ができている。


「な、何でかな? あたしにも分からないや」


 リビアに視線を向けると、瞳が揺れていた。


 レリアは立ち尽くしている。


「姉貴」


 ノエルがレリアを見ると、苦しそうに話すのだった。


 喋るなと言いかけたが、リビアが首を横に振る。


 話をさせた方がいいと思い――俺は口を閉じた。


「レリア――あんた、これからは自分で何でも解決しなよ。あたしはもう無理だから」


「な、何を言っているのよ。そいつ、治療魔法の使い手だから治るわよ。ね?」


 リビアに確認を取るが、返事は残酷だった。


 悔しそうに俯いている。


「――今の私には、この人の命を少しだけ長らえることくらいしか出来ません」


 リビアでも治療は不可能。


 慌ててマリエも駆け寄り、傷口に手を当てると目を見開いて――首を横に振った。


「あんた、お姉ちゃんにお別れを言いなよ」


 レリアは何が何だか分からないのか、立ち尽くしていた。


 銃声が聞こえる。


 グレッグだった。


「どうした!」


「あ、あいつ、なんで立ち上がるんだよ。あ、頭だって撃ち抜いたのに再生して――化け物かよ!」


 見ればエミールが胸を撃ち抜かれたのに、立ち上がっている。


「レリア――大丈夫だよ。僕が守ってあげるからね。セルジュじゃなくて、この僕が君を守ってあげるから。認められたんだ。僕は聖樹に認められて――声が聞こえるんだ」


 その右手が輝き、紋章は――守護者の紋章だ。


「こいつ、聖樹の守護者に選ばれたのか?」


 ただ、エミールの雰囲気は以前と違っていた。まるで生気を感じない。ゆっくりと歩いてくるエミールを、グレッグがライフルで何度も撃ち抜いているのに止まらなかった。


 体に穴を開け、血を流すも体に巻き付いた蔦が傷を癒やしている。徐々に蔦が増え、エミールを飲み込んでいく。


 レリアがそれを見て怯えていた。


「エミール、なんでこんな――」


「なんで? 君のためじゃないか。僕は君のためだったら何でもするよ。あぁ、でもその前に――お前らを排除しないと聖樹に怒られちゃうね」


 エミールの様子を見て、アルベルクさんが血を吐きながら叫ぶ。


「聖樹に支配されて――融合するつもりか。止めなさい、エミール! それは危険だ!」


 エミールの真下に魔法陣が出現すると、木の枝や蔦が出現してエミールを飲み込んで地面に消えていくのだった。


「みんな消し飛ばしてやるよぉぉぉ!」



 落下したイデアルの様子がおかしかった。


『おかしい。まだ反応が――』


 見ていると、地面から蔦が生えてイデアルに絡みついていく。木の根がイデアルを貫き、そして持ち上げるとバラバラにし始めた。


『――理解不能』


 ルクシオンには何が起きているのか分からなかった。


 ただ、イデアルが叫んでいる。


『聖樹よ――共に脅威に立ち向かいましょう。私を取り込み――平和を――理想の世界を取り戻して――』


 イデアルがそのまま引きずられるように地面に吸い込まれると、ルクシオンに木の根が絡みついてくる。


 その動きは速く、ルクシオンでも予想外で反応が遅れてしまった。


『これは!』


 リオンたちが騒いでいるのは理解しているが、動けないルクシオンは聖樹を攻撃しようとして――武器の発射口を全て塞がれた。


『この程度なら無理に抜け出して』


 抜け出そうと出力を上げると、聖樹の方から光線が放たれる。


 直撃して艦内が激しく揺れると、聖樹を確認したルクシオンがすぐにリオンに報告を行うのだった。


『――マスター、聖樹がイデアルを取り込みました』


 リオンの方も状況を説明してくる。


『こっちはエミールが取り込まれて、ノエルが瀕死の状態だ。お前の設備でどうにかなるか?』


『この状況では受け入れも治療も難しいですね』


 攻撃され、それに耐えているルクシオンの返事にリオンは――。


『なら迎えにいくから受け入れ準備をしておけ』


 そう言って通信を切るのだった。



 アロガンツに乗り込むと、聖樹が動いているように見えた。


「アンジェ、みんなを飛行船に乗せて離れろ。ルクシオンを迎えにいく」


 アンジェが俺を見上げると、


「お前、あれと戦うのか! 正気か?」


「放置も出来ないからね。ルクシオンが捕まったから助けないと駄目なんだ」


 姿を変えていく聖樹は、徐々に人の形になっていく。


 頭部はイデアルの一つ目――球体だ。聖樹は足を得て歩き始めていた。


 体つきは細身の男。


 腕からは太い木の根やら木の枝が生え、まるで鞭のようになっていた。


 聖樹は白く染まり、ゆっくりとこちらを目指している。


 一歩歩くごとに、地響きと音が伝わってくる。


 ハッチを閉めてアロガンツを浮かせると、ルクシオンの方へと向かう。


 木の根に絡まれ、身動きが取れないでいた。


 そんなルクシオンに襲いかかる一つ目からのビーム。


「あんなの卑怯だろうが」


 アロガンツの中には、ルクシオンからの通信が入る。


『マスター、こちらの処理を優先しているので、アロガンツのサポートは最低限となっております』


「構わないから待っていろ。すぐに迎えにいく」


 ルクシオンのもとへ向かうと、後方にジルクたちがやってくる。


「お前ら、船の護衛はどうした?」


『命令されていないのでついてきました。お手伝いしますよ』


「――勝手にしろ」


 ルクシオンへと近付くと、大剣を構えて邪魔な木の根を斬り裂いていく。


 白く染まった木の根を斬れば、そこから赤い液体が流れ出た。


『うわっ、気持ち悪っ!』


 ブラッドの言う通りだった。


 まるで血のようで気持ちが悪い。


 クリスが聖樹を見て叫んだ。


『おい、何か出てきたぞ!』


 聖樹――本体の方から、木の枝と葉から小さな粒が出てきて雲のように見えた。


 それらは小さな粒ではなく、何かの生物――虫のような何か。


 (はね)を羽ばたかせ、こちらにやってくる大きな虫たちだ。


『おいおい、数が多すぎないか?』


 グレッグが呆れていると、後方から砲撃が始まる。


「アインホルンか? いや、数が多い」


 振り返って様子を見れば、そこにいたのは王国の飛行船だった。


 仮面の騎士から通信が入る。


『待たせたな、諸君』


「――お前、勝手にみんなを動かしたのか?」


『違う。皆の許可は取った。全員、自分たちの意志でここにいる!』


 割り込んで通信を入れてくるのは兄貴だ。


『助けに来たら変なのが出てくるし、お前と付き合うといつもこうだ! リオン、後で説明してもらうからな!』


 ダニエルも文句を言ってくる。


『何だよ! 何が起きているんだよ! 説明しろよ!』


 レイモンドなど叫んでいた。


『もう帰りたいよぉぉぉ! でも、ユリウス殿下の命令だし、逃げられないし最悪だぁぁぁ!』


『そこの君! 私は仮面の騎士だ! ユリウス殿下などという立派な御仁ではない』


 仮面の騎士の言葉に、ジルクまでもが『当然ですよ。あんなのと殿下を一緒にしないで欲しいですね』と、本気で怒っている。


 お前ら遊んでいるのか?


 ルクシオンの船体に降りて、レーザーの照射口を塞いでいる木の根やら蔦を取り払ってやった。


 ルクシオンが俺に、


『助かりました。次は隣の発射口をお願いします。乱暴にしないでくださいね。私の船体にこれ以上の傷は付けたくありません』


「人使いが荒いんだよ」


 近付いてくる聖樹は、徐々に大きくなっているように見えた。


 ただ、近付いてきているだけなのに――迫力がある。


 そんな聖樹から――イデアルの声で、


『――役に立たないゴミ共め――お前らは全て無価値だ――これまで使ってきてやったのに、恩を仇で返して――許さない。許さない。絶対に許さないぃぃぃ!』


 その手を振り上げ、振り下ろすと鞭のようにしなった木の根が大地に当たって地面を揺らした。


 衝撃で土煙が発生し、周囲は何も見えなくなる。


 イデアルの声の中に、エミールの声も聞き取れる。


 混ざり合い、聖樹が喋っているのだろうか?


「――ラスボスはエミールだったな」


 ――本当に嫌になる。


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― 新着の感想 ―
エミール...頑張ったのに、フラグ折れなくて残念だ、レリアは二度目の人生すら苦い思いをする、守護者として選ばれてないでもすでに瀕死、この執念があるから選ばれて支配された、ある意味すでに死体だ、エミール…
それこそ普通に考えれば、トドメを刺したい相手の周りに人がいてアロガンツの装備だと巻き込みかねないから降りてきたんやろなぁとか、エミールは聖樹に精神干渉でも受けたんやろなぁ…とか分かると思うけどね
[一言] 現行人類への接し方の違いが、旧人類の希望である推測テラフォーミングを可能とする聖樹と戦争で途中脱落して戦況を知らず後を託されたイデアルと、戦争の末期で旧人類を逃す最期の箱舟になるしかなく滅び…
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