表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/101

49話 ネオ・インドラ

 ______登場人物(主な武闘大会出場者)______


【佐藤 (Lv.5)】

 一人称は平仮名の『おれ』。職業は踊り子。爬虫類が大の苦手。

【エルリウス (Lv.37)】

 戦士。イケメン青年。佐藤とは乗合馬車で知り合った。

 雰囲気が踊り子のフェルザヴァインと似ている。

【ボボブマ (Lv.18)】

 魔法使い。強烈な落雷魔法のパフォーマンスで予選を1位通過した。

 佐藤の初戦の相手。

【ガイガーシュトッフ (Lv.27)】

 暗殺師。予選を最下位通過した。

 佐藤からは初戦の相手として熱望されていた。




 闘技台の上で対戦相手と向きあった。

 彼の名はボボブマ。レベルは18だが、強烈な雷魔法の使い手だ。その魔法を武闘大会予選で披露し、全出場者の最高得点を叩きだしている。魔法名はネオ・インドラと呼ぶそうだ。

 おそらくほとんどすべての観衆が、おれではなく彼の勝利を確信していることだろう。


 ボボブマが睨んでいる。

 こういうときは、おれも睨みかえした方がいいのか?

 でも睨みかえさない方が、手を抜いてくれるのでは……そんなはずないか。


 審判らしき黒服の人物も闘技台にあがってきた。

 背筋をぴんと張り、後ろ向きに立った。


「大会主催者イグンニトラ侯ロワンジュ3世に礼」


 黒服とボボブマが低頭する。観衆までもが同様の仕草をした。

 おれも空気を読み、頭をさげておいた。


 黒服が台からおりていく。

 なんだ。審判として残るんじゃないのか。

 しかし台の外側から鋭い視線を向けている。

 やはり審判なのか?


 黒服の片手がまっすぐあがっていく。

 えっ、もう始めるのかよ。ちょっと待ってくれ。まだ心の準備が……。


「開始」


 ああ、始まってしまった。

 観衆の地響きのような大声援に包まれた。

 やるしかない。もう、やぶれかぶれだ!

 

「おい、キミ」


 何故か試合中に相手から話しかけられた。

 いいのか、そういうのって。


「はい?」

「悪いことはいわない。棄権しなさい」

「そういわれても」


 棄権したいのは山々だが、こっちだって事情がある。どうしても大会で優勝しなくてはならないのだ。そしてトサカ鬼の角を手に入れる。シン先生に占ってもらうためだ。


「ボクのネオ・インドラを見たはずだ。残念ながら手加減はできない。対戦相手とはいえ、罪のないキミを葬りたくないんだよ」


 彼のいうとおり、ネオ・インドラを喰らったら即死するかもしれない。

 素直に棄権した方がいいのか。命あっての物種だもんな。


 いや、待て待て待て。

 本当に諦めていいのか。これまでインドを目指すことだけを考えて、がんばってきたんだろ? そんなことではあっちの世界で亜澄さんが泣くぞ。


「勝負させてください」

「キミは命知らずだな。もっと命の大切さを……」

「勝負です! うりゃあああああああああああ」

「わっ。ちょ、待ちなさい」


 ボボブマに向かって突っこんでいく。

 彼は慌てて両手を天にかざした。呪文を唱えはじめる。


 防御も見せない彼の頬に、右のコブシがヒット。

 彼はよろけて倒れていった。

 そこからは馬乗りでタコ殴り。


「痛い、痛い、痛い。待った。参った、やめてくれ」


 ボボブマがあっけなく降参した。


「酷いよ、キミ」

「いや、だって……」


 黒服が台にあがる。


「勝者、86番佐藤」


 観衆からの拍手はない。しらっとしている。

 エルリウスのときとは大違いだ。

 まあ、無理もないか。こんな糞試合。


 ボボブマに一応尋ねてみる。


「どうしてすぐにネオ・インドラをださなかったんですか?」

「すぐにって、あんな大魔法、無理に決まってるだろーが。ボクはまだレベル18だぞ。長い呪文が必要なんだ!」


 なるほど、そういうことか。

 実戦向きじゃなかったんだな。


 それにしても危なかった。口車に乗せられて棄権するところだった。


 闘技台から退場する。

 なんだかおれとしても、しっくりしない勝利だった。


 同行係員とともに、あの狭い控室へと向かう。


「ところで係員さん。彼が予選でネオ・インドラを見せたとき、呪文にどのくらい時間がかかっていたんです?」


 10秒? あるいは20秒? もしかして1分以上だったりしたのかな。

 同行係員は、えーと、といいながら額に指を添えた。


「そうですねえ。12~13分くらいかと思います」


 は? 一瞬、耳を疑った。

 想像を遥かに超えていた。


「本当ですか。発動に時間がかかりすぎじゃないですか。話になりませんね」

「ですが、もしあれほど時間をかけずにネオ・インドラを放てていましたら、あなたが試合に出場することはなかったかもしれません」


 この係員は何をいってやがるのだ? おれの出場とあの魔法は無関係だろ。


「どういうことですか」

「86番から89番までの参加者が予選審査に間に合いましたのは、結果的に彼の時間稼ぎのお陰だったのです。実をいいますと、彼のパフォーマンス終了とともに参加受付も終了しようと、大会スタッフの間で話がまとまっていたのです」


 つまりおれはネオ・インドラに助けられたわけだ。


 暑苦しい控室に戻り、そこでふたたび待機となった。

 ほかの試合が終わるたびに、係員が結果を報告してくれた。


 第3試合は56番のビットーリョの勝利。おれが初戦相手として熱望していたガイガーシュトッフが敗れた。

 第4試合は19番のサバールの勝利。これでトーナメント1回戦が終了したことになる。


 次の試合のことを考えなくっちゃな。

 えーと、トーナメントの2回戦以降はどうなっていたっけ……。




 |03 エルリウス・ユハルヒン・サーフ・ムア Lv.37

||86 佐藤 Lv.05

||56 ビットーリョ・コルフィーノ Lv.41

 |19 サバール・ハイガー Lv.29




 2回戦すなわち準決勝は、劣化版フェルザヴァインことエルリウスとの対戦だ。初戦でレベル81の相手に勝つくらいだから、よほどの実力者に相違ない。


 1回戦は糞試合だったが、次は簡単にはいかないだろう。

 だが必ず勝つ!



 次回投稿は1/3となる予定です。

 来年も何卒よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ