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木星の陰陽師 ~遠い先祖に命を狙われていますが、俺の中に秘められた神の力で成り上がる~  作者: たつべえ
第二章 上杉龍穂 国學館二年 後編 第四幕 土御門泰国
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第百五十六話 捜索の先にある罠

上層階にたどり着くと壁についている傷が多くなっており、

先ほど見たより血しぶきが増えている。

そして地面に倒れている深き者ども達がその理由を示していた。


「まだ・・・時間が経ってないな。」


近くにいた深きも共のの皮膚に触れ、死亡してからの時間を予想している兼兄。


「壁に着いた血しぶきも乾いていません。先ほどまで戦闘が行われていたようですね。」


ノエルさんも壁に着いた血を見て状況判断を行っているが、

結果と伴わない景色が広がっていた。


「誰もいませんね・・・。」


先程戦った後が色濃く残っているのに、白の部隊の姿が一切見当たらない。


「・・ノエル。竜次と連絡は着くか?」


「先程から行っていますが返事一つ返ってきません。念の妨害を受けている様です。」


つい先ほどまでいたはずの竜次先生の姿が見えないどころか念の連絡すらつかない。

一体何をされたのか分からないが、念の届かない所へ飛ばされてしまったことは容易に予想できる。


「・・・竜次達は簡単にやられない。俺達は俺達で出来る事をしよう。」


どこに行ったか、どうやって連れていかれたか後ろ髪が引かれるが、探している余裕はない。

情報があった陣を探して辺りの捜索を行うと、見せてもらった画面と似た陣をすぐに発見する。


「あった・・・・。」


膝を着いてじっと陣を見つめる。赤い何かが描かれた陣にはわずかに神力が込められている。


(なんだ・・これ・・・?)


魔道、神道の授業で陣を勉強をしたが見たことの無い文字で描かれており、

どのような効果があるか見当もつかない。


「ほう。久々に見たな・・・。」


俺の後について来ていた青さんと白虎が顔を覗かせ陣をまじまじと見つめる。


「かなり古い術式・・・。しかも現代の術式に当てはめて使っておるな。」


「わかるんですか?」


ヒントも無く途方に暮れる所だったが、流石千年以上生きている式神達。


「複雑に書かれておるが・・・解読自体は可能じゃ。少し時間をくれ。」


青さんと白虎、そして楓と解読に興味があるという千夏さんを置いて兼兄達に報告するために戻る。


「大丈夫でしょうか・・・。」


兼兄とノエルさんが何かを話している。

いつもにこやかなノエルさんが不安そうな顔で俯いているが、兼兄が必死に励ましていた。


「ドーラなら大丈夫だよ。あいつはどんな状況でもノエルの元に帰ってきただろう?」


「そうですけど・・・。」


どうやらどこかへ行ってしまった竜次先生の安否を心配しているようだが、いつもと呼び名が違う。

国學館襲撃の時も同じ呼び名で呼ばれていたが、あだ名なのだろうか?

しかも念での会話が出来るという事は・・・二人は特別な関係の様だ。

声をかけていい雰囲気ではなく、足を止めてしまうが陣の解読が出来そうだという情報を

伝えない訳にはいかない。


「何をちんたらしとるんや・・・。いくで。」


どうしようか悩んでいると、純恋がため息をつきながら俺の背中を叩いた後、

わざとらしく足音を立てながら二人に近づいていく。

急いで後を追うと、俺達の足音に気が付いた二人はすぐに表情を和らげこちらに振り向いた。


「どうした?何かあったか?」


「青さんと白虎が見たことの無い文字で書かれた陣の解読が出来るみたいなんだ。」


「そうですか。それはありがたいですね。

私達も陣の様子を見てきたのですが、見たことの無い形状で困っていた所なんです。」


白の事をよく知っている土御門は竜次先生を陥れるため、あのような文字を使ったのだろう。

いつでも白と戦えるように準備をしていたようで、土御門の用意周到さが身に染みてわかる。


「でも少し時間がかかるって言ってたで。」


「そうか。では待つことにしよう。あの陣の解読をしておけばこの先の戦いで役に立つだろうしな。

しかし・・・時間が無いはずだが、ずいぶんと余裕がある行動を取ってくるな。

こうして解読をしている隙を狙ってくる素振りを見せてこないとは・・・。」


既に業の部隊がショッピングモールの出入り口を塞いでいる事だろう。

いくら千仞といっても業の守りを掻い潜ってここに侵入するのは至難の技であり、

このことが真田様と伊達様の耳に入ればさらなる援軍も期待出来る。

時間が経てばたつほど優勢はこちらに傾いてくるはずだが・・・

兼兄の言う通りあまりに悠長な行動を選択している。


「それだけ自分の実力に自信があるんやろ。何が来てもなぎ倒せるなんて思ってるんとちゃうんか?」


「その自信を持つにふさわしい実力を持っている奴だ。

この分断もそうだが・・・無数の策を張り巡らせているんだろうな。」


解読を待つ時間で土御門のついて話し合っていると、

兼兄とノエルさんの顔を伺いながら桃子が口を開く。


「あの・・・元白に所属していることは知っているんやけど、

出来れば土御門がどんな術を使うかだけでも教えてもらいたいです。」


土御門のついて俺達が知っている事は神道省副長官であり元白所属、

そして千仞に入っているという事だけだ。

この状況で人柄などを聞くわけにはいかないが、実力だけでも教えてもらえると

この先の戦いを少しでも有利に運べるだろう。


「あいつの肩書から察しているとは思うが、強力な神術を使う陰陽師だ。

神道に関する技術なら何でも扱えるが・・・唯一の欠点としては相棒と呼べる式神を

持っていないぐらいだな。」


「でも神様に匹敵するほどの強い神術は扱えるっちゅうことやろ?欠点ちゃうやん。」


「そう思うか?」


純恋のツッコミに対して兼兄は疑問を投げかける。


「・・式神がいないって言う事は人数有利をとる選択が取れないって言う事か。」


自身が高い実力を持っていたとしても、大勢で取り囲めば絶対に死角が生まれる。


「そう言う事だ。だから時間をかけてまで俺達を分断しようと策を打ってきている。」


死角からの攻撃が積み重なり、体にダメージを蓄積できれば新たな弱点が生まれる。


「孤高の存在だとしても戦い方はあります。

確かに泰国はすさましい実力を有していますが、決して臆することなく戦えば

勝機は必ずこちらに向くことでしょう。」


合理的な考え方をすると兼兄は言っていた。

ここまで策を張り巡らしている背景にはそれだけの勝機がこちらにあるという事だ。

すさまじい実力の持ち主だとしても臆することはない。二人はそう俺達の背中を押してくれる。


『龍穂、兼定達を連れてこちらに来てくれんか?』


一通り話終えた後、青さんが念を使って連絡をくれる。

どういう効果を持った陣か判明したのだろうか?兼兄達に事情を伝えてついて来てもらう。


「青さん。何か分かりましたか?」


陣がある場所へ戻ってくると、四人が陣を囲んで何か話し込んでいる。


「来たか。陣に何が書いてあるか自体は分かったんじゃが、

術式がどういう効果を発揮しているのか分からなくてな。

兼定達に話しを聞こうと思って呼んだんじゃ。」


長く生きている青さんは新たな知識を取り入れ続けてきたので、ありとあらゆる分野に精通している。

今は漫画に首ったけだが・・・そんな青さんが知らない術式があるとは驚きだ。


「見て見たいところですが・・・私達にはその文字が読めないのです。」


「現代に置き換え術式を床に刻んでおる。ノエルや、ぜひ見てくれ。」


兼兄ではなくノエルさんを指名すると、刻み込まれた術式をのぞき込む。

興味が沸いた俺達も同じように術式をのぞき込むが、

神道で扱う五属性をふんだんに使った式がそこには刻まれており、

青さんの言う通り一体どんな効果があるか見当もつかない。


「・・これは陣に書かれていた順番通りに書かれていますか?」


じっと見つめていたノエルさんが青さんに尋ねる。


「そうじゃ。」


「他には何か書かれていませんでしたか?」


流石のノエルさんもすぐに答えが出てこないようであり、青さんに陣について質問を繰り返す。


「いや、他にも書かれておったが・・・あまり関係ないような物ばかりじゃぞ?」


「それでもいいです。全て書きだしていただけませんか?」


青さんは陣を見つめながら術式に文字を加えていく。

術式に関係ない言葉が刻まれており、確かに影響はしないだろう。


「・・・・・・・・・・・・。」


全て書きこまれた後、ノエルさんが関係のない言葉を見つめながら術式の中の

あまたある属性たちに射線を引いていく。


「・・これで何が分かる?」


「五行思想です。今射線を引いているのは五行の理に置いて、

効果を打ち消す属性を持った言葉達です。」


ノエルさんは説明をしながらも射線を引き続けていく。

五行思想。五つの元素がお互いに影響を与え合い、全ての物が変化し循環するという教えであり、

神道の全ての技術の元となっている思想だ。

東、夏、獣など一見して術式には何ら関係ないと思われる言葉も五行に当てはめた時、

木や火、そして金の力を持っているそれに相反した属性が消えていく。


「・・・金が残ったな。」


残されたのは金の属性。この陣には金の神術が仕込まれている様だ。


「ええ。ですが・・・その他にも言葉が残されていますね。」


地面に書きこんでいた属性や言葉の羅列の中に一つだけ残されている文字。


「穂・・・?」


残された金の属性に関与しない所に入れられた穂の文字。

これは一体何を意味しているのだろうか?


「何を意味しているのか分かりませんが・・・我々を悩ますために

あえて意味のない言葉を刻んだ可能性もあります。

今は深く考えずに次の陣の解析を進めるのが先決です。」


俺達を悩ませることで時間を稼ぐつもりかもしれないと、

ノエルさんは次の陣の改正を行うために携帯の画面を写し出す。


「いちいち書きだすのは時間がかかる。コツは分かったからわしが答えを出そう。」


あまり使われない技法を用いているだけで中身はただのパズルだ。


「ふむ・・・・・。」


ノエルさんが持っている陣の画像を残り四つ。青さんがじっと見つめた後、すぐに答えを導き出す。


「・・これは火じゃな。」


博識である青さんは次々と答えを出していく。


「木・・水・・・。」


すぐに二つの陣が持つ属性を解き明かすが、最期の一枚の解読に時間がかかっている。


「・・・・・・・・・・・。」


眉間に皺を寄せ、眼を閉じている姿はまるで誰かの身を案じているように見える。


「難しいですか・・・?解けないようであれば私も手伝いますが・・・。」


痺れを切らしたノエルさんが声をかけるが青さんはため息をついた後、口を開く。


「・・土じゃ。」


少し考えた様だが無事に答えを導き出せたようだ。

火、水、木、土、金。導き出した答えは五行の属性。


「ご苦労様です。ですが・・これは一体何の意味を持つのでしょうか・・・?」


分かった良いが、結局の所陣が何の意味を持っているのか分からず終い。


「全ての陣に効果を放つ術式は書きこまれておらんかった。

となるとこの陣は竜次をどこかにやった術とは関係ないのじゃろう。」


陣に術式が書き込まれていないとなると、ただ属性を持っているだけの落書き同然だ。


「ブラフ・・・か?」


見てわかるくらいの位置に、あえて陣を書いて解読させ俺達の時間を奪うつもりなのか?

いや、あの土御門がそんな無意味で労力を使うだけの行動を取るはずがない。


「・・この陣があった位置、わかるか?」


何か意味があると青さんが兼兄に尋ねる。


「位置は・・・階段を上がったフロアを中心にして円のように配置されています。」


「円の様にか・・・。」


兼兄の答えを聞いて深く考える青さん。


「・・・!!」


そして何かを思いついたのかいきなり大太刀を取り出し、床に刻まれた陣を傷つけようとする。


「遅いですよ。」


だが傷つける寸前、神力が込められ光を放ちだす。

すると陣から光の糸が飛び出してどこかへ伸びていった。


「何が起きたんですか!?」


「クソッ・・・!これは大きな召喚の陣じゃ!!

陣単体で効果を持っている固定概念に縛れてすぎた・・・!!」


属性を持つ陣は効果を発揮しないが、それらを結んだ時に初めて効果を持つ

巨大な召喚の陣がこの部屋に刻まれていたようで

先程聞こえた土御門の声が召喚の陣を起動するカギになっていたようだ。


「あなた方は私の手のひらの上に乗っている状態なのです。

いくら足掻こうと無駄。無残に死になさい。」


土御門の声が聞こえなくなると、少し奥から大きな物音が聞こえてきた。


「急いで合流するぞ。このままだと各個撃破されかねない。」


このフロアを捜索している白の部隊と離れ離れになってしまっている。

とてつもない力を持つ何かが現れた事が少し離れたここからでも察することが出来、

このままだと部隊の全滅もあり得る。


「なんだこいつ・・・!?」


急いで元居た場所に戻ると、そこにいたのは灰色の体を持つ細長い蛇のような化け物。


「泰国め、厄介な奴を召喚してきたな・・・。」


得物を取り出し戦闘態勢に入る。

化け物が放つ力は俺が使う黒い風の力と酷似しており、

それはこいつが宇宙の力を持っていることを示していた。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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