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木星の陰陽師 ~遠い先祖に命を狙われていますが、俺の中に秘められた神の力で成り上がる~  作者: たつべえ
第二章 上杉龍穂 国學館二年 後編 第四幕 土御門泰国
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第百五十五話 再会と説教

土御門の捜索を行っている謙太郎さん達と白の部隊との合流を果たすため、

再びショッピングモール内を駆ける。

先程の静寂はどこに行ったのか至る所に深き者どもや緑の巨人の姿があり、

薙ぎ払いながらの移動を余儀なくされていた。


「青さん!!」


「白虎!!」


大量に配置された奴らをまともに相手してしまえば力を激しく消耗してしまう。

こういう時は式神に敵を一掃してもらうに限る。

青さんと楓が先ほど契約した白虎が前に出て奴らをなぎ倒していく。


「付いてこれるか?」


「契約してすぐだ。あまり力は出せんが・・・十分だ。」


大きな姿にはあまりに狭い室内であり、人の姿で戦っているが白虎が放つ拳はあまりの衝撃に

緑の巨人を体を穴を開けていく。

楓との契約で空になった力を補充した白虎は先程とは比べ物にならない力を発揮しており、

次々となぎ倒していった。


「なかなかやるな・・・。」


それを見た青さんも負けじと大太刀を振るって深き者達を切り伏せていく。

流石伝説の十二天将達だ。頼りになる。


「さっき仲間にしておいてよかったですね・・・。」


その姿を見た楓が安堵のため息をつきながら呟く。

契約を勝ち取れたのは楓の実力なのだから胸を張ってほしいが、

あれだけ大暴れをしている所を見ればそう呟きたくなる気持ちは分かる。


「ん・・・・?」


突き進んでいると奥の方から強い魔力を感じ取る。

新手かと警戒していると、白虎が先手を取るために縮地の構えをとった。


「やめろ。味方じゃ。」


だが青さんが手で遮り、白虎を制止する。


「覚えがあるのか?」


「ああ。あれだけバカでかい魔力を持っている奴なんてそうそうおらん。」


奥の方を見ると何かが光っているようで、深き者ども達が上げている悲鳴が聞こえてくる。


「はっはっは!!歯ごたえが無いな!!!」


「アホ。力を使いすぎるな。」


近づいてくる青白く輝く光に俺達は見覚えがあった。

青い炎に怯えながら逃げてくる深き者ども達の先にいたのは謙太郎さん。

そのすぐ後ろには渋い顔をした伊達さんと藤野さんの姿も見える。

消費の激しい魔術のはずだが惜しげもなく炎を放ち、深き者ども達を追い詰め、燃やしていく。

惨いことをすると思っていたが、火が付いた深き者ども達は体から大量の水蒸気が噴き出している。

そしてまるで蒸発する様に死体を残すことなく消えていった。


「謙太郎!!」


「おお!師匠!!」


こちらに気付いた謙太郎さんは青さんめがけて一直線に走ってくる。


「よくぞご無事で!!」


「そっちもな。」


お互いの安否を親し気に喜んでいるが、後から付いてきた二人が白虎の姿を見て警戒を強めている。


「みなさんお疲れ様です。ご無事で何よりです。」


「ああ、そっちもな・・・。」


「そんなことより・・・そちらは?」


白虎の事を説明しようとするが、どうしようか悩んでしまう。

俺の使命を伝えているが青さんの正体について話してはいないので、

素直に説明していいものか悩んでしまった。


「ここまで来たらしょうがない。全部説明してやれ。」


俺の肩を叩いた兼兄が許可をくれると白虎の事、そして青さんの正体について説明をする。


「・・・・え?」


説明を聞いた伊達さんは思わず聞きなおしてくるが当然だろう。

誰もが聞いたことのある伝説の式神が目の前にいて、なんと顔見知りなんてすぐに受け入れられない。


「すごいですな!我が師匠は!!」


だが謙太郎さんはすぐに受け入れ、青さんを褒めだす。

褒められた本人はやぶさかではないと、誇らしげに胸を張っていた。


「・・本当なのか?」


平静を保っていた藤野さんも俺に尋ねてくるが青龍、白虎その人なのだから仕方がない。

嘘をついても意味が無く、俺は大きく頷くことしかできないのだから。


「そりゃ・・すごいな・・・。」


二人はどうリアクションを取っていいのか分からずにただ青さんと白虎を見つめている。

いつも謙太郎さんと漫画の事を語っている姿しか見ていなかったので当然の反応だろう。


「感動の再会はここまでだ。一緒にいた白の部隊はどこにいるんだ?」


なんとも言えない空気を引き裂いた兼兄は三人に白の部隊の居所を尋ねる。


「さっきまで一緒にいたんですが・・こいつが先走ってですね。多分少し先にいると思います。」


安易に想像がつく理由を謙太郎さんに指を差しながら答える。


「そうか・・・。」


あまりにもバカらしい理由を聞いた兼兄はそう呟くことしかできず、

引き裂いたばかりの微妙な空気が戻ってきてしまう。


「それなら今来た道を戻ることにしよう。謙太郎、責任をとって先頭を走ってくれ。」


だが兼兄はすぐに切り替え、再び白との合流を目指すため指示を出した。


「了解した!!」


微塵も反省していない謙太郎さんは振り返ると、意気揚々と走り出す。

青い光に怯えた深き者どもや緑の巨人達は姿を消していた。

兼兄は謙太郎さんの力によって敵に与えた恐怖を利用したようで、既に開けた道を駆けていく。


「しかし・・・深き者ども達だけじゃなく落とし子までもビビらせるとは・・・思っていた以上だな。」


俺の隣を走る兼兄は辺りを見渡しながら呟く。


「落とし子・・・?」


「あのでっかい奴らの事だ。クトゥルフの落とし子と言ってな、

奉仕種族の一体なんだがかなりタフでなかなか倒れない厄介や奴らだ。」


確かに一度戦闘になった際には、楓たちの攻撃を受けてもなかなか倒れなかった。


「だが・・・ここにいる奴らは種族の中でも最小クラスの奴らばかりだ。

デカい奴になると十メートルぐらいの大きさになる。そいつらを相手するとなると骨が折れるぞ。」


かなり大きな奴らだと思っていたが、それでも最小サイズなのか。

強い兼兄が骨が折れると言っているという事は相当タフなのだろう。

この先で新たに出てくる可能性は低いだろうが、土御門が召喚してこないとは限らない。

だが先頭を走る謙太郎さんが扱う青い炎はどうやら奴らにとって相性が良いみたいなので、

有利に立ち回れるだろう。


「まったく・・・。」


少し走ったところに見たことのある姿が目に写る。


「あの背丈・・・間違いないな。」


武装した集団の中で目立っているひときわ小さな姿の女性。

傍から見ればライオンの群れにいる小さな鹿のように見えるが、

小さな背丈に似合わない大きな斧が細い腕に隠されている剛腕を示している。


「ノエル!」


白の部隊を率いているノエルさんを兼兄が呼ぶと安心した表情でこちらを見るが、

先頭を走る謙太郎さんを目にした瞬間、眼が笑っていない恐怖の笑顔を浮かべる。

その表情を見た謙太郎さんの足が止まりかけるが、すぐ後ろにいた伊達さんと長野さんに背中を押す。


「お前が悪い。」


「諦めて罰を受けろ。」


観念しろと無理やりノエルさんの前に立たせると

無言のまま落とされた斧が頭を落とされた。


「いっ・・・・!!!」


斧腹で叩かれた謙太郎さんは頭を抑えながら蹲る。


「授業で教わったはずですよ?こうした緊急事態の場合、味方と離れずにいろと。」


全くの正論を言われた健太郎さんは自然と正座をして首を縦に振った。


「兼定や龍穂君を連れてきたのは良いことですが・・・

先輩としてかなり恥ずかしい行動を取った事を恥じなさい。」


二度としないようにと、もう一度落とされた斧の一撃を喰らった謙太郎さんは何もしゃべることなく

俯いてしまうがまったく可哀そうには思えない。


「ノエル。迷惑をかけたな。」


説教が終わったタイミングで兼兄が近づいていく。


「それは龍穂君には言うべきですよ。ひとまず・・・生きていて何よりです。」


誰も欠ける事なく合流できたことをノエルさんは祝うと、

兼兄は武装していた白の部隊一人一人と親し気に挨拶を交わしていった。


「みなさんお疲れ様です。十二天将達との戦いに勝利したと報告が入っています。

そして・・・。」


俺達を労った後、ノエルさんは白虎に視線を移す。


「まさか式神契約まで勝ち取ってくるとは驚きでした。」


そう言うと白虎に挨拶をする。

ノエルさんが予想できないほどの結果だが、そのおかげでここまで傷一つなく

たどり着けたことを考えるとやはり楓の功績は大きい。


「ノエル。他の部隊はどうした?」


挨拶を終えた兼兄はノエルさんに尋ねる。

他の部隊・・・おそらくだが竜次先生が率いている部隊の事を言っているのだろう。


「上層階にて泰国を捜索中。まだ見つけたという報告は入ってきていませんが・・・

面白い情報が入っています。」


「ぜひ聞かせてくれ。」


ノエルさんが携帯を取り出すと、とある画面を見せながら話し始める。


「ショッピングモール内でいくつかの陣を発見しました。

形状からして・・・何かしらの召喚を試みていると思われます。」


床に赤い何かで書かれた神道で扱う陣。

用途は色々あるが・・・ノエルさんの言う通り、召喚に扱われる陣に似ている。


「そうか・・・・。」


画面をまじまじと確認した兼兄は土御門の目的を考え始めるが、

すぐに手を叩き全体に指示を送る。


「各員、上層階に移動するぞ。

敵の狙いは未だに掴めないが、ヒントを得るために触接陣を見に行こう。」


土御門は切れ者だ。

何かしらの召喚を試みているフリをしながら別の何かを狙っているなんてこともあり得る。

だからこそ一度陣を見たいのだろう。そしてその上で新たな指示を送る算段の様だ。


「その前に・・・龍穂達、挨拶をしておけ。これから背中を預ける大切な仲間達だ。」


兼兄の家族、そしてここから共に戦う大切な仲間達の元へ歩み、自己紹介をしたのち固い握手を交わす。


顔を見られないようにマスク等で隠していたが、わざわざそれをとってにこやかに挨拶をしてくる。

見た目からしてかなり若く、俺達と同年代と言われてもおかしくないメンバーで構成されているが

各々がかなりの風格をまとっており、実力が相当高いように見えた。


「よし、行くぞ!」


あらかた挨拶を終え、再び駆け出す。

俺の命を奪うだけではとどまらない土御門の目的。それが一体何なのかを確認するために足を進めた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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