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異世界最強の魔術師は包丁を手に (旧作 世界一の魔術師 大幅リメイク版)  作者: クリップキラー
少年期 前座 学校に行こう
47/48

我々はAクラスの中でも最弱ッ!

大会1日目。

 今回の大会は、2日間に渡って行われる。1日目は予選トーナメント。2日目が決勝トーナメントだ。予選は最大1日2試合。決勝は1日で3試合行う。もちろん最後まで勝ち進めばの話だ。最終的には、3日で7試合戦うことになる。

 聞いたところによると、参加チーム全32チーム内、10チームがCクラス、また10チームがBクラス、そして残りの12チームがAクラスのチームとして、配分されている。基本的には出たい人が出るのだが、人が足りない時には、成績上位者から人数合わせとして選ばれていく。

 まあ分かっているだろうとは思うが、いつもいつも決勝トーナメントに進むのは、ほぼ全チームAクラスの連中だ。たまにBクラスが交じることがあるそうだが、基本は決勝でぶちのめされるらしい。

 実力的に相当な差があると言っても、過言ではないほど、AとBではレベルが違うそうなのだ。


「いやぁ。大会っていうのはテンションが上がるよね。僕も興奮し始めてるよ」


「主君。試合はいつからですか?」


 フランもワクワクしているようだ。アッシュに関しては言葉に出ているな。こいつらは結構テンションアゲアゲだな。

 

 何っていうか、前までこいつらの事ウザイと思ってたけど、やっぱりいイイヤツだとも思うようになった。思ったよりも人の心っていうものがちゃんとあると思う。いつものメイドのように動く2人も、やっぱり自分の心もあったというわけだ。


「まだ時間があるなら僕がお菓子でも持ってこようか」


「アシュガノフさんが行く程じゃない。私が行く。君主。飲み物は?」


 前言撤回。こいつらは人形のような奴らに変わりなかったわ。 


「いや。どうせすぐ始まるし。あとお前らウザイし」


「な……うざい……」


 明らかに2人が不服そうな顔をしている。俺を君主って呼ぶくらいなら、俺の前ではそんな顔するんじゃねーよ。

 というよりそれ以前に、その君主が嫌がってるんだからさ、やめようよ。と、思うのは俺だけなんだろうか?


「おうおうおう。わざわざ俺達に倒されに来てくれたのか。ご苦労ご苦労」


 後ろから声。振り向くとそこには、例の3人組とハルバードがいた。相変わらず馬鹿面だ。なーにがご苦労だ。お前らこそご苦労さまだわ。俺に倒されるためにこの大会に参加したようなもんだろ。

 別にね、俺の力が強いとは言わないよ。それは完全に危険フラグたっちゃうし。でもね、こいつら倒すのは簡単なんだよ。そういえばハルバードは強かったのか?


(先生なだけあって強いっちゃ強い。でも、魔力だけ見ればヴァイアの方が強いと思うぞ)


 そういえばお前さ。今更なんだけどどうやって人の強さを見極めるの?


(それぞれの個体から出ている魔力の流れを見るんだ。その流れからは、魔力、筋力、思考力、知力とかをなんとなーく知ることが出来るんだよ)


 あの前に言ってた、探知機云々を発見する方法と同じか。

 残念ながら俺には見えないから、相手の力量が知りたくばアザゼルにいちいち聞かなければならない。


(魔眼か邪眼か覇気感知がないとダメだからな)


 なにそれ?魔眼ってあれ?俺の右目がぁ!うぁぁあああ!って奴?中二病要素満載じゃねーか。


(ほら。お前が興味津々な精霊の力って奴だ。俺は何度も転生してるからいろんな種類の精霊の力を持ってるぞ。あと魔眼は別に痛い人専用じゃないからそこんとこよろしく)


 お前魔王なのにもらえんの?魔王が精霊から力もらうとか想像するだけで吹きそうなんだけど。せめて対極の関係として、仲が悪いから精霊の力手に入らない、みたいな設定が欲しかった。

 しかも転生した後も引き継がれるんだ。意外。転生したらリセットじゃないんだ。


(あれは肉体じゃなくて、精神に能力が刻み込まれるからな)


 そうなんだ。まあ、この世界で転生してるのなんてお前と勇者ぐらいなんだろうけど。


(たまぁにな、前世の記憶がない癖して精霊の力持ってる奴がいるんだよ。記憶と一緒にリセットするはずが、リセットし忘れた。みたいな感じで)


 イレギュラーって奴か。まあ、あんま関係ないかな。俺だってまだ7歳くらいだし。精霊の力貰うにはちょっと幼いね。まあいい。心はいつも若者だ。


「そろそろ始まるか。まあせいぜい、Cクラスのやつにまでやられないように気をつけるんさな」

 

 アザゼルと話していると、また前からハルバードの声。

 まだいたのかよ。と、思いながら前を向きなおす。


「ぼ~くたち~と当たったら~かわ~いがってあ~げるよ」


「誰がお前らに可愛がられなきゃいけないんだ!主君。こいつら気持ち悪いです!」


 フランに比喩は通じないようだな。それにしても、俺とその他とで、話し方が全く違うのは面白いな。


「どうせ始まるし。こいつらは俺らが可愛がればいいさ」


「主君にそんな趣味が……」


 どんな趣味だよ!そんな趣味ないわ。何が悲しくて、こんなウザイチビデブを可愛がらなきゃイケナイのだ。比喩が通じないのは不便だな。

 冗談を間に受ける奴ほど怖いものはいないと聞いたことがある。

 それと同じくらい、怖いのは、本気でフランが軽蔑をいっぱい込めた冷たく鋭い目線が、俺に突き刺さることくらいだ。もう少し愛情の篭った目線が欲しい。んま、冗談はさておき、そろそろほんとに始まっちゃうからな。


「はっ!面白い冗談を。せいぜい僕らと戦うまでに負けないでおけよ。僕も君達の事は少し気に入らないんでね。せめて僕の手で君たちを葬ってやる。行くぞ。チビッタ、ヒョロン!」


 アイツらチビッタとヒョロンっていうの?まじか。超受ける。名前通りじゃん。チビデブと、ひょろっひょろの無口君。

 名前通りの二人を見て、吹きそうなのを我慢した。


 そうして、3人組は会場に向けて去っていった。


「俺達も行かないとな」


「ぶっ飛ばしてやろう。今日は僕に先陣を切らせてくれ。僕が負けたら、ガリュー君。頼むよ」


「あ、ああ」


 こいつが負けるとは思えんが……何たってあの3人組のリーダー(っぽい奴)の5倍の力は持ってるんだから。



ーーーーーーーーーー



 開会式が終わった。


 早速1試合目が始まる。相手はCクラスの子。正直アッシュに任せてよかった。丸腰であんまり強くない子に俺が攻撃するとなると、罪悪感が凄い。


 結果は言うまでもない。アッシュの瞬殺。圧勝だった。


 1人目。アッシュは光魔術で相手を目くらましさせ、火の玉をしっかり当ててフィニッシュ。

 2人目も、土魔法で地面から土の柱を出して相手を吹き飛ばす。

 3人目に関しては、逃げ出してしまって、勝負は不戦勝という扱いだった。


 ちなみに負傷者は、医務室へ運ばれる。敵の2人は、負けた直後に、先生達に運ばれていった。


これでもうあと一試合しかない。


「アシュガノフさんばかりずるいです。主君。次は私に」


 アッシュの戦いを見て、自分も戦いたくなったのだろうか?


「いいよ」


 2試合目。今度はAクラスの奴だ。あの3人組の奴等ではないが、結構な馬鹿面だ。


「我々Aクラスの勝利は決まったな。いや、そもそも我々Aのやつら以外に負けるなど、Aクラスに在籍する生徒として許されることではないものだしな!」


 相手の強さも見極められないやつが勝てるわけあるか。なんて思いながら俺は高みの見物。

 フランの殺気が込められているかのような視線が、相手を貫くが、相手はそれに気がつかない。

 ご愁傷様としかいようがない。


 先の見えた戦いをわざわざ見る必要もないか。と、俺は観客席の方へ視線を移す。


 さっきは気づかなかったけど、観客が沢山いるな。前世でいう所の、体育祭のような感じだろうか?

 何か騎士っぽい人とかもいるな。明らかに保護者ではないだろ。


(スカウトじゃねぇか?優秀な生徒にツバつけとこうって奴だろ)


 どこぞの高校野球だ。あの人にアピールできれば、職業ゲットですかねぇ?


(ああ。お国の王様を守る親衛隊になれるかもな)


 それは困る。俺は冒険者志望だ。あ……冒険者兼料理人か。今のところ。

 あっちにいる魔導師っぽいローブ着ている人たちも、その類の人たちかな?あれ?良く見ると結構沢山いるな。いい人材の取り合いになりそう。


 とかなんとか、観客席にいるスカウト(らしき)の人たちを探している間に、試合は終わっていた。。見事に敵が伸びてるな。

 何があったのか知らないが、完全に相手が気絶している。 


「フラン。お疲れ」


「勝てた。全部君主のおかげだ」


 そうじゃないと思う。俺何もしてないし、何より力の差がありすぎるから。

 あと、何したのか知らないけど、やりすぎは禁物だからな?

 戦闘狂のフラン。何をしでかすかわからない。


 ん?観客席が凄いざわついてるな。


 そりゃそうか。Aクラス相手に圧勝する美人な女の子の超新星が現れた!つってな。


「う……」


 お。まだ敵が生きてた。いや。そもそもここで戦えば死にゃせんのだが。


「俺はAクラスの中でも弱いほうのグループだ……我々に勝てたって……あの人たちには勝てやしない……」


 そう言って彼は力尽きた。もちろん死んでないぞ。

 しかし……どこぞの四天王だよ!と、心の中で突っ込んでしまった。


 こうして、予選は、俺達の圧勝に終わった。

 よし、ハルバードよ。俺たちがお前の鼻を根元から折ってやろうじゃないか!


 

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