(短)ガリューとアッシュが戦ったら
ガリューとアッシュがお互いの力量を知った上で戦った場合のお話です。
すこぶる短いです。
魔術の授業では、ペアを組んで模擬戦を行う授業があった。
勿論、いつもなら、俺とペアを組むやつなんていない。医務室に秒速で叩き込まれるからだ。が、それはいつもの話。あくまでもいつもだ。
「ガリュー君。ペアを組んでくれないか?」
アッシュだ。いい加減このしつこさには、嫌気がさしてきた。
「良いけど、また医務室行くハメになるぞ」
「君と戦えば強くなれる。医務室なんてへじゃないさ」
いきなりライバル発言かましてる感あるけど、お前まだ一回しか戦ってないだろ。それも秒速で吹っ飛んだじゃないか。
「皆さん。ペア組みましたか?組んだようなので、模擬戦を始めましょう。ガリュー君はやり過ぎないように」
「は……はい」
もうこの一言でヤル気失せた感ある。まあ当然だろう。俺が初めて模擬戦したときには、校庭全体をスケートリンクに変えてしまい、その場の殆どが、氷漬けとなったからな。
明らかにオーバーキルだろう。キルはしてないか。皆生きてたし。
手加減したつもりなんだが、どうもそうなってしまうのだ。迷惑な話だ。正確には、迷惑な話だった。といったところか。
今ではアザゼルも好き勝手やっていないので、それなりに制御できている。
ここ最近の模擬戦は割と問題なくやれているのだが、いつもいつも前の例があったがために、対戦相手が見つからないのだ。
「それでは始めていいですよ」
そこら中で炎やら氷やら水やらが飛びまくり、戦闘が開始される。
俺は魔術を撃とうと思ったが、踏みとどまる。範囲攻撃を使えば、今度こそ死者が出るかもしれない。
かと言って、単体用のアイススピアや、アーススピアを使えば、威力が異常すぎて、本気でオーバーキル。真面目にアッシュをキルしかねない。殺さず戦闘不能にさせることなど、俺にとって最もやりづらい事だ。ここら辺どうにかならんかな?
(無理だ。俺が入ったお前が使う魔術は、自動で威力に補正がかかっちまうのよ。そもそもお前自身が強いから、補正かけなくたって制御は難しいと思う)
無理、お手上げ、という事か。非常に扱いづらいな。
そんなこんなで、最終的には、あの技で落ち着いてしまうのだ。
足に魔力を一気に込めて、蹴る。高速移動からの必殺のパンチ。
こうして模擬戦は又しても、秒速で終わってしまった。




