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異世界最強の魔術師は包丁を手に (旧作 世界一の魔術師 大幅リメイク版)  作者: クリップキラー
少年期 前座 学校に行こう
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魔術研究してみる

 神級。

 この称号を持つものは、『何か』で、世界の頂点へ、高みへと上り詰めた者たちだ。

 そんな偉大な称号を、俺は12歳になったらほぼ確定でもらえると言われた。

 まだ7歳やそこらの、青年とも言えない、もっと小さい子供が、だ。

 

 本当にそんなんでいいんだろうか。料理ギルドってのは?


(それで良いのだ。だからお主はありがたくいただくのじゃぞぅ)


 いやお前誰だよ。ひっこめアザゼル。

 しかし、最近は料理のことばかり。

 たまには暴風と大雪の吹き荒れる大地でも、魔術の自主練習に励みたいところだ。


 明日はちょうど休みの日。

 一人で魔術の練習したいな。

 

 俺個人で、勝手に遠いところで魔術を使っていれば、どんなに危険でも、被害に遭うのは俺一人だから、先生には怒られない(怒られなくはない)からな!

 どんなに危険で、みんなの前ではできない魔術でも、一人で誰の迷惑にもならない場所でやるならなんの問題もない(わけがない)。


 そして、そういうことをしていい、人目につかない最適な場所が、この学校にはあるのだ(良い子は真似するなよ!)!


 それが、広大な学校の敷地内で、あまりしっかりと管理されていない、迷いの森だ。

 学校の校舎の裏側にあり、非常に大きい森だ。

 迷いの森と言われているが、実際は言っても出られなくなるような森でもない。


 管理されていないとは言っても、魔力結晶のが後の力なんだか知らないが、モンスター的なやつは住み着かない。

 迷いの森という割にはあんな前な森がある。


 そこなら、多少大規模な爆発を起こしたって、ばれないのだ。

 ばれなきゃいいんだ。ばれなきゃ(そんなことはない)。


 俺にとってはすごいいい場所だ。

 魔術に関しては、わからないことだらけで、正直授業で聞いているよりも、自分でやった方が早いと思っていたところだ。

 その上、外はものすごい大雪。

 

 出て行っても誰も気がつかない。

 大爆発しても誰も気がつかない。


 学校の敷地内だから安全。遭難はしない。


 今の天候はまさにベストタイミング。

 寒さは、魔法でなんとかなる。


 迷いの森での魔術研究にこの季節は最適なのだ。


 よし。明日は魔術の研究だ。



ーーーーーーーーーー



 さあ。やってまいりました。

 森の奥。

 豪雪地帯の雪をかき分け、肉体強化で全ての雪を吹き飛ばし、森の奥までやってきたんだ。

 せめて収穫の一つ二つは欲しい。


 服を重ね着し、さらに火の魔法で暖をとりながら、手には火を点らせ、肉体強化した拳で雪をめった打ちにし、やっとこさ出来た道を進むこと、十数分。


 もうこれぐらいくればいいだろうと思った俺は、荷物を置いて、自分と荷物に障壁を張った。

 障壁は雪のような個体も守れて便利だ。


 ではでは。と、俺は研究に必要なメモを取り出した。

 もうすでに、今の所、魔法、魔術関係で、わかっていることを書き出しておいてある。


 まず、魔法(魔術も含め(以下略))は元素魔法、特殊魔法に分かれる。


 元素魔法は、火、水、氷、土、風、岩、光、闇の7種の魔法を中心にその他の元素系魔法に派生していく。

 火の能力を高めれば炎にも、マグマにもなる、という認識でいいはず。


 そして、それらの元素系魔法とはかけ離れた存在の魔法が、特殊魔法。

 障壁や、肉体強化系の魔法などがこの分類に入る。


 と、いうことは、テレポートとか、召喚魔法なんかもここに入るのか?


(俺は、お前の言うような瞬間移動する魔法は知らないし、何かを呼び寄せるような魔法も見たことも聞いたこともない)


 そうなのか?

 アザゼルが知らないなら、本当にないのかもしれないな。

 だってお前、もし本当に魔王だったら、何百、何千年って生きてるんだもんな。


 まあいい。

 問題はその後だ。

 この、特殊魔法は特に難しい要素が少なく、元素魔法よりも簡単に使える。代わりに、少し使用時間に対し、消費する魔力が高いのがネックだ。


 まあ、ある程度の容量魔力があれば何も気にする必要はないみたいだが。


 だが、それとは逆に、元素魔法に関しては、決まった型がほとんどないため、その場で型を作る場合が多く出る。

 元素魔法、特に魔術に至っては、呪文を詠唱することで、先人が作り上げた型を借りて、そこに生地を流し込む感じだ。

 確実であることは間違いないだろうが、必ずしも、先人たちの用意した型が、必要としている形とあっているかどうかと言われると、それは違うだろう。

 そうするとやはり、自分の中で意識して、新たに呪文を作る、または、呪文がなくても高威力の魔術が扱えるようになることが必要だ。

 だが、そうしなくても強力な魔術を作り上げることができるんじゃないか?


 そこで、俺は案を考えてきたんだ。

 聞いてくれアザゼル。


(おう。知っってるけど可哀想だから聞いてやる)


 まあ確かに、考えてる間もこいつは俺の中にいたから知ってるんだけども、それにしても可哀想だからはないだろ。と、心の中でつぶやきながらも(全部アザゼルに筒抜けなのもわかっている)、アザゼルに語りかける。


 俺は、これまでの授業で、幾つかの元素魔法を合わせ、複数の属性を持った魔法、魔術を作ったことがない。

 それができれば割と強いんじゃないか?


 という考えだ。


 例えば、水に雷(光からの派生)で、電気ショック!とか、闇と火で黒炎(なんかヘルフレア的な)!みたいな。


 で、アザゼル先生。

 こういう風な、属性を複数混ぜた魔法はできるんですか?そして危険じゃないんですか?


(答えてしんぜよう。できる。けど難しい。これに関しては、呪文でどうこうなるレベルじゃない場合もある。できるヤツはできるし、できないヤツはできない。お前ができるヤツなら、危険はない)


 と、アザゼル先生。

 

 なるほど。これは試すしかないですね。


 前からやってみたかった魔術。

 

 空中のできるだけ高いところに岩魔法で岩を生成。火魔法で炎を灯す。風魔法で空気抵抗相殺&追い風で速度を上げる。ついでにあるのか知らないけど、重力魔法っぽいのも勝手にイメージ。

 どんな魔術?と、言われれば、そりゃあもう隕石だとしか言いようがない。


 メテオだメテオ。

 

 一回やってみたかった。夜空に光る流れ星。


 星に願い事を!



ーーーーーゴウン


 星に願い事を。の段階で、目をつぶっていた俺。

 目の前の雪が吹き飛んで障壁に当たりまくっているのに気がつかなかった。


 すごい勢いで飛来してきた隕石は、俺の目の前の雪が積もっていた森の中心地をさら地へと変えた。

 熱で雪は溶け、地面には大きなクレーター。隕石自身も力に耐え切れず、四方八方に砕け散っている。

 幸い、障壁で無傷だが、目の前は大惨事だ。


(おっと……これはこれは。このままいくと、安全地帯だったはずの森が、隕石注意報ばっか流れる、いや、隕石警報が鳴り止まない超デンジャラスな森になるな)


 なんだよ隕石警報って。大雨警報のもじりか?


(気になるところはそこじゃないだろ?もっと大事なことがあるだろ?もうちょっと手加減とかいう言葉を覚えて出直してこようぜ)



 そうだな。



 



 そうして、俺たちは、学校へと帰って行った。

 隕石が大掛かりすぎて、さすがに学校の人達にも見えたようで、帰ったらすぐに先生に呼び出しをくらった。


 森でこそこそ研究するのは無理がありそうだ。と、正直思った。


 


 


 



 

 


 


 

 

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