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異世界最強の魔術師は包丁を手に (旧作 世界一の魔術師 大幅リメイク版)  作者: クリップキラー
少年期 前座 学校に行こう
32/48

追跡者

 アザゼルが姿を現してから数日が経った。

 眠れば眠っただけ疲れが取れるし、魔法の制御も完璧。ただ、好奇心からたまに危ない魔術を使うこともしばしばあるので、医務室に送る人数が減ったかと言われると、そうでもない気はしなくもない。

 

 魔法や魔術の安定とともに、力がみなぎってくるような感じもした。

 アザゼルの言っていた、魔力の上乗せが、ここにきて実感できてきている。


 そのおかげかは知らないが、無詠唱魔術の方も、わりと具現化しやすくなってきている。

 が、実際使おうとすると、先生にぶっ飛ばされるので(先生の前では)使ってはいない。


 しかし、これまでのようにストレスがたまるような生活ではないので、すっきりしている。


 そんなある日のことだった。


 アザゼルが急に、


(誰かにつけられている)


 と言い始めたのだ。

 つけられている、ということはつまり、アザゼルかもしれないが、誰かに監視されているということか?


 と、アザゼルに聞くと、


(そんなもん知るわけがねえだろ。だが、確実に誰かがいるということは間違いない。いや、お前をつけているのかはわからないが、どこかのよそ者が、妙に嗅ぎ回っていることだけはわかる)


 どういうことだよそれ。

 嗅ぎ回ってるって。だいたいお前は俺の中。何がわかるっていうんだ。


(お前たち人間と俺は、ちょっと構造が違うんでな。魔力の流れに敏感なんだ。周辺の魔力を感知する何かが使われているのがわかった。面倒だ。俺がばれると面倒なことになる)


 周囲の魔力を感知する……サーモグラフィーとか、レーダーみたいなものか?

 ばれると面倒、っていうのは、おそらく会話できる精霊である、ということについてだろう。


 そう思った俺は、特に深くは聞かなかった。



ーーーーーーーーーー



 事件が起こったのはその翌日のことだった。

 普通に廊下を歩いていた時、アザゼルがいきなり俺の中で叫んだ。


(いる!それも近い!後ろ、斜め後ろの壁のあたりに誰かが…..)


 俺はバッと振り返って言われた方を見るが、何もいない。


 なんだ。いないじゃないか。と、安心して向きなおる。


(いなくない。普通にいるぞ。擬態魔法の一種だ!)


 擬態魔法とは、元素魔法の枠に収まらない、特殊な魔法の一つで、簡単に言うと、透明人間になれたり、虫や動物になれたりする魔法だ。

 まあ、大きさまでのごまかしはきかないようなので、虫に擬態すると恐ろしいことになるのだが……。


 俺はそう聞いて、言われた場所の部分をばしっと叩く。

 

「ガハッ…!」


 壁だと思っていた部分が、人型に変化した。

 擬態魔法の不便な点は、擬態者が衝撃を受けると解除してしまうという点だ。

 なので、その壁に擬態、いや、正確には透明人間になっていたと言えばいいか。

 その透明人間を叩いたことで、魔法が解除されたわけだ。


「なぜばれた…!やはり魔王が!くそがっ!」


 透明人間の正体は大人の男。やや小柄で、服は黒。目つきがあまり良くない。

 なんて、相手の観察をしていたら、いきなり男が殴りかかってきた。


「なっ!」


 とっさに避け、こちらも反撃できるように体制を整え、向きなおる。

 が、その場に男の姿はもうなかった。


「な、なんだったんだ?」


 俺はまだ、透明化した状態ですぐそばにいるかもしれないという危機感から、警戒を緩めない。


 アザゼル。もういないか?


(わからない。魔力の流れが消えた。やはり、何かそれらしい、探知系の魔法、または道具を使用していたようだ。使用が切られた。もう魔力の流れで追うことはできない)


 くそ。逃がしたか。一体何なんだ。俺のことを見て、魔王と叫び、殴りかかってきた。

 何が魔王なんだ?


(俺が魔王だ)


 は?お前はなんなんだ。そんな冗談にさすがに騙されやしないぞ。だいたい、お前が俺の精霊っていうところもすでに怪しいっていうのに、何が『俺が魔王』だ。


(まあ証明する手段がないから何とも言えないが、俺の魔力が外に漏れ出て、どこかの国のお偉いさんが秘密組織を総動員したんだろ?)


 お前の魔力が外に?

 どういうことだ?


(俺が初めてお前の前に姿を現した時、鏡に俺を無理やり写しただろう?あの時にちょっと魔力を、外界に干渉するように放出しているから、それでバレたんだろ?)


 まあ待て。まとめさせろ。

 まず、お前が外に干渉するように魔力を放出させると、何がまずいんだ?バレるってどういうこと?


(俺の魔力は他の生き物とは異なる….お前にわかりやすく言えば周波数。そう。他とは違う周波数の魔力)


 違う周波数?まあ、簡単に言うと、他の魔力とは何かが違うって言いたいわけだな?


(そう。そして、俺は魔王だから、世界の国々の上層部の皆さんに恐れられすぎて、俺の魔力を探知できる道具を作った)


 ほう。まあ今はお前が魔王だと仮定した状態で話を聞いてやる。

 で?


(だから、外に魔力を漏らした時に、大体どの辺りにいるか、バレちゃったというわけだな)


 バレちゃったって。なんか軽いな。仮にお前が魔王なら、勇者が俺を殺しに来ることもあるってことだろ?

 

(さあ。そもそも勇者だっているのかどうか?そこからだろ?俺は魔力回復のために身を潜めていたが、あっちの方はどうだか。まあもう、さっきの男が国にかええって報告しちゃうだろうから、そのうち大変なことになるかもな)


 いろいろと聞いてると、なんか今後大変なことに巻き込まれる気がするんのだけど。

 お前が本当に魔王じゃないことを祈りたい。


(まあ残念なことに、現実とは残酷なものだ。どうせまた飽きずにどっかの国の人たちがやってくるだろうが、見つけたら即刻捕まえる感じでいこう。後々だるいし面倒だし)


 魔王本人がそんなんでいいのかよ。

 まあとにかく、次に誰かが来て、それで俺に対して魔王っぽい言葉を言ったら、お前を魔王だって信じなくもない。

 何も真っ向から否定するつもりはないしな。

 そもそもお前ん存在が特殊な時点で、魔王みたいな何か特別な存在であるという可能性も捨てきれないしな。


 じゃあお前の今の状態ってさ


 名前    アザゼル

 職業    魔王(精霊状態)

 状態    霊体

 ステータス 魔力がすごい


 って感じだな。


(RPGみたいにするなよ)


 やめろよ。この世界でゲームの発言とか。雰囲気壊れるだろ?


(いや、現況は間違いなくお前だろ)


 いや、そうなんだけども。

 ちなみにアザゼルは、俺の記憶も読み取れるようで、俺が異世界転生したことも知っている。

 地球で遊びまくったゲームの記憶も、こいつとなら共有できる。


 閑話休題。


 ちょっとしたおふざけは置いておいて、なんだかんだで俺に魔王(仮)が取り憑いたようだ。

 




 

アザゼルの謎に迫る?


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