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異世界最強の魔術師は包丁を手に (旧作 世界一の魔術師 大幅リメイク版)  作者: クリップキラー
少年期 前座 学校に行こう
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魔王降臨

 まあ正確に言うと、くらっときたのは眠いせいだったのかもしれない。

 鏡の世界から俺の中に戻った精霊はまだまだノンストップで話を続ける。


(まあ、ちょっと大変な日々が続いたと思うが、それも今日で終わりだから安心してくれ。お前には安眠と魔法の制御が確立された)


 確立されたんじゃなくて、これまで誰かのせいで確立されていなかったの間違いだろ?

 なんでそんなに上から目線なんだよ。


(馬鹿野郎。俺の方がお前の何倍生きてると思ってるんだ。俺の年齢聞いたらお前、腰抜かして驚くぞ?)


 また意味不明なことを。何歳なんだよ。


(忘れた)


 忘れたのかよ!

 本当に馬鹿な精霊に付きまとわれたものだ。


 こんな精霊、いない方が何倍もいい。

 眠れない夜は続くわ、魔力の制御は時たまぶっ飛ぶわ、周りから白い目線で見られるわ。

 いいことがあるんだかないんだか。


(別に、嫌なら追い出すこともできるんだぞ。まあ、追い出したところで、精霊力はゼロ。魔力に関しては、俺の補正がなくなるから、今の半分くらいになってもおかしくないぞ?)


 メリットもありそうだが、それなりのデメリットもあるっぽいな。

 やめとこう。魔力は大切だ。

 しかも、いなくなったときのデメリットも思ったほど大きくなさそうだ。


 ふと、時間を見ると、もう朝食の時間。

 精霊を相手に話している間に、俺はだいぶ時間を無駄にしてしまったらしい。

 俺は急いで支度をし、食堂へ。


(あ、そうそう。食事とかの美味さとかって、お前が食べると俺にも伝わるから、うまいもんたくさん食ってくれるとありがたいな。特にお前の料理。あれは俺も興味がある。ちょくちょく食わせて…いや、食ってくれ)


 知らねえよ。

 別に俺はお前の舌を満足させるために生きてるわけじゃあねえから。

 

 それとお前本当にうるさい。 

 ちょっと黙るって技術を身につけてくれ。


(いいじゃないか。どうせお前だって話し相手いないぼっちなんだから)


 誰がぼっちだこの野郎。喧嘩売ってるのか?


(実際、授業中お前は恐れられてて誰も近づこうとしない)


 誰のせいだと思ってるんだ。

 全く。


 俺はいつもと同じように食事を受け取り、いつもと同じ席に座る。

 別に席が決まっているわけではないが、大体はこの席だ。


 いつも通り席に着くとともに、食べ始めるのだが、今日は周囲(正確には俺の中)が馬鹿みたいにうるさかった。

 姿を現してからは、もうこいつ、しゃべりっぱなしだ。


 精霊の名は、アザゼル。

 前世でそう呼ばれていたとかどうとか。

 どこぞの天使か悪魔かと突っ込みを入れたかったが、入れなかった。

 まあ、どうせ本人にこの考えは筒抜けなんだろうが。


(ああ。筒抜けだな。これがものすごく、面白いほどによく聞こえる。変なこと考えたら、俺に伝わる。これからは常に監視する人ができて、お前の脳内セキュリティもバッチグーだ)


 何言ってるんだこいつ。脳内にセキュリティって、誰が俺の脳をハッキングするんだよ。

 頭は大丈夫なんだろうか?もちろんこのアザゼルに対してだ。

 

(まあお前よりはな)


「んだと!?そろそろ静かにしろよ」


 少したまった怒りが、声となって外に放出されてしまった。

 まあ当然のことだが、はたから見れば完全に、一人で黙々と食べていたはずの男子が、いきなり一人で話し始めたようにしか見えない。

 

 お前のせいで完全に変な奴じゃねえか!


(安心しろ。医務室送りの異名もちが今更変な奴とか言っても意味ないから)


 それがお前のせいだと何度言えばわかるんだろうか?


 とにかく、こいつと会話するときには、声を発しないことを心がけよう。

 一応このことを知っているのはソニックだけなのだから。


(残念。どうせなら皆から後ろ指さされて笑われ続けてればいいのに)


 なんだお前?殺されたいのか?

 随分と調子に乗っているようだなさっきから。

 

(ジョーダンジョーダン。俺がここまで復活したんだ。俺の補正も十分に効いて、お前は圧倒的な魔法の制御力を手に入れ、向かうところ敵なし状態になるだろう。そうなった暁には、俺の願いを聞いて欲しいんだ)


 お前の願い?


(そう。今は詳しいことは話さない。時が来たら、な。あと、お前じゃない。アザゼルさまだ)


 あっそう。アザゼル。


 俺の日常が少し(?)だけ賑やかになった。

 だがそれは、俺の中だけの話ではなかった。



ーーーーーーーーーー



「陛下!緊急事態です!」


「どうしたそんなに慌てて」


 とある国のとある王宮にて。

 片眼鏡をかけた学者のような風貌の男が、超猛ダッシュで王のもとへとやってきた。


「ま、ままま、ま」


「ま?」


「魔王が!魔王が、魔力探知機に、ほんの数分だけ魔王の魔力が映りました!」


「な……?なんだと?すぐに圏内の探知機非保有国家に通達だ!すぐに列強国から階段の通達が来るぞ!私も準備しなくては!」


 王は急いで自身の部屋へ向かった。


 まさか恐れていた事態が本当に訪れようとは。

 平和ボケした世界に突如やってきた(復活した)魔王。


 このままでは世界が危ない。

 勇者の報告は未だに上がってきていない。


ーーーーーこのままでは危険だ



 



 このニュースは、世界の文明発達県国家に瞬く間に広がった。

 列強国及び準列強国による緊急会合が開かれたのは、そのすぐ後だった。


 事の重大性に気がついていなかったのは、ガリューだけであった。







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