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万象のアルカディア  作者: 藤崎悠貴
天空の魔法都市
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天空の魔法都市 8

  8


 空を渡る船は、わずかに速度を落として白いもやのなかへ突っ込んだ。

 あたりが一瞬、白く煙ってなにも見えなくなる。

 すぐにそのもやを抜けると、そこに広がっているのは、あるはずのない町の風景だった。


「わあ、すっごい――」


 燿は壁に張りつき、目を爛々と輝かせて町を見下ろした。


 町。

 それはたしかに町だ。

 明らかに人為的に作られた段差や、岩をくり抜いて作られたような家々が眼下に広がる。


 燿は、地球のヨーロッパ、それも地中海沿いにある古い町並みを連想した。

 空のなかにぽつんと浮かぶ町は、それによく似てまっ白で、太陽の光を反射して白銀に発光しているようにさえ見えた。


 家の作りは素朴だが、町はちゃんと都市計画に基づいて作られているらしい。

 町は横よりも縦に長く、下のほうは比較的入り組んだちいさな家が鳥の巣のように連なっていて、上になるにつれ、そうした家々が減っていく。

 代わりに、きれいに整備された道だとか、回廊のようなものだとか、大きな神殿めいた建物だとか、そうした上流階級的な雰囲気が強くなっていた。


 燿は必死に目をこらし、だれか住んでいないか視線で探した。

 しかし白い町は、まるで新品のように光を浴びてきらきらと輝いてはいたが、人間がいるような気配はなかった。


 船はゆっくりと町の上空を旋回しながら、今度は反対に高度を落としていく。


 近づいて、はじめて町のところどころが崩れていることに気づいた。

 とくに町の端のほうはいびつにえぐれていたり、やけに尖って突出していたりして、もとはもうすこし広い土地があったのだろうと推測できる。


「先生、先生、すごいよ、見てよ」

「う、うるさい、騙されないぞ、目を開けた瞬間にめっちゃ高いところにいるんだろ」

「めっちゃ高いところだけど、町があるんだよ!」

「ばか言え、こんな空の上に町なんかあるか。騙されないぞ」


 大輔はぎゅっと目を閉じ、座席にしがみついて動こうとしない。

 燿はため息をつき、大輔の説得を諦め、徐々に近づいてくる町の風景を眺めた。


 船は、降りられる場所を探しているようだった。

 町の下部はとくに混み合っていて、降りられるような場所はなかったから、すこし上昇し、町の中程、ちょうど桟橋のように突き出した地面に向かい、高度を落とす。


 船は垂直に、ゆっくりと下りていって、ほとんど衝撃もなく町に降り立った。

 すると、船が地面に接触した瞬間、白い石のように見えた地面に光が走り、それが波となって町全体に行き渡る。

 まるで生物がぞくりと震えたときのようだった。


 室内に少女の声が響く。

 ミラの言葉は、燿には理解できなかった。

 しかしどうやら着地したらしい気配を察知した大輔が、薄く目を開けてあたりを伺う。


「ま、町に着いたのか? ここはどこらへんだ?」

「空の上だよ、先生。なんかね、びゅーって長い棒みたいなのがあって、その上がここなの」

「……おまえ、説明下手だな」

「なんでよー!」

「神小路、状況を説明してくれ」

「だいたいは燿の言うとおりですよ」


 前の座席からの声に、そうでしょ、と燿は胸を張る。


「本当に細い棒みたいな、山か岩かわかりませんけど、そういうものが地面から伸びていて、その上にこの町があるみたいです。皿回しの皿の上って考えればわかりやすいかもしれませんけど」

「う……その想像はしたくない」

「なんでですか」

「だって皿回しの皿とか基本落ちるじゃん。いやだ、考えたくない」


 またミラの声が響いた。

 大輔はふとまじめな顔になって、


「外に出られるそうだけど、出てみるか?」

「もっちろん!」


 船の上部が、かしゃん、とちいさな音を立てて持ち上がった。

 ゆっくりと開くと、すぐ肌寒い空気が船のなかへ滑りこんでくる。

 燿は思わず自分の腕を抱き、ぷるると震えた。


「この町は寒いんだね」

「高度が高いせいだろうな。酸素濃度も薄いかもしれない。いまはいいけど、外に出たら高山病にかかるかもしれないから、とりあえず激しい運動は避けて落ち着いて――」

「わーい外だあ!」

「聞いちゃいねえ」


 燿はさっそく船から一番乗りで飛び出し、白銀に輝く地面に立った。

 それは見たところ大理石のようだったが、降り立ってみると、まったくちがうことがわかる。

 大理石よりもはるかに白く、また石の模様もなく、文字どおり銀を敷き詰めたようにつるりとしているのだ。


 燿は足元を見下ろした自分の顔がそのまま反射しているのを見て、にやりと笑う。

 もちろん、反射した燿もにやりと笑い返した。


 その後ろで、紫と泉、そしてミラを抱いたルネが降り立った。

 ルネはあたりを見回し、感嘆の息を洩らす。


「杖山の上に、まさかこんなものがあるだなんて――」


 空気は冷たく澄み切っている。

 肺のなかいっぱいに吸い込むと、内側から身体が凍っていきそうな雰囲気さえあった。


 彼らが降り立ったのは、斜面に沿って作られた町の中腹だった。

 よく磨かれた鏡のように反射する地面がまっすぐ続いていて、ちょっとした広場のようになっている。

 広場の向こうには階段が見え、階段の左右は柵に囲まれたなにもない空間だった。


 船から、最後にようやく大輔が下りる。

 恐る恐る足の裏で地面を確かめ、どうやら大丈夫そうだとため息をつく。

 そしてはじめて町を見下ろし、ほう、と声を上げた。


「これはまた、すごい場所だな。町っていうより、なんかの施設みたいだ。民家らしいものもないし」

「家みたいなのは、この下にたくさんありましたよ」


 と泉が言った。


「岩のなかに作った、洞窟みたいな感じの家でしたけど」

「へえ、なるほど。その家は、下にしかなかったのか?」

「はい。この上には、おっきな建物がいくつかありました」

「ふむふむ、なるほど。非常に興味深い」

「なにかわかりますか?」

「そりゃあ、いろいろわかる。基本的に町を見ればそこで暮らしていた人間たちの社会がわかるものだ。たとえば、下にちいさな家が密集していて、上に比較的大きな家があるのだとしたら、社会的地位にはっきりとした差がある、ということだ。そうした住み分けが明確になればなるほど、地位の格差が大きくなる。ここはそれなりに発達した社会を持った町ってことだよ」

「へえ……」


 泉は感心したように大輔の横顔を見ていた。

 大輔は、その場に屈み込み、鏡面のように反射する地面に触れる。


「ううむ、鉱物とは思えないな。いったい素材はなんだろう。まさか銀ってわけじゃないだろうけど、もしかしたら未知の鉱物なのかもしれないな。地球に持ち帰ったら高く売れそうだ、うひひ」

「……先生、本音が漏れてますよ」

「おっと失礼」


 よだれを拭って立ち上がった大輔は、そのままこつこつと靴を鳴らして歩いていく。

 燿やルネはすでに広場を横切り、階段に差し掛かろうとしていて、泉は広場の真ん中あたりで立ち止まり、大輔と泉を待っていた。


「そういえば、先生」


 大輔の後ろをちょこちょことついて行きながら、泉が言った。


「なんだか、この世界って不思議ですよね」

「え、いまさら? おまえ結構天然だなあ」

「ち、ちがいますよっ。だってほら、ここって、新世界ですよね? 地球とはぜんぜんちがう、どこかの惑星で……」

「正確には、宇宙そのものがちがうんだけどな」

「そんな、まったくちがうところでしょう? でも、新世界って地球にすごく似てるじゃないですか。人間だって住んでるし、お米もあるし、地球と同じ野菜がなってたり、地球と同じ鉱物があったり。それって、よく考えたらとっても不思議なことですよね?」


 大輔はぴたりと立ち止まり、泉を振り返る。

 泉は驚いて後ずさったが、大輔はその泉の頭をぽんと撫でた。


「わっ――」

「岡久保、おまえ、ほんといいやつだな。心が洗われるよ」

「え、そ、そうですか……」

「その疑問はまったく正しい。当たり前すぎて見過ごしてしまうようなところに真理は潜んでるんだ。いやあ、おまえのような生徒がいて、先生は頭が高い。いや、ちがった、鼻が高い」

「ま、頭も高いですけどね」


 後ろから紫の冷えた声がする。

 紫はそのまま泉の身体をぎゅっと抱きしめ、まるで浄化しようとするようにゆっくり頭を撫でた。


「ぼくは病原菌かい。まあいいけどさ。いやしかし、岡久保、その疑問はすばらしいぞ。そう、ここは新世界で、地球とはまったく無関係に存在しているはずだ。でも、そうとは信じられないほど、ここは地球との類似点が多い。もちろん、異なる部分もあるけどな」


 広場から、同じ白銀の階段をこつこつと上って、大輔は言った。


「たとえば、神小路、地球と新世界で異なる点はなんだと思う?」

「魔力の有無ですか」


 紫らしく即答して、


「新世界には魔力がありますけど、地球には魔力がない。だから、わたしたち魔法使いも地球では魔法を使えない。それがいちばんの違いだと思いますけど」

「そのとおり。魔力の有無は、たしかに地球と新世界でいちばんちがうところだ。じゃあ、反対に同じところはどこだと思う、岡久保」

「え、あの、えっと……人間が暮らしてることとか、同じ植物があったりすること、ですか?」


 自信もなさそうな声だったが、大輔はこくりとうなずく。


「環境という意味では地球と新世界はほとんど一致している。まあ、太陽がふたつあったり、地球にある月がこっちにはなかったりもするが、自然環境は酷似しているといっていい。それはどうしてだと思う?」

「惑星の環境が一致しているせいじゃないんですか?」


 と紫は言って、


「恒星からの距離や大気の成分が酷似していれば、地球環境とだいたい同じ進化を辿るはずだと思いますけど」

「たしかに、それもある。その進化の不一致が新世界にしかいないドラゴンやらなんやらと考えれば、別におかしいところもないが、そんなこの新世界と地球が不思議な扉でつながっていたのはどういうことだろう。扉、というのが、いかにも意味深だろ。そういう場所、というんじゃない。人間だけがその用途を理解できる『扉』だ」

「――地球と新世界を結んだのは、人間ってことですか?」

「証拠はない。ま、仮説みたいなもんさ」


 階段を登りきる。

 その先は、大輔にとってはぞっとするほど開けた空間だった。

 目の前にはなにもなく、ただ崖のようにぷつりと道が途切れている。

 途切れた道の向こうはそのまま空につながっていて、落ちないように気をつけて見下ろせば、遥か下に雲が見えた。


「あれー、これ以上行けないのかなあ」


 燿はあたりを見回す。

 前方や下にはなにもなかったが、上、十メートルほど上空に、まだ町があるのが見えている。


 どこかほかに階段でもないのか、と探してみるが、見える範囲にはなにもなく、どうやら行き止まりのようだった。

 ルネもそれを確認し、頭上に続く道を見上げながら、


「別の道から行くしかないのか。でも、広場の向こう側には道もなかったしな」

「この道で合っているわ」


 ミラは言って、鼓動のように周期的な光を発する。


「ルネ、わたしを地面に置いて」

「ん、わかった」


 言われたとおりにすると、ミラの周期的な光が銀色の地面にもぱっと伝わり、周囲がやわらかな青白い光を帯びた。

 やがて、すこし離れた場所の地面が、ぱかりと開く。

 ちょうど手を入れられる程度の穴で、そのなかには、不思議な模様が描かれた台のようなものがあった。


「おじさ――お兄さん、ちょっとこっちきて」

「いや、別におじさんでもいいけどさ、もう。どれどれ」


 大輔はできるだけ端には近づかないようにしながら進み、ルネの後ろからその穴を覗き込んだ。


「おっ、これは――」

「なにかわかる?」

「ああ、これは魔術陣の一種だよ、たぶん。ぼくが知ってる魔術陣とは形がずいぶんちがうけど――そうだ、大陸ドラゴンの巣で見た魔術陣に似てるな」


 現代の魔法使いが使う魔術陣は、魔力を効率よく巡らせ、均等に発散させるという意図で円を使うが、そこにあるのは真四角で作られた魔術陣だった。

 一見して、大陸ドラゴンの巣で見かけた古代の魔術陣との共通点がわかる。


 つまりそれは、いまや失われてしまった魔法理念によって作られた魔術陣なのだ。


「――もしかしたら、ここはかつての魔法都市なのかもしれない」

「魔法都市?」

「魔力で動く飛行機にしても、この魔術陣にしても、高度な魔法技術があってこそのものだ。もしこれが都市のすべてに埋め込まれているんだとしたら、これはとんでもない大発見だぞ」


 大輔の口調から、その興奮が伝わってくる。

 ルネもついごくりと唾を飲み込み、足元にある魔術陣を見下ろした。


「で、でも、おかしいよ、そんなの。魔法使いって、異世界人のことでしょ? だったら、ここは異世界人の町ってこと?」


 新世界の住人のほとんどは、この魔力が豊富に存在する新世界で暮らしていながら、魔法を使うことはできない。

 もしここが魔法都市だとすれば、それはすなわち魔法を使える人間、異世界人による都市だとしか思えなかった。


「そんなに古い時代から、異世界人はこの世界へきてたのか……」

「地球、ここからすれば異世界だけど、向こうの文献を見れば、有史以前から新世界へは進出していたよ。過去に何度か、新世界までも自分のものにしようとした侵略者もいた。まあ、どれも成功はしなかったけどね。でも、新世界でこれほど高度な都市を築いたなんて記録は残ってないはずだ。そもそもこの文明レベルは、地球をはるかに凌駕してる」

「それを動かせるかしら?」


 ミラが言った。


「魔力が足りなくて、いろいろな機能が停止しているわ。あなたたちなら、そこから魔力を注ぎ込み、直接動かせるかもしれない」

「やってみよう――七五三、ちょっときてくれ」

「なあに?」


 呼ばれた燿はひょこひょこと寄ってきて、魔術陣を覗き込んだ。


「ここに手を入れてみてくれ」

「え、こ、ここに? なんか怖くない? 嘘つきはばくんって食べられるとか」

「嘘つきじゃなきゃ大丈夫だろ」

「う、そ、そうだけど……ただ入れればいいの?」


 恐る恐る、燿はそのちいさな穴に手を入れ、底にある魔術陣に手のひらを押し当てた。

 ひやりと冷えた石の感触があり、同時に、魔力がするすると吸い取られる。

 呪文はなかったが、その魔術陣は明らかにまだ効果を発揮しているのだ。


 ぎぎ、と頭上でなにかが鳴った。

 見上げれば、頭上に続いていた道の一部が離脱し、空中にふわふわと浮き上がって、大輔たちが立つ崖まで降りてくる。


 それは見るからに不安定そうな台だったが、崖の先に横付けすると、道と境目がわからないほどぴたりとはまった。

 どうやらそれに乗って上へ行くらしい。

 大輔はうっと後ずさったが、紫に背中を押され、仕方なく乗り込んだ。


「ぼく、エレベーターも使わないタイプなんだよ。っていうかこれなんの支えもないじゃん、落ちたら絶対死ぬじゃん、せめて手すりとかつけてくれないと公共機関として許可が――わああっ」


 ぶつぶつ言っているあいだに台座はふわりと浮き上がり、頭上の道へと連結された。

 大輔は深く息をつき、先へと進む。


 ゆるやかなスロープのようになった坂道である。

 わずかに左へ回り込んでいて、道なりに進むと、神殿のような建物に行き着いた。


「こいつはまた、空の上によくこんなでかいもんを作ったなあ」


 感心するような、呆れるような顔で大輔は神殿を見上げた。

 地球でいうところの、ギリシャ風の建築様式だった。

 しかし柱の数が明らかにすくなく、その代わり、細いワイヤのようなものが柱と柱のあいだを支えていて、古代建築と近代建築を混ぜ合わせたような様式になっている。


 神殿の上には、まだ道が続いていた。

 それはもはや、道というより、飛び石である。


 空中にふわふわと無数の台座が浮かび、その台座を飛び上がることでさらに上へと進めるらしかった。

 大輔は考えるだけでぞっとしたが、行かなければならないんだろうな、と諦念の息をつく。


「この町には、人気がないんだな」


 ルネがぽつりと呟いた。

 その腕に抱かれるミラは箱のなかでこくりとうなずいて、


「ずっと昔に廃棄された町なのよ。いまではもうだれも住んでいないわ」

「それにしては廃れているようには見えないな」


 大輔は腕組みをして、


「むしろ、まだ完成して間もない町に見える。まだ人間が住む前の町だ」

「雨や風で侵食されてしまうような物質を使っていないせいじゃないかしら。何千年経っても、ここはこのまま残っているでしょう」


 たしかに、神殿らしい建物の柱に触れてみれば、地面と同じ銀色の物質で、サビはもちろんちいさな傷ひとつさえ見えない。

 ただ柱の湾曲に合わせて歪んだ自分の顔が映るばかりだ。


「ここはそのまま神殿ってことでいいのか?」

「いいえ、ここはかつての役所のような場所よ。いろいろな手続きをここで行なっていたの」

「役所ね、なるほど」

「でも、ここは言ってみれば窓口なだけ。本当に町を管理する場所は別にある。わたしは、もともとそこで作られた端末だったの。でもずっと昔、地盤が崩壊したときに地上へ落ちたのよ」

「それがまた、なんで鉱山のなかに?」

「わからないわ。なにかを堰き止める土砂として運び込まれたのか――機能停止から戻ったときは、もうあの穴のなかだったから」


 ルネはミラの箱をぎゅっと抱きしめ、言った。


「きみをどこへ連れていけばいい?」

「――中央管理室へ。この上にあるの。向こう側から登れるはずよ」


 神殿の裏手に、先ほどと同じような魔術陣が用意されていた。

 今度は紫がそれを起動させ、台座に乗って、空中に浮かんだ石を渡り歩いていく。


「先生、下、見てくださいよ。すごいですよ」

「う、うるさい、絶対見ないぞ」

「ほら」

「わっ――お、押すなよ! 落ちたらマジで死ぬぞ!」


 飛び石から飛び石へと移り、やがて頭上に、大きな台座が見えてくる。

 五人はそこへ飛び移り、頭上を見た。

 もう頭上にはなにもなく、ただ青空が広がっているばかりだった。


 台座には、丸い屋根の建物が建っていた。

 あまり大きくはなく、入り口はひとつきりで、扉はなくぽっかりと開いている。

 この古代魔法都市の中央管理室へ、五人はゆっくりと足を踏み入れた。


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