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343話

「なんで、そんなことになっているのよ‼」


 銀翼館に戻ったリゼは、金狼郭での出来事をアンジュに伝えた。


「勝手に話が進んでいたから……」


 リゼに拒否権があるわけもなく、伝言を受け取ったに過ぎない。

 ただ、新メンバーの話はリゼが話したことだけは確かだ。

 おそらくはコウガと戦う話の流れからだと、アンジュは推測する。


「勝負の判定してくれるのって言ったのよね?」

「うん」

「……正直、判定してくれるのは有難いわね。でも問題ないわけでもないわ」


 リゼにはアンジュの言葉の意味が分からないでいた。

 アンジュなりに、何か思うことがあることくらいしか……。


「明日にでも了承したことを、一緒に伝えに行くわよ」

「私も?」

「当たり前でしょ!」


 アンジュとリゼの他にも、ジェイドとフィーネ、レティオールとシャルルも場にいる。

 金狼のリーダー三人が戦いを見るということで、さらに緊張度が高まるフィーネとレティオール、シャルルの三人だった。


「コウガさんは、なにかと気にかけてくれるっスね」

「そうなの?」

「そうっスよ。アンジュとリゼは王都を出て行ったから知らないっスよね」


 王都に残ったジェイドは、銀翼を馬鹿にする冒険者たちに逆らうことなく耐えていた。

 逆らわなければ言葉や行動は、どんどんと過激になっていく。

 ジェイドも問題を起こせば、リゼやアンジュに申し訳ないと思い、逆らうという選択肢を自然と取り除いていた。

 だが、金狼が一方的に銀翼を馬鹿にする冒険者たちに制裁を食らわす。

 それまでの功績を無視して、しかも自分たちでは達成できないクエストをしていた冒険者を馬鹿にするのは気分が悪いという理由からだ。

 当然、冒険者ギルドから注意を受けるが、それは建前でお咎めなどがあったわけではない。

 それに天翔旅団から分裂して新しく立ち上げたクランから「銀翼館を譲れ」と、何度も脅されていた時は、コウガが「まだ活動しているクランの拠点を奪うようなダサい真似をするな!」と一喝したそうだ。


「へぇ~、そうなんだ。もしかしたら裏があるかもしれないから気を付けないとね」

「それはないと思うっスよ」


 アンジュとジェイドは口論をしている。

 リゼはアンジュにアリスから預かった物を、いつ渡そうかと悩んでいた。

 遅くなればなるほど渡しにくくなることは分かっている。


「ん、どうかした?」


 アンジュがリゼの視線に気づく。


「二人とも仲がいいなと思って」


 誤魔化すために言った言葉で、アンジュとジェイドはさらに激しく口論……いいや、口喧嘩を始めた。

 見ていて嫌な喧嘩ではなかった。

 根本に相手を信用しているという思いがあるからだろう。

 アルベルトたちも、この部屋で同じように口喧嘩を何度もしていたのだろうと、見たことがない状況を想像していた。


「まぁ、いいわ」


 拉致のあかない口喧嘩を終えて、明日からの行動について確認する。

 アンジュとリゼは、金狼郭や冒険者ギルドを回る。

 ジェイドとフローネは、ジョエリオからの命令で建国祭の準備に繰り出されているので、明日も建国祭の準備で忙しい。

 レティオールとシャルルは、暫しの休暇を楽しむことになる。

 もっともレティオールとシャルルについては、それどころではないかも知れない。


「ライオットは?」

「アイツは気にしなくていいわよ。好き勝手に遊んでいるでしょうしね」

「そうなんだ」


 王都に来てからも自由行動で、王都を満喫しているらしいので、何をしているか不明らしい。

 朝早く出て行って、夜に戻ってくる。

 たまに昼などに戻ってくるが、すぐにいなくなるそうだ。

 アンジュ曰く、修行中もあんな感じでいるそうで、師匠に幾度となく怒られているとため息交じりに話す。


「じゃあ、部屋に戻るっス」


 ジェイドの言葉に反応するように解散する。

 それぞれの部屋に戻るとき、リゼはアンジュに「少し話できる?」と小声で尋ねた。


「いいわよ。私の部屋でもいい?」

「うん」


 アンジュは不思議そうな表情で承諾する。



――――――――――――――――――――



■リゼの能力値

 『体力:四十八』 

 『魔力:三十三』

 『力:三十三』 

 『防御:二十一』

 『魔法力:二十六』

 『魔力耐性:十三』

 『敏捷:百四十三』

 『回避:五十六』

 『魅力:三十一』

 『運:五十八』

 『万能能力値:零』

 

■メインクエスト



■サブクエスト

 ・ミコトの捜索。期限:一年

 ・報酬:慧眼(けいがん)の強化


■シークレットクエスト

 


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