俺の遊び 3
「うん、行く!」
千里達がアイスを買っている間に俺は雪葉へ連絡をし、快諾をもらう事が出来た
「ああ、待ってる。それと悪いんだけど、良かったら花梨達も誘ってやってくれないか?」
「うん分かったよ、お兄ちゃん。みんなが居るともっと楽しいもんね」
「じゃ、宜しくな」
「うん!」
電話を切って、俺もコンビニへ向かう。ちょっと遅いよな二人とも
「な、なにこれ……おっき〜」
「リサ、発音はしっかりして。それじゃ『ははん、所詮外国人か』って舐められる」
「へ?」
「大きい。これが正しい発音」
「お、大きい?」
「そう。じゃあ練習」
「え?」
「大きい大木が青木に扇で大袈裟に大喜利を教えた」
「お、大きい青木で扇が大袈裟な大木で……言えるか〜」
コンビニに入ると、二人はアイスボックスの前で何やら揉めて(?)いた
「どうした二人とも?」
「あ、ほら見て! 凄くないこれ!?」
近付いた俺にリサが嬉しそうな顔で見せたのは、やたらロングなチューブアイスだ。60センチはある
「お、おお〜凄いな。どうやって食うんだそれ」
縦笛みたいにくわえれば良いのか? 食いづらそ
「私、これにするわ! 500円よ!!」
「高っ!? ……おつりは返せよ」
俺に向かって、にゅっと差し出された手に500円を乗せる。痛い出費だ
「千里は、もう選んだのか?」
「第一印象から決めてたし」
そう言って、アイスを取り出す
「抹茶味か。渋いな」
「溶ける前に行くわよ千里」
「買ってくる」
二人はアイスを手に、急いでレジへと向かった。俺も何か食おうかな
「お、カリカリ君の……み、味噌コーラ味?」
し、新作なのか?
「…………ラムネ味にしよう」
冒険心は十代前半に捨てたのさ
「60円で〜す」
「安いよな〜」
これで満足出来る自分が
好き
「ふぃ〜」
購入して、外へ出るとまた一気に暑くなった。コンビニとの気温差は、10度以上ありそう
うんざりしながら千里とリサを探すと、二人はコンビニ横にあるベンチに座ってアイスを食べていた
スプーンを使って優雅に食べる千里。一方、リサは長いアイスを食べるのに苦労しているらしく、その様子はまるで尺八を吹いているかのようだ
「なによこれ! 全然吸えないじゃないの!!」
「上に傾けて重力を利用するべし」
食べ終えた千里は立ち上がり、リサがくわえているチューブの端を持って角度を上げてゆく
「く、首が……」
「ぎゅっと押し出す」
「あ! きた、きた。ん〜、おいひ〜」
「……平和だねぇ」
俺もアイスの袋を開け、一口
「そろそろ来るかな」
雪葉達にもアイスを奢ってやろうと思い、コンビニ前で待ち合わせをしているのだ
「う……ぐふ……ち、千里。もう十分食べたんだけど……」
「後、少し。頑張れ」
「す、少しってまだ結構残ってる」
「錯覚」
「ち、ちょ、ま、まってち、ちさ、ぐぼぐぼ!?」
「…………」
頑張れ
「お兄ちゃ〜ん」
その哀れさに思わずリサから視線を逸らした時、雪葉の声がした
「お、来たかな」
声の方に顔を向けると、雪葉が手を振りながらこちらへ向かって来ていた
「お待たせ! こんにちは千里ちゃん。リサちゃん」
にこにこ雪葉は千里と燃え尽きてるリサへご挨拶
「こんにちは師匠」
「こ、こんにち……は」
「早かったな、雪葉」
「うん、急いで来たの。花梨ちゃん達も呼んだからね」
「か、花梨……」
花梨の名前に、リサは弱々しく反応した。水分の取りすぎかぽっこり膨らんだ腹を手で押さえている
「あいつ大丈夫か?」
「リサなら平気。逆にいつも水分を取らなすぎ。恭君、見ていてあげて」
「あいよ」
熱中症が怖いし、外で遊ぶなら30分に一回は休憩を取らさないとな
「あ、美月ちゃんだ」
「ん? 本当だ、良く見えたな」
まだ結構距離があり、目を凝らさないと分からない
「雪〜、兄ちゃ〜ん!」
俺達を発見した美月は、ダッシュでどんどん近付いてくる
「気をつけろよ〜」
車の通りは無いが、転ばないかと心配だ
「は〜い!」
うん、今日も元気だな
で、数十秒後。美月は無事に俺達の元へとやって来た
「暑い〜」
そう言い、汗で肌にべったりと付いたシャツの胸元を引っ張って、パタパタと手で扇ぐ。確かに暑そうだ
「み、美月ちゃん! 胸が見えちゃうよ!?」
すかさず雪葉が美月の前に立ってカバー。美月はキョトンとしている
「向こうを向いてて、お兄ちゃん!」
「あ、ああ……」
何だか分からんがキッと睨まれてしまい、俺の精神に700のダメージ
「た、タオル買って来るから待ってな」
ダメージを受けたまま、再びコンビニへ入って大きめのタオルを七枚買い込む。これだけあれば有れば十分だろう
「足りなきゃ家だな」
何人来るのか知らないけど、全員分のアイスやジュース等も用意しなくてはいけない。タオルでこれ以上金を使ったら、俺の財政が崩壊する
「1386円で〜す」
「はいよ」
財布には後、5千円。足りるよな?




