24.理不尽なゲームなら、理不尽に解決しましょう
強制的なイベントだが湧きたつ高揚を抑えきれない
そんな様子の皆さまだけれども
このゲームをクリアしなければならないわけではないでしょうし
どうにか別の方法はないのでしょうか
死ぬのも痛いのもいやですし
最終的に、プレイヤー同士の決闘とかさせられそうで
特にいやなので、あちらが無理やりなにかをするならば
こちらも理不尽に応じたくなりますよね
「皆様、ログアウトってどんな感覚なのでしょうか?」
「は?」
と声をそろえて頂けるのはいいのですが
質問に答えて頂ける方が私はうれしんですけど?
「眠ゲーのログアウトの感覚か・・・
起きたって感じじゃね?」
「私はスイッチが切り替わったって気分かも」
「ログアウトはログアウトだろう」
とみなさん結構ばらばらな感じですね
寝て、起きるを、意識的にする時ってすくないので
どうも感覚はわかりませんが
そんな感じでいいんでしょうね
「私、ログアウトします」
「は?」と再び声をそろえて頂きましたが
いったんさようならです
勝手にイメージでつくったログアウトボタンをぽちりと押す
ふ、と意識が遠ざかるイメージ
それは、この世界に来たときのような浮遊感
重たさと傷みとぼんやりする視界
「・・・かえって・・・きた?」
かすれたけれど、耳に確かに聞こえる声
「できないと、思い込むのが・・・一番ネックなのかもしれませんね」
ログアウト自体の方法が消されているわけではないと証明できましたね
見えなように、押せないようにすることはできたけれど・・・ということでしょう
同じような方法でログアウトした人はいないのでしょうか?
それはともかく、早くしなければ、刻々とゲーム内時間は過ぎていきますし
この管だらけの痛い状態どうにかしてほしいです
「あのー、誰かいませんか」
特に医療関係の方
私たちが、生きていけるようにと
色々管付きにしていただけてますが、恥ずかしいし痛いです
「お・・・ぉおお?」
と変な顔されました
そして、この方は、悪い人じゃないですよね?
「起きた?ログアウト?」
「はい、ログアウトです、ですが、普通にはログアウト不可なんですが
お話する前に、水分と、この管を外していただきたいんですが・・・」
「ああ、もちろんだとも」
そのあとのことは割愛させていただきまして
着替えを済ませ、お二人をみて、ほっとしたのもつかの間
クロコウジさんという方が来られました
この方は、掲示板に書き込んでくれた方ですね
「はじめまして、お嬢さん
またせてごめんね」
彼は、にこりといい笑顔
「妙案ってなんだい?」
「はじめまして、御挨拶は、またあとでさせていただくとして
ゲートというのは、どこにつながると設定できますか?」
「接続場所の設定?選択は可能だよ」
「それにログアウトを付け加える事は?」
「・・・見てみないとわからないが、不可能ではない
シロに聞く
頼む
その間、どうやってログアウトしたか教えてもらってもいい?
そして中の様子は?」
さっと、部下の人が、電話をかけ始めてお話中
行動が素早いですし、的確です
こうだったから、閉じ込められても安定していられたのでしょうか?
「私が出てきたい際、何かのカウントダウンが開始され
その他に、何かの文字が刻まれていました
それについては、各地の情報待ちで
襲撃イベントが予想されていました」
「ん、把握した
中の人たちは?」
「襲撃イベントに備え、各自できることをトーヤや
その他の先発隊のギルドのメンバーがまとめて、落ち着いていますし
生活セットを使っての部屋から出た際の問題点をあげていました」
「たしかに、その問題点はあるね」
かりかりと書き記し次回へとつなげる予定でしょうか
しかし、その次回はあってほしくない次回なんですが・・・
「で、君がログアウトできた理由は
あと、数人ログアウトできたようなできてないような・・・という人がいる」
「たぶん、同じ方法を使ってるとおもいます
ログアウト自体のシステムが壊されてるわけじゃないんですよ
なので、ログアウトをしていると、脳をだましただけです」
「たしかに、脳は騙されやすいものだからね
インターフェースを空想だけで補ったのか」
「そうです」
「すげぇ・・・さすが、トーヤとカナンの子だ」
「ただし、ゲーム中毒の方には向かない方法ですよ?」
「「えっ?」」
って、皆さんまたですか・・・
本当にゲームをする人たちは良く似た反応を返してくださいます
「ゲームをしている人は、それが当たり前に思えているのですから
脳がごまかされません
できないと思い込んでるものをできると思うのは至難の業ですから」
「あ~・・・言いたいことは理解できた
で、ゲートをくぐるログアウトを選択で、現実にか・・・
手段がいるんだな」
お分かりいただけたようです
「それでは、私はゲームに戻ります
また出てくることはあると思いますが
時間がかかるようなら、管・・・お願いします」
「なるべく早くに出ておいで、体に負担はかかるんだよ」
「はい」
お医者様は、この手のがお好きで、推奨かと思えば
違うんですね・・・
私の勘違いですいません
病院はどうも嫌いなもので・・・
そんなことを思っているのがわかってしまったのか
お医者様はにこにこ笑って
「人間は生きてる自体がすごいことなんだよ
1つの器官を機械で代行しようとおもったら
ほら」
と、ゲームの筐体をたたく
「これくらい大がかりだ」
「そうですね・・・」
夢を見るにも、学ぶにも、この体1つでできるのですから、すごいものです
「では、早くに戻ってきます」
「あ、トシちゃん」
「はい」
「可能だってさ、シロコウジが今やってる、伝えてくれるか?
そっちの方が早い」
「はい、そうだと思いました」
私は再び目を閉じる
ぐらりとした感覚のあと、トーヤのうるさい声
「うるさいです、トーヤ」
その口を手でふさぐ
ぎゅっと痛いぐらい抱きしめられ、またあの状態
ほんと、勘弁してください
ログアウトの方法もわかったんですから
みんなでかえりましょう
「だがな、このまま放置してると、ゲームでもゲームじゃないやつらが
被害甚大だろ?
どうせ、まだ第一波だ、やっつけて帰ろうぜ!」
ちょっと拍子抜け?でしょうか
愚直に終わらせるだけが能ではないんですよ




