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【建設】ドロイド試作所:僕

 商談で忙しいニジエールさん。仕事のあるロゼッティア。彼女たちを職人街に残して、僕はポンちゃんと足並みを揃えてさらに250メートル川上に進んだ。


―――――――――――――――――――――

【ドロイド試作所】

 Lv1【費用 金50 人材1】

    【効果:効果:ドロイド人口10】

―――――――――――――――――――――


 目的はもちろん、この【ドロイド試作所】を建設するためだ。この施設はたぶん、僕の特性により特別に建てられる施設だ。

 どう見ても工業系なので工房の隣が正解だろう。


「さて、建てちゃうか!」


<「 あのー、ご主人様……? 」


「わかってるよ。バッと片付けて、屋敷のベッドでゴロゴロしよう」


<「 そうじゃないもきゅ! 人材が―― 」


「ポンちゃん……僕はね……午前中しか働かない主義だっ!」


 地図に銀の目を使って内政画面を表示させた。

 単に起きるのが遅かったのもあるけれど、今や太陽が高く昇り、午前が終わろうとしている。


 すっかり慣れてきた画面を使って、僕はドロイド工場の建設を実行した!

 なんか一瞬、見たことのない画面が出たような気がしたけど、早く帰りたかったので何も考えずに『是』『是』『是』を連打した! 『警告』『本当によろしいですか』とか見たような気もするけど今は気にしない!


――――――――――――――――――――――――――――――――

 領主:アルト(50/100)は【ドロイド試作所】の建築を進めた!

 成功! 建設度が100%となり【ドロイド試作所】が完成した!

 土地整備により木材25を獲得! 石材16を獲得!


 領主:アルトが【ドロイド試作所】の担当となりました。

――――――――――――――――――――――――――――――――


「………………へ?」


<「 ポンちゃん言ったもきゅよーっ! 人材、足りてないもきゅ! 」


「あ……ああ……ああああ…………え、嘘、これって、まさか……。は、働きたくないっ、働きたくないよぉぉーっっ!! ギャーーーッッ?!!」


<「 ご主人様ぁぁーっっ?!! 」


 落雷のような衝撃が僕の全身を走り抜けた。

 い、嫌だ、僕は領主だ。領主である僕がフルタイム労働なんて、そんなのは間違っている!


 僕は今日まで学校にも行かず、家事をしながら図書館に引きこもっていたプチ引きこもりなんだ!

 そんな僕の身体がフルタイム労働に耐えられるはずがないじゃないか!


「あっあっあっあっあ……っ?!」


<「 ポンちゃんわかるもきゅ! 」


<「 ポンちゃんもずっと、お花畑でゴロゴロしてたいもきゅ! 」


 設計図が頭に浮かぶ……。知りもしないドロイドの仕組みが今はなぜかわかる……。今の僕なら目をつぶってでも、パーツさえあればドロイドを組み立てられるだろう。


 ドロイド。それは人間の代わりに労働させるために作られた非戦闘型の魔導人形。

 万能というほどではないが、これがあれば多くの業務を効率化させられる。


「…………フッ、何を言っているのだね、ポンちゃんくん?」


<「 ご、ご主人様っ!? そのお眼鏡はどこから出したもきゅっ!? 」


 僕は僕に改変された。眼鏡をかけた『キリッ』とした僕に。


「労働、それは人間の生きた証だよ。全てをドロイド任せにして生きた果てに、何が残る? そこにあるのは虚無だ。労働を忘れた人間は、ただの貪るだけの豚だ!!」


<「 変わり果てたお姿に……。おいたわしや、もきゅぅ…… 」


 僕は『キラーンッ』眼鏡を輝かせて確認した。


―――――――――――――――――――――

【備蓄:辺境伯領ザラキア】

 【兵糧】2267   (+257)

 【金】  281   (+280)

 【木材】117 【石材】62 【人材】0

―――――――――――――――――――――


 【職人街】の金100(月)効果が反映されていた。建設により今月は金250を消費することになったが、来月にはそれ以上の金が入ってくる。


 そして僕の【ドロイド工房】は、労働人口を10名(月)増加させる。

 労働力、それこそが国力だ! 僕のドロイドはこれからザラキアの未来となるのだ!


 さあ、働こう。1日8時間労働すれば余暇を過ごせるこの世界に感謝して。


<「 来月は人材、増えるといいもきゅね……? 」


「ポンちゃんくん、それは間違いだよ。数分前の僕は人間のクズだった。領主の座にあぐらをかき、たぬきと昼間からゴロゴロするのが生きがいの最低のゴミだった」


<「 自分のことをそんなふうに言ったらダメもきゅよ! 」


<「 鬱病になっちゃうもきゅよ! 」


「ふっ、社畜のポンちゃんが言うと重みが違う。さあ、互いの持ち場で全力を尽くそう! ああ、労働、なんと素晴らしき経済活動だろうか!」


<「 もきゅぅぅ……。早く元の自堕落なご主人様に戻ってほしいもきゅ…… 」


 僕は頭に浮かぶ設計図のままに、【ドロイド工房】のたった1人の労働者として、素晴らしき人間の協力者ドロイド型魔導人形を生産していった。


 ああ、労働って、素晴らしい!

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