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【翌月】税収確保:次の建設へ

 それからしばらく自堕落に生きた。

 だって陳情なんてろくすっぽこないし、これといった事件も何も起きないし、知った頃にはノワールさんが解決している。


 そう、ノワールさん。ノワールさんはついに月が明けても、僕に国境荒らし対策の別料金を請求しなかった。

 だから聞いてみた。こちらには払う気があるって伝えてみた。


「存じません。きっと彼らの勘違いでしょう」


「え、そうなの……? でも件数からして、民の勘違いとは思えないんだけど……」


「もし問題があれば、私から報告、請求をいたします。些事は私に任せ、ご領主様は内政にご尽力下さい」


「そう……わかったよ、ありがとう。貴女を選んだ兄さんの目は確かだったみたいだ」


「ご領主様のそのお力があれば、このザラキアの地を守り抜くことも可能でしょう。期待しております」


 ノワールさんは僕に請求をしなかった。

 約束の月給の5万シルバーを払うと、僕は地図に力を使って内政画面を起動させた。待ちに待った税収を確認するために。


―――――――――――――――――――――

【備蓄:辺境伯領ザラキア】

 【兵糧】2267   (+257)

 【金】  531   (+180)

 【木材】63 【石材】26 【人材】5

―――――――――――――――――――――


11月1日、晩秋――


 備蓄資金531。

 これでは利益効率の高いラクーン商会系の施設を建てられない。


 また、建設可能な施設にも上限があるのを忘れてはいけない。

 現段階では『【施設数】3/6』なので、建てられる施設はあと3つ。


 現在の予算で建設できるのは以下になる。


――――――――――――――――――――――――――――

【内政施設(建設可能)】


 【兵舎】

  Lv1【費用 金200 石材50】

     【効果:正規兵上限250

          治安低下抑制・小】

 【職人街】

  Lv1【費用 金200 人材5】

     【効果:金100(月)】

 【ワイン工房】

  Lv1【費用 金200

        木材200 人材3】

     【効果:金20(月)

       特産品ワイン50追加】

 【ドロイド試作所】

  Lv1【費用 金50 人材1】

     【効果:効果:ドロイド人口10

――――――――――――――――――――――――――――


 開戦まであと22ヶ月。【兵舎】はまだ必要ない。

 【ワイン工房】は木材がまるで足りていない。

 そうなると【職人街】と【ドロイド試作所】を今月は建てることになる。


 また施設はアップグレードをすることができる仕様のようだ。

 ただこういった箱庭型システムの序盤は、施設を建設上限まで立ててからアップグレードが鉄板の効率プレイになるはず。


 ということで今日は【職人街】を立ててみよう。


「けど【人材】ってなんだろう……」


 そうつぶやくと、画面に変化が起きて、なんかチュートリアルが表示された。


―――――――――――――――――――――――

【チュートリアル】


・資源【人材】

 専門職に就ける優秀な人材。

 人口増加ごとにランダムで増える。

 人材が足りない? では人口を増やしましょう。

 人口が増えれば税収もそれだけ増えます。


―――――――――――――――――――――――


「へーー……。ああ、だから人口増加率を増やす施設があるのかー。わー、めんどくさいな、このシステム……」


 とにかく今は人材が足りているので【職人街】が建てられるということだ。これを建てれば金収入が100増える。


 この内政システムは『金、金、金』だ。『武士として恥ずかしくないのか!』って言ってやりたいくらい、金がなければ何もできない。悲しいほどに僕の力は拝金主義だった。


「では見回りに行って参ります」


「え、これから建設するのに見ててくれないの?」


「は、軍備の際は私をご指名下さい。(まつりごと)は、あのたぬきや、高級物干し竿売りの方が向いているでしょう」


「はは……ニジェールさんのことね……」


 そういうことになったので、僕は地図をカバンに入れて街にたぬきを探しに出かけた。


――――――――――――――――――

【内政:辺境伯領ザラキア】

 【人口】 513   (+13)

 【治安】 75/100(+ 5)

 【民忠】 60/100(+ 8)

 【兵力】  10

 【馬】    0

 【魔導師】  0

 【魔導兵】  0

 【求職者】  4   (- 6)

 【施設数】3/6

 【補足】

  金・兵糧の()は来月予測

  その他の()は先月比

――――――――――――――――――


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