13話 スキルな少女の一日
私は吸収。名前はまだない。多分前世には両親から付けてもらった確かな名前があったんだろうけど転生もののあるある『名前の消失』か死亡時のショックで記憶が抜け落ちてるんだと思う。
はっきり言えば抜け落ちている記憶は自分自身と、家族関係だけが綺麗に抜け落ちている。私の生前の顔つきはもちろん、両親や至って兄弟(今では居たかどっかも分からないけれど)の顔すら思い出せない。でも、年齢だけははっきりしてる。可笑しいけどこれが現実。
正直記憶が抜けたのは良かったと思う。だって多分優しかった両親を思い出すと私はきっと前世に戻りたいと考えるだろう。例え一生が病床の上だとしても。
でも、今はそんなことよりも大切なことがある。そう、それは―――
『マスターのスキルが増えたのは良いけど多すぎるからさっさと統率して使えるようにしないと』
そう、強奪で奪った大量のスキル達の管理だ。本当はそんな事しなくても良いけど、散らかってるのは気に食わない。前世は綺麗好きだったのかも。
『先ずは強化されたスキル達を整理しないと』
今回の盗賊の襲撃で全員から能力とか才能を奪った上にその強化まで施したので少し量が多くなってしまった。今日はこれの整理を終わらせないといけない。
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身体強化10、剛力3、剛体3、俊足1、
直感10、狂化1、回避10、見切り10、
平衡感覚1、空間認識1、攻撃予知1、
危機察知10、適応1、気配察知10、
五感強化10、心眼1、超感覚1、威圧1、
咆哮1、気力急速回復1、疲労再生1、
気配遮断1、虚言1、欺瞞1、心理解明1、
衝撃誘導1、衝撃蓄積1、反射1
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うんうん……巫山戯てるくらいに多いね。纏めてしまおうか?
幸い前世の記憶で奇抜かつ心強い能力に改造できる余地がある。うん、やってしまおう。マスターのためにも。
それじゃあ、まず【天眼】に【空間認識】を付ける。
《スキル【空間認識】と、【天眼】のレベルが10になりました。権限によりスキルを合成します。【天眼10】と【空間認識10】を合成しエクストラスキル【天空眼】を獲得しました》
次は【虚言】、【欺瞞】、【心理解明】を合成だー!
《【虚言】、【欺瞞】、【心理解明】をそれぞれレベル10に強化。権限によりスキルを合成します。合成によりエクストラスキル【虚言の理】、【欺瞞の理】を獲得しました》
次行くよー。
《【身体強化10】と【狂化1】を合成します。【狂化】はレベル10に強化します。合成により【鬼人化1】を獲得しました》
次は回避系〜。
《【俊足1】、【回避1】、【見切り1】、【攻撃予知1】、【直感10】、【危機察知10】、【五感強化10】を全てレベル10に強化し合成します。合成によりエクストラスキル【絶対回避】を獲得しました》
後は一気にやろう。
《【心眼1】と【平衡感覚1】、【超感覚】をレベル10に強化しさらに【気配察知10】合成します。合成によりエクストラスキル【真眼】を獲得しました》
《【適応1】、【気力急速回復1】、【疲労回復1】をレベル10に強化し、吸収付属スキル、アルド固有スキル【再生】に合成します。【超再生】を獲得しました》
《【咆哮1】を【形態変形】に取り込み常時【咆哮】の使用が可能になりました》
《【威圧1】を強化します…………レベル10達成。派生スキル【覇気1】を獲得》
《【鑑定10】、【鑑定偽装】、【鑑定妨害】、【鑑定遮断】を合成します。合成によりエクストラスキル【識別の理】を獲得しました》
これで終わりー。後は整理すれば……。
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アルド 男 Lv1→4
種族:龍人族
職業:なし
才能:物理戦闘職全般、炎術師
固有スキル
捕食成長、形態変形、龍鱗鎧化、
スキル
超再生、剛体3、剛力3、鬼人化1、
絶対回避、魔力感知Lv10、覇気1、
エクストラスキル
真眼1、天空眼1、虚言の理1、欺瞞の理1、
識別の理
ユニークスキル
吸収
加護
龍王の加護、炎神の寵愛
覇気:威圧感とカリスマを纏い、他人を屈服、服従させる効力を持つ。
絶対回避:身の危険を即座に回避するスキル。また、常時気配、危機を察知する効果を持つ。※パッシブスキル
超再生:凄まじい速度で傷や疲労を回復するスキル。※粘性体系生物共通固有スキル
鬼人化:身体を限界まで強化し鬼人の様な力を得るスキル。※鬼人族の固有スキル
エクストラスキル:スキルの中でも希少な派生スキルや上位スキルを指す。効果が高いものが多い。
欺瞞の理:自身の言葉を他人に信じ込ませやすくする。また、他人の悪意ある欺瞞を察知する。
虚言の理:自身の嘘を他人に信じ込ませやすくする。また、他人の嘘を察知する。
識別の理:情報や本質を司るスキル。虚偽の情報を偽装し、他からの鑑定の無効化、妨害遮断を発揮する。
天空眼:本質と視界を司るスキル。自身を第三者視点からの視認を可能にし、物の真贋を判断するほどの観察眼を得る。
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完了っと。いやー多かった。エネルギーも少しだけ使ったけどマスターの強さに直結するから咎めはないはず。
ちなみにかかった時間は約一時間。少しの大掃除と同じくらいだね。ん?掃除したことあるのか?これは家族のタレコミだから実践してないからただのデータだよーだ。
気を取り直して現在午前10時。ソフィちゃんを助けてからそのまま王都に向かうらしいけど少しは休んだほうがいいと思う。
ん?理由?勿論私が休憩したいからだよ?
サボるなって?無理です。こちとら元人間の病人で、丸一日起き続けてマスターの能力管理とか、しかもそれを毎日なんて死にます。
前世の生活習慣は起床と食事以外は寝るか外を見るくらいしかできなかったからこうやって思考を回すだけでも重労働。少しずつ稼働できる時間は伸びてるんだけどまだ一日中は無理です。
どうしよう……う〜ん………………あ、そうだ。管理が出来ないんだったら自分たちにやらせればいいや。
幸いにも魂の中はある程度何でもできる空間だから、できそうな気がする。
まずは、スキルたちに人工知能?を持たせる。
《スキル【自我作成】、【並列人格】、【多重人格】が存在します。獲得しますか?》
う〜ん、マスターのエネルギーは私的利用出来ないから……私の持ち物は今までに奪った命しか無いけど……代用できる?
実は奪命で奪った命は私のものになるらしく何個か溜まっていた。使い道も分からなかったからそのままにしていたけど……使えるかな?
《命を1つ消費しスキル【自我作成】を取得しました》
できたみたい。じゃあ早速自我を作って自分達で働いてもらおう。
発動っ!【自我作成】っ!
すると今まで静かだったスキル倉庫に幾つかの光が灯ってそこから弱々しい自我を持ち始めたスキルが出てきた。
成功したみたい。でも、う〜ん……これじゃあまだ使えないなぁ。もっと強い自我があれば……ってそうだ。私の自我を元に作ればいいじゃん。
【自我作成】っと。
『………………?』
{………………?}
多分成功かな?言葉を話さないのは知らないからだと思うし。
今回自我が発現したスキルは【超再生】と【絶対回避】かな?どっちもパッシブスキルで特に管理が大変なスキル達だ。
でも、まだまっさらな記憶のこの子達に管理なんてできるのかな?どうにかして記憶を継がせないと……。
《スキル【記憶共有】、【記憶付与】が存在します。取得しますか?》
うわっ!びっくりした。え〜と、文字から見たら【記憶共有】の方が良いかな?
《命を1つ消費しスキル【記憶共有】を取得しました》
これなら問題ないはず……!
『これから【超再生】は任せてーオリジナル』
{【絶対回避】はしっかり管理するねオリジナル}
成功だー!これで休める……疲れた……。え?これで疲れてたら本末転倒だって?分かってないね。お母さんはいつも言ってたよ。『サボるために努力しなさい』って。
記憶も飛んでるのにこれだけは残ってた。これが所謂座右の銘って奴かな?
取り敢えず今は休みたい。自我一号、二号後は頼んだよ。
『{りょーかいっ!』}
ぐぅ……。




