さらっと人を巻き込むのはリオの悪いところである。
『竜一。君って資格ってどういうものを持ってる?』
「どうした急に。まあ、建築関係以外の作成系はほとんど出来るくらいの資格はもっているが……」
『ならよかった。実は、少し頼みがあってね』
「珍しいな」
リオが誰かに頼むのはかなり珍しい。
ほとんど自分でできるからだ。
まあそれはいいとして。
「で、どういう感じなんだ?」
『それはね――――』
その内容に、竜一は頭を抱えるしかなかった。
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「シャリオ~」
「久しぶりの登場だって言うのに、ここまで何かにすがるような声をかけられるとは思わなかったな」
ギルド、エクストリームの魔法使い、シャリオとゼツヤはあっていた。
「聞いてくれよ。リオの奴。国賓が来る時のホテルの食事とか、調度品とか、俺に作れって言うんだぞ」
「……なぜそう言う話になったんだ?」
「分からんが、いろいろなところから妨害があったみたいだな。で、結果的に俺が巻き込まれたって感じだ」
「高級料理とか作れるのか?」
「オラシオンだからな」
便利な言葉だ。
「しかし、国賓がねぇ」
「どう思う?ぶっちゃけた話、リオを除けば、知り合いの中で一番賢いのはシャリオだから来たんだけど」
天恵大学に通っているからな。
「どっちかって言うと知識的なものでは無く知恵的な問題のような気がしなくもないがな。まあいい。どう思うって言われても……期待はされているんだろ」
「期待なんていうのは所詮責任転換だろ」
「お前が言うと説得力があるな」
無論だ。
「まあ、俺もリオのことはよくわからんがな」
「だよなぁ……」
「リオの方が俺よりも賢いし……というか、何かを問われた時に、運がいいから直前に答えを知ることができるって言うだけの話だと思うが……」
その可能性はあるな。
「まあ俺も、リオと同じことをしろと言われたら、やっぱり無理だからな」
「そういうものか?」
「俺はサーガやクラリスみたいに、何十個も同時に違うことを考えるのは無理だ。だが、リオはできるからな。その分、情報の収集力が異常に高い」
「だな……」
「まあ、俺とリオの違いとなると……専門用語の知識量くらいだろう」
「そうなのか?」
シャリオは頷いた。
「というか、俺もリオも、一般的な基準をもとに考えると、演算速度は必要レベルをはるかに超えている」
「そこだけ聞くとすごく腹立つな」
「先天性集中力過剰症も勉強に使うとすごいけどな。まあそれは置いておくか。要するに、即断速結ができるかどうかって話だ。俺の場合、出来たとしても暫定だからな」
「その分……リオは意味が分からないってことか」
「簡潔に言えばな。で、話を戻すが、国賓の対応なんてできないよな」
「オーバーライドで何とかなるかもしれないが、限界はある」
「だよな」
一体どうしてこういう話になったのだろうか。
ていうか、国賓の相手をするレベルの大物だったのか。リオよ。
「まあ、頑張れ。相談ならいつでも乗るぞ。俺もう、天恵大学での卒業必要単位は取得済みだからな」
「……まだ四回生になったばかりだよな」
「まあ、そこは俺だからってことにしておけ」
うーん……天才たちの思考って訳が分からん。




