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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
相棒と遺跡
137/218

サターナ

 ゼツヤとミズハは、中レベルの遺跡ダンジョンである『パルントル遺跡』の一番近くの町『ガグリモ』に来ていた。


「確か、職業は『大将軍』なんだよね。いったいどんな格好なのかな」

「あいつのことだから侍ということはないと思うが……」


 さて、どんな感じになっているのやら。

 確かアバターネームは『サターナ』だったはずである。


「君らがゼツヤとミズハだな」

「ええ、そうです……え、道也君?」


 振り向くと、道也そのものの顔をしたプレイヤーがいた。

 ゼツヤの予想通り、侍ではなかった。

 ロングコートが大流行していた時期に始めたので、ゼツヤのようにロングコートだが、グローブからブーツまで、光を反射しないマットブラックだった。刀まで真っ黒である。

 しかし、本人の趣味というか、至るところに、銀の鎖があった。

 ズボンのベルトの代わりに巻かれていたり、腕に巻かれていたり、まあ、しっかりと巻き付けてあるので音はならないのだが、とにかくそんな感じだ。

 そして、NWOでは天文学的確率だが、リアルとアバターの顔が同じなのである。


「やっぱり同じ顔なんだな。しかし、好きだな。鎖」

「まあな。そっちも、リアルとはすごい違いだ」


 コートは青だが、他は全部アイボリーだからな。


「まあミズハも、すごいと言えばすごい格好だがな」


 ミズハは白のノースリープに水色の膝丈スカートである。

 まあ、リアルでもそうだが、髪の色が凄いからな。


「まあそれはいい。バルントル遺跡にいくぞ」

「そうだな」

「レッツゴー」


 と言うことで、フィールドを歩いていた。


「しかし、大将軍には見えないよな……」

「将軍という言葉じたい、多くを率いる職業みたいなものだからね」

「サターナ。お前のやり方だと……NPCってレンタルソルジャーだろ」

「そうだな」


 レイクを払えば、NPCを買うことはできる。

 しかし、総じて高いのが普通であり、しかも面倒も見る(まあそこは価値観の差だが)必要もあるのだ。

 レンタルなら、期間に比例してレイクを払えば、買うよりも少ないレイクでいい。

 しかし、買うのはレイクが高いと言うだけの話になるが、レンタルの場合、人数と期間しか設定できない。

 イベント開催中は一応救済処置としてそれにあった職業のNPCが来るのだが。

 ただ、普段はレベルも職業もバラバラで、連携がかなり難しい。

 所見で全部見抜くくらいの観察眼が必要なのである。

 しかも、NPCによるが、戦うことを怖がっている設定のものだっている。

 オマケに、人数制限は一人六人まで。


「ただこの職業は、借りれる人数制限の解放、出てくるNPCの平均レベルの上昇、さらにスキルを使えば、怖がることはまずなくなるからな」

「なんかボッチ専用職業だね……」

「それを言うな」


 結局は本人次第である。


「しかし、流石にこの辺りだとモンスターも弱いな」

「そりゃレベル100が三人だからな。あと、サターナが使っている刀。最近俺がオラオクで出したやつだ。全員がオラシオンシリーズを使っているんだから。楽なのは当然だろ」

「自慢か?」

「勿論」


 そこは譲らない。だって自慢できる部分なんだもん。

 ん。鳥型のモンスターが出現。


「それじゃあ私が倒すよ」


 ミズハが弓を構えようとした。


「いや、問題ない」


 サターナが呟くと、胸ポケットに手を突っ込んだ。

 そして取り出したのは……拳銃である。


「「え?」」


 ゼツヤとミズハが呆然とするなか、サターナは引き金をひく。

 銃口付近に魔方陣が出現、その出現と同時にライフル弾みたいなのが飛んでいった。

 弾丸は鳥を貫通し、HPを消し飛ばしてポリゴンに変える。


「まあ、こんなもんか」

「「そうなのかな?」」


 さっきの何?


「なんだ、それ」

「『マスターブレスレット・ハザードバレット』と遠隔魔法発動装置のセットを『極小加工』して、拳銃のかたちに纏めたものだが」


 そうか、その手があった。

 ていうか、去年、ブリュゲールが兵器開発したときに、スクロールを利用した疑似レーザー兵器とかあったじゃん。ちょっと考えたら普通に思い付くわこれ。


「なるほどな……」

「何をそんなにしょげているんだ?」

「お前、今年度の頭にブリュゲールが何したか知らねえの?」

「無論知っている。なぜあんな事をするのか疑問だったが」


 しかし、極小加工か。すっかり忘れていた。

 ゼツヤも出来るが、ゼツヤは完成品を無闇に弄ろうとはしないタイプなので、この発想はなかった。

 なんだろう。これをヘリオスが知ったらどう思うんだろうな。

 ん?今マスターブレスレットと言ったな。


「装置を組んでやってるってことは……いや、マスターブレスレットの制約で、一応MPは消費するのか」

「ああ。だが、一応、初期ポイントを『MND』にもそこそこ振り込んでいたからな。ポーションさえしっかりと準備しておけば何も問題はない」

「そういうものか……」

「しかし、MPポーションはかさ張るからな……」

「まあそうだろうな。まあ、ポーションなんてここ数年くらい買ってないから知らんが」

「まあ確かに、NPCに任せておけば、種まきから回収までやってくれるだろう」

「そうだな。在庫どうなってんだろうな……まあ、いざとなれば倉庫を広げたらいいだけの話か」

「すごい悩みだな……」

「NWO最高峰の生産職だからな」


 え、『ジョーカー』のギルドホームの宮殿を作るさいに無理とか言っていたって?あれはノーカンだ。

 第一、ゼツヤの専門は武器とか防具とか道具とか、そう言ったものの話である。

 まあ、創造神になる仮定で家とかを拠点に作りまくったので、なんかNPCたちが喜んでいたが……まあ今はいいか。


「しかし、なんだかんだ言って実力は衰えていないな」

「そりゃそうだ。しかし、サターナなら普通に魔法を使っても当てれると思うが……」

「いや、これが思った以上に難しい。魔法の場合、自分の手を軸にして魔方陣を作るからな。NWO初心者は、火の玉だって当てるのに訓練所に行って的を目掛けて練習するくらいだ。目算が完璧にできない限り、魔法職は辛い部分が多い」


 シャリオってスゴいんだな。うん。


「それはいいとして、着いたぞ」


 バルントル遺跡に到着した。

 さて、アップデートで本当の意味で謎解きとか世界設定とか追加されたらしいからな。

 いいアイテムのヒントがあればいいなと思いながら、ゼツヤたちは進み始めた。

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