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執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?  作者: Gai


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第38話 無意識に零れている

「「…………」」


現在、バトムスはギデオンたちと共にファルティール公爵が治める街へと向かっていた。


今回のパーティーにルチアの執事として参加するバトムスは、馬車の中で座って過ごしていた。

バトムスの能力を考えれば、期待される面は護衛力だが、今回の異動では複数の騎士や魔導士たちが同行しているため、まずバトムスの出番はない。


故に、バトムスは移動中……特にやることがなく、黙々とギデオンと共にリバーシで遊び、時間を潰していた。


「……はぁ~~~~。参りました」


「…………うん、そうだね。今回は私の勝ちだね」


馬車の中にはバトムスとギデオン、ルチアとギデオンの執事に今回の度でルチアの身の回りの世話を担当するメイドの計五人。


中は錬金術によって改造されており、外から見る大きさよりも広く、中に五人いても全く狭くない。


「それじゃあ……ルチア、父さんと連結をやらないかい」


「っ、分かりましたわ」


先程まで不機嫌が続いていたルチアだが、ギデオンに一緒に遊ばないかと言われ、ほんの少し機嫌が良くなった。


因みに、連結というのは前世の知識を元に、バトムスがギデオンに提案したゲームのアイデア。

五つ以上に分裂された列を作り、その列に互いに色が違う円盤を入れていく。

最終的に縦横斜め、どれか一つでも四つ繋げることが出来れば、繋げた相手の勝利。


子供たちも簡単に遊べるゲームであり、大人たちは金に余裕がある者は専用の砂時計を購入し、自身のシンキングタイムを制限して遊ぶこともある。


(こういう時、スマホとかユー○ーブとかあれば良いんだけど…………それに関しては、俺がこの先どれだけ前世の知識を活かして頑張っても、実現することはないだろうな~~~~)


そもそもバトムスは前世、平凡的な中学生であったため、特に特筆した知識などは有していない。

バトムスが伝えたアイデアを切っ掛けに誰かが将来的に実現するかもしれないが、その可能性があったとしても……どう頑張っても、バトムスが生きている間に実現は出来ない。


「バトムス君」


「なんですか、シャルトさん」


「パーティー会場では、練習通り静かに、冷静に……問題を起こさず、ですよ」


バトムスに話しかけてきた男は、ギデオンの執事であるシャルト。

初老に差し掛かる年齢ではあるが……戦闘訓練を行っているからこそ、バトムスはなんとなくその強さを感じてしまう。


(基本的に俺みたいな人間にも優しく話しかけてくるから……逆にそれが怖いまであるんだよな)


執事としての動作の練習等では、さっさと終わらせて戦闘訓練を行うか、パーズと戯れたいという思いから、超本気で取り組んでいた。


それもあってか、シャルトから叱責されることはなかったものの……シャルトは、ギデオンと同じくバトムスがあまり普段の調子で喋れない人物であった。


「もう何度も聞きましたよ」


「何度聞いていても、損はないですよ」


「……第一、お嬢が絡まれるならまだしも、まだ正式には執事見習いである俺なんかが絡まれたりしますか?」


普段の自身の行いから、冷静に……問題を起こさずにと言われるのは解る。

それはもう仕方ない事だと、これまでの自分の行い振り返れば当然だと、バトムスも解っている。


だが、だとしてもシャルトからもう何度も何度も……耳にタコができるほど言われ続けている。


「基本的にはないでしょう」


「な、ないんですか……それじゃあ」


「しかし、バトムス君には他の子たちにはないものがあります」


「他の奴らにないものですか?」


バトムスは普通の子供ではない。

それは物凄く今更な話であるが、バトムスが自覚してない部分があった。


「そうですよ。バトムス君は本当の意味で鏡を見れないから解らないと思いますが、君には他の子たちにはない、確かな自信があります」


「自信、ですか?」


実際のところ、バトムスは前世の朝霧詠無だった頃と比べて、明らかに自分に対して自信を持っていた。


ただ、それを本人は気付いていない。


「そうです。君は執事見習いとしての仕事はサボりますが、それでも戦闘訓練には非情に力を入れていますね」


「う、うっす」


「そして、数年前からモンスターとの戦いも始めた。話を聞く限り、一対複数の戦闘も、もう何度も経験してるそうですね」


「一応……そうっすね」


偶にパーズに待っててくれと頼んで、一対複数で戦っていることもあるため、シャルトの耳に入ってきている情報は決して間違っていない。


「他にも、興味を持ったことに関しては貪欲に学んでいると聞いています。だからこそ、バトムス君はその歳でとても大きな自信を持っています」


「は、はぁ」


「その自信に関してですが、バトムス君は無意識に顔……体、雰囲気に現れてしまっています」


「そう、なんですね………………えっ。もしかして、それが生意気だって理由で、絡まれてしまうかもしれない、ってことですか?」


少し申し訳なさそうな表情を浮かべながら、シャルト……だけではなく、話を聞いていたメイドも頷いた。

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