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執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?  作者: Gai


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第29話 まず、仲良く出来ない

「ふっふっふ、可愛いな」


「でしょ」


バトムスの家に訪れていた兄、ハバトはマーサルベアのパーズをもふもふしていた。


バトムスから自分の兄だと、優しい人だと伝えられており、もふもふされているパーズは悪くない、といった表情を浮かべていた。


「それにしても、こういった場じゃないと言えないんだけど、ルチア様たちから寄越せとは言われなかったのかい?」


ハバトも軽く説明は受けており、パーズがBランクモンスターのマーサルベアであることは知っていた。


心神耗弱からの栄養失調により、ゴブリンたちやゴブリンリーダーからリンチにあっていたが、本来であればまだ子供ではあっても、ゴブリンたちを圧倒出来るほどの実力がパーズにはある。


既にシェフたちが作った栄養たっぷりのご飯を食べ、パーズは非常に健康な状態に回復していた。


「そんな事すれば、ギデオン様から拳骨という名の雷を落されるって解ってるんじゃないかな」


「それは……そう、かな」


あの子が持ってるゲーム、カセット、私も欲しい!!! といった欲求とは比べ物にならない。


パーズことマーサルベアはBランクモンスター。

そもそもモンスターをテイムするという方法は、大前提にこの手段が有効です!!! という方法が確立されていない。


ワイバーンの卵などであれば、一応可能性は無きにしも非ずだが、まず通常のワイバーンを討伐するよりも高い依頼金が必要になる。


巣から卵を盗めば、複数のワイバーンとバチバチに戦わなければならない。


そしてマーサルベアなどの獣系モンスターに関しては卵からの誕生ではないため、更にまだ自我が芽生えていない子供を取ってくるというのは……高い戦闘技術を持つ斥候が得意な冒険者であっても大半の者が高額の依頼金を用意しても断る。


「それに、どうにかしてモンスターの卵とか、子供を盗ってきたとしても、欲しいと思ってた人間に懐くかは別問題だと思うんだ」


「……そうだね。そうなってしまうと、もう色々と無駄になってしまう。とはいえ、ルチア様はもう少しアクションを起こすかと思ってたけど、何も無かったんだね」


「こっちをすげぇ恨めしそうな眼で見てたけど、それぐらいの分別はつくみたいだね。でも、もしかしたら裏でこっそりギデオン様に私もパーズみたいな存在が欲しいって強請ってるかもね」


結局無理だと諦めはしたものの、バトムスの予想通り、ルチアは裏でこっそりと父親であるギデオンに私もパーズの様な存在が欲しいと頼んでいた。


「しかし…………バトムスは、将来的に冒険者になるのか?」


「なんでそうなるのさ」


「だって、バトムス自身、同世代の兵士候補、騎士候補、魔術師候補の奴らとの試合では、一回も負けてないだろ」


事実であり、バトムスは自慢げに頷く。


「それで、パーズっていうBランクモンスターの従魔であり、友人ができた。冒険者として活動すれば、成功が約束されてる様なものじゃないかと思ってね」


「ん~~~~~……」


今度はバトムスがパーズをもふもふしながら、ハバトの言葉を脳内で考え込む。


(冒険者、冒険者……冒険者かぁ…………)


街の人たちの中にも、バトムスの事を知っている者がちらほらいる。

その中には冒険者もあり、すれ違う時に挨拶をしたり、軽く立ち話でここ最近の冒険譚などを聞かせてくれる。


この世界にある職業の中では、確かに魅力を感じる職業ではあった。


「……楽しそうって感じはしますけど、ズルだ!! 卑怯だ!! って言われそうな

気がするんですよね~~」


「ッ、そうか……その可能性をすっかり忘れてたよ」


成功が約束されている道。

そんなハバトの考えは、確かに間違ってはいない。


偶に行われるルチアとの試合では、特殊ルールを上手く使い、真正面から打ち勝つよりも、テクニックを活かして勝つことが殆どのバトムス。


しかし、普段の訓練では真正面からの打ち合いを騎士たち相手に行っており、決して絡め手でしか勝てない訳ではない。

そこに、Bランクモンスターの従魔であるパーズが加わる。


仮に、本当にバトムスが冒険者になるのであれば、その年齢時には既にパーズも子供から大人へと成長しており、文字通りBランク猛獣と化している。

因みに……バトムスは今回の自身の家を建てるということで、懐から大量の金が吹き飛んだのは間違いないが、それでもまだ余裕はあり、定期的に懐に入ってきている。


そのため、冒険者としてスタートする段階から、装備品の質はベテラン並み……もしくはそれ以上となる。


本当に冒険者に就職するのであれば、バトムスは死にたくないので、最初から装備品に課金してからスタートする。

そんなバトムスの考えは至極当然であはあるが、そういったスタートダッシュを行えば、当然ながら本人の言う通り、まず同性代の者たち……同期たちとは仲良く出来ないという問題が発生してしまう。


「だから、興味はあるけど、ん~~~って感じかな~~~」


そう言いながら一旦もふもふするのを止め、兄とパーズと共に夕食を食べに、食堂へ向かった。

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