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執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?  作者: Gai


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第24話 もう、大丈夫

「ギギャ、ギギャギャギャっ!! ギャっ!!!???」


バトムスは短剣を取り出すと、狙いを定め……ゴブリンの後頭部に投げた。


身体強化のスキルを発動し、更に魔力を纏うことによって更に強化された腕から放たれた短剣は、見事に刃が脳まで突き刺さった。


「ギャギャギャっ!!!」


「「「ギギャギャギャっ!!!!」」」


ゴブリンリーダーが指示を出し、残り三体のゴブリンに襲撃者を攻撃するように指示を出す。


(後ろを、後ろを取られない様に動くんだ!!)


既にゴブリンとは何度も戦闘経験があるバトムスだが、今回ほど一度に多くのモンスターと対峙するのは初。


「せやっ!!」


「ィギっ!?」


バトムスは一刀一殺を狙わず、まずは機動力を奪うために転がりながらも脚を斬りつけていく。


(よしッ! このまま削り続けるぞ!!!)


決して無理はせず、踏み込み過ぎず丁寧に丁寧にゴブリンたちの戦力を削っていくバトムス。


そんな少年の活躍を後方から眺めている騎士は、やはりあいつは同世代の見習い騎士たちとは違うと、感心しつつも……いつゴブリンリーダーが動いても対応出来る様に構えていた。


(無理に攻めず、機動力を奪うために足を狙う……それに、後ろを取られない様に、大胆に転がって動いてるな。あのままいけば、とりあえずあの三体はバトムスだけでも殺れそうだな)


身体能力はともかく、戦い方や技術に関してはバトムスの方が二歩も三歩も先を行っている。


後ろを取られず、そして機動力を奪うという作業を忠実に行い続け……二分後には、大量の切傷が刻まれたゴブリンの死体が転がっていた。


「はぁ、はぁ……はぁ、はぁ。これで……後は、お前だけだな」


「~~~~~~っ!!!! ギギャギャッ!!!!!」


同族を全員殺した人間の子供に怒りを爆発させ、ゴブリンリーダーは小熊から離れ、思いっきり剣を振るう。


「っ!!!!!」


ゴブリンより一回りほど大きく、身体能力も上。

バトムスでも絶対に勝てる保証はない。


共に行動している騎士も、そろそろ自分が参戦した方が良いかもしれない……そう思っていると、バトムスは決死の覚悟でゴブリンリーダーの斬撃を躱した後……リーダーの脚に飛びついた。


「ふんっ!!!!」


「ギっ!!??」


飛びついた直後、バトムスはロングソードを放り投げ、投げるように持っていた短剣を取り出し、何度も何度もゴブリンリーダーの脚を突き刺し始めた。


「ッ!!! ッ、ギっ、ィっ!!!???」


バトムスの体重を考慮すれば、無理やり振り払うことは出来る。


どこかで拾ったロングソードで突き刺すという選択肢もあるが、痛みがそれらの行動を封じた。


まだ痛みが感じなくなる程何かが溢れることもなく、度重なる突き刺し攻撃に、苦悶の表情を浮かべることしか出来ないゴブリンリーダー。


「っ!! お、らッ!!!!」


「っ!!!!????」


「おらッ! おらっ!! オラッ!!!!」


上手く首を切り裂いて止めを刺すのではなく、もうか足は動かせないだろうと判断して離れると、バックを取って押し倒し、短剣の柄の部分で何度も何度も頭部を叩きつける。


「おらっ!!! オラッ!!!! ッ…………ど、どうよ」


感触的に、頭蓋骨だけではなく、脳まで破壊出来た。

そう判断してリーダーから離れるバトムス。


「お疲れさん、バトムス。見事な勝利だったぜ」


「ほ、本当っすか…………ぃよっしゃッ!!!!!!」


同行してもらっている騎士の力を借りず、自分の力だけで勝利することが出来た。


それはバトムスにとって、自身の成長を確認するのに十分な証拠だった。


「あっ、そうだ!!!」


勝利の余韻に浸る間もなく、体力の大幅な消耗など気にせず、バトムスは先程まで

ゴブリンリーダーたちに襲われていた子熊の元へと向かった。


「大丈夫、もう大丈夫だから。だから、少しだけジッとしててくれ」


「…………」


小熊はそもそも動ける気力もないということもあって、大人しくその場から動かなかった。


そしてバトムスが傷を癒す特殊な液体、ポーションが入った瓶を取り出して子熊の体に零すと……徐々に徐々に、子熊が負っていた傷が癒えた。


「っ……っ……」


「多分、もう体を動かせると思うぞ」


「…………っ!!」


ゴブリンたちに襲われていた状況から、何故か助けてくれた。

そして謎の液体を使い、自分の傷を治してくれた。


子熊はまだ人間という生物に出会ったことはなく、今回が初めてだった……だが、それでも目の前の少年や後ろの大人の笑顔が……嘘ではないと、本物だと解った途端、涙が零れ始めた。


「っ……大丈夫だ。もう、大丈夫だからな」


ラストはそっと子熊抱きしめ、涙が枯れるまで待った。

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