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執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?  作者: Gai


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第14話 暴論、ではあるが

(うっ、わぁ~~~~~……ざけんなよ。なんでお前らがここに居んだよ。どんな嗅覚してんだよクソが)


眼の奥をキラリと輝かせ、ボードの上に乗っているチョコ味のクッキーを見つめるルチア。

その姿は……先程までクローゼルが語っていたような暴獣の如き雰囲気は感じないものの、バトムスには獲物を狙う小動物の様に見えた。


しかし、直ぐ傍に居る侍女からは……クローゼルが言いたい事が良く解る、暴獣の雰囲気を感じ、思わず身震いしてしまったバトムス。


(やるわけ、ないだろ!!!!!!)


クローゼルは……立場上、バレないようにこっそり食べるだけならまだしも、バレてしまってはある程度差し出さなければならない。


バトムスはそれを解っていた。

そして……立場上、本来であればバトムスも我慢していくつか差し出さなければならない。


だが、そこで差し出さないのがバトムス。


「あっ!!!!!!!」


ルチアが悲鳴を上げる先では……バトムスが残っていたチョコクッキーを無理矢理口の中に詰め込んでいた。


「ほうだっ!!! これでおばえの分はなっ!!!!!?????」


「バトムスっ!!!???」


一つもやらない為に、バトムスはチョコクッキーを無理矢理口の中に詰め込んだ。

そう……そこまでは良かった。


ただ、まだ五歳のバトムスの小さな口でその様な事をすれば……当然の様に喉に詰まりかけた。


直ぐにそれを察したクローゼルはそれを察し、水を用意。

バトムスはなんとか隙間に水を通し、事なきを得た。


「ふぅ~~~~~。残念だったな、お嬢。お前の分はねぇよ」


「「…………」」


ちょっと口から水が垂れており、中々にダサい。

しかし、バトムスが言う通り、チョコクッキーは全て食べてしまった。


「つか、あんまり甘いもんばっかり食ってるとブクブク太るぜ」


「っ!! あなたって、本当にデリカシーがないわね!!!!」


この世界でも、女性に対して太る……体重などの話を振るのは、女性同士であればまだしも、男性の方から振るのはデリカシーない認定されてしまう。


「お前なんかにデリカシーを気にする必要なんてねぇだろ」


「ッ!!!!!」


目の前のクソガキ(同世代)をどうしてやろうか、一気に怒りのボルテージが頂点まで達するも……場所は厨房。


そこが喧嘩をして良い場所ではない、ということぐらいはさすがにルチアも理解している。

加えてクローゼルが元騎士ということも知っており、服の上からでも解る太い筋肉を持つ腕から繰り出される拳……想像するだけで幻痛を感じさせる。


「それじゃあ、また新しいのを作りなさいよ!!!!!」


「おいおいお~~~~い。チョコクッキーを作るのに必要な材料は、主に俺が購入してるんだぜ~~~。確かに作るのはクローゼルさんだけど、材料の主は俺なんだ。ってなわけで、お嬢の為に材料を消費するのは……できない相談だな~~」


中々に暴論である。


そもそもバトムスはそんな権利を主張するつもりはなく、クローゼルや他の菓子作りに興味がある料理人たちに好きなように使ってもらおうと思っていた。


なので、いきなりの発言にクローゼルは驚いた表情を浮かべるも……材料の購入費をバトムスが負担していることは事実であるため、スポンサー様に口出しは出来ない。


「っ!? か、カレン!!!!」


「え、えっと……そう、ですね……その…………」


ルチアの侍女であるカレン。

彼女はそこまでアブルシオ辺境伯家の厨房事情に関して詳しくはない。


詳しくはないのだが、バトムスのアイデアのお陰で料理のレパートリーが増えたという話は耳にしていた。

その為、五歳の子供が辺境伯家の厨房のスポンサーになっているなど……普通なら信じられないが、カレンはバトムスがどう考えても普通の子供ではないと認識している。


料理長であるクローゼルがバトムスの言葉にツッコまないということもあり、ルチアの援護が出来なかった。


「~~~~~~~~っ!!! しょ、勝負よバトムス!!!!」


「勝負って……何の勝負をするんだよ。俺が全く出来ない分野の勝負なら、絶対に受けねぇぞ」


「模擬戦に決まってるでしょ!! 今日こそぶっ飛ばしてやるわ!!!!」


「……いや、あぁ~~~~…………はぁ~~~~。お嬢がそれで良いなら、別に良いけどよ。けど、その前に当主様に話を付けた方が良いんじゃねぇの」


「っ!! ここ待ってなさいよ!!!!!!!」


「ルチア様、お待ちを!!!!」


はしたなさと一切気にせず、ルチアはダッシュで父親であるギデオンの執務室へ向かった。


「バトムス……本当にルチア様には容赦ないな」


「お嬢があの態度ですからね~~」


「……ところで、また模擬戦をすることになりそうだが……どうするんだ?」


「どうもこうも、前回と同じルールで戦って、似た様な感じで倒しますよ」


「そうか………………イジメるのも、ほどほどにしておくんだぞ」


元騎士ということもあって、クローゼルは現役騎士の知り合い友人も多い。


そのため、以前の模擬戦時、バトムスがどの様にしてルチアを瞬殺したのか聞いていた。


(バトムスの倒し方を考えるに……お嬢が理屈を理解して対応出来るようになるのは、後五年後ぐらい先か? しかし、その間にバトムスが成長し続けることを考えると……諸々の要素も含めると、初勝利にはもうプラス五年かかるか?)


一先ず、今のところルチアがバトムスとの模擬戦で勝てる要素はなく、今回の模擬戦でも呆気なく瞬殺されてしまった。

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