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紅い瞳の奴隷騎士は、少女のために命を捧ぐ  作者: 神崎右京
第十章

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165/183

165、稀代のペテン師④

 カタン……

 物音がして、ふと視線を上げる。

 ドアのあたりを見れば、簡素な鎧を身に纏った黒髪黒目の少年兵が入ってくるところだった。

「まだやってたの?……ちょっとでいいから仮眠を取りなよ、って言っただろ?昨夜から一睡もしてないじゃん」

「ネロ……」

 クルサールがチラリ、と周囲を気にするような視線をやったのを見て、ネロと呼ばれた少年兵は軽く肩をすくめた。

 邪魔にならないように切りそろえられた髪は、以前のように前髪で瞳を隠すような長さではないが、生まれつきの一重の三白眼だけは生意気な光を失っていなかった。

 クルサールと共に偉業を成し遂げると決めてからの数年で、死に物狂いで鍛えたのだろう。過去の骨と皮だけだった哀れな少年の面影はどこにもなく、まだ成長途中でありながらもしっかりと『兵士』と呼ぶに相応しい身体つきになり、腰にはひと振りの剣を帯びている。

「大丈夫だよ。周りには誰もいない。救世主様が誰より強いことは皆知ってるし、城内に討ち洩らした奴はいない。おまけにアンタは今仮眠を取ってることになってる。……誰か来たら、ちゃんと「クルサール様」って呼んで敬語を使ってあげるよ」

「ふ……相変わらず、生意気な」

 苦笑と共に呟いてから、眉間のあたりを抑えて、ふるふる、と頭を振る。どうやら、いつの間にか時間が経っていたらしい。

「ほら、疲れてるんだろ?正午の鐘と同時に民衆の前に出るって言ったのはアンタじゃん。それまでに――」

「大丈夫です。今、私が止まるわけには――」

「ったく……ホント、”救世主”様はご立派なことで」

 呆れたように言って、ネロはクルサールの元へと歩み寄る。

 ここは、紅玉宮の監視役を担うクルサールに与えられた、皇城の自室だ。皇族の居住スペースを中心に火に飲まれた部分が多いこの敷地の中で、全く荒れていない部屋は少ない。そのうちの一つが、ここだった。

 机に座り、何かの資料を読み込んでいたらしいクルサールの隣へとやってきて、ネロは手元を覗き込む。

「何やってんの?」

「貴方に頼んで調査してもらった、市民の皇族に対する印象についての資料を読み直していたのですよ」

「へぇ?なんでまた」

 ネロの質問に、クルサールは少し困った顔で言葉に迷う。

 視線を資料に落として、ぺらり、と一枚を捲った。

「当初の予定では――昨夜討ち取った皇族と、有力貴族の首を、正午の鐘と同時に全て城門に晒す予定だったでしょう」

「ん?あぁ、そう言ってたね」

「ですが――少し、迷いが生じまして」

 言いながら、そっと資料を指で辿る。

 そこに書いてあるのは――第六皇子ゴーティスの、調査報告。

「あぁ……聞いたよ。ゴーティス。凄い最期だったらしいね。あの場にいた兵士の中に、アンタについて行くべきかわからなくなった、って声が聞こえたから、さっき魔法で感情を操作しておいたよ」

「そう……ですか……」

 ぎゅっと拳を握り締めて、ふーっとため息をつき、クルサールは瞳を閉じる。

「兵の気持ちもわかります。――私も、本当に首を刎ねるべきなのか、最期まで悩みましたから」

「へぇ?……珍しい。偉業を成すためには修羅にもなるって言ってたアンタが」

 少年の皮肉っぽい言い回しは、初めて逢ったときから変わらない。

 クルサールは、ゆっくりと瞳を開いて、早朝の出来事を思い出す。

「――私は」

「ぅん?」

「どんなに綺麗事を言っていても、”人間”が”神”のごとく振舞うことは不可能だと思っています。――信じている、と言っても過言ではない。特に、己の”死”に纏わる理不尽に見舞われたときの行動は、必ず”人間”の本性が出る。それは、私や、貴方が誰よりもよくわかっているはずです」

「ハハッ……うん。そうだね。俺もそう思うよ」

 自分に直接関係のない見知らぬ”誰か”のために命を擲つことは、敬虔な信者だったクルサールにもとうとう最後まで出来なかった。彼が覚悟を決められたのは、ネロの断末魔を聞いたあの瞬間だ。

 ネロとて、この世に未練などないと嘯いて死地に向かったが――最期は「助けて」と叫んで足掻いてみせた。『咎人の儀』で死に瀕したときは、魔物の甘い言葉に、復讐の鬼となってでも生きることを望んだ。”死”を受け入れる覚悟など、決して決められなかった。

 だが――今朝、首を落とされた、あの男は――

「ゴーティスは、目の前に迫る白刃を見ても、最期の最期まで――その白刃を睨み据えたまま、悲鳴の一つも、命乞いの一つも漏らすことなく、毅然とした態度で、その命を落としました」

「……」

「最期に遺す言葉は、恨み言ではなく――ただ、残された民の平和を心から願い、謝罪し、”次”を担う我らの覚悟を問う言葉でした」

「…………」

「それは――それは、”神”の振る舞いです。”人間”が出来る振る舞いではない」

 だから、調査書を、読み返した。

 彼が、どんな人物だったのか。民衆に、どのように受け入れられていたのか――

 そこには、彼のカリスマに惹かれ、皇族憎しという風潮が高まった帝国領内であっても、ただ愚直に、魔物から人々を救うために命を賭す進撃を繰り返す姿に感謝する民が殆どであったことが書かれていた。

「頭では、わかっています。彼は、帝国軍元帥。いわば、軍国主義国家イラグエナムの要。生かしておけば、間違いなく、我らの反対勢力の温床となります。あの軍事力は、恐ろしい。実際に攻め込まれた我々が一番よく知っている。だからこそ、それを束ねて指揮する中心人物は、なるべく多く今夜の革命で討ち取る必要があった。――ゴーティスその人を生かすなど、言語道断です。頭では、ちゃんと納得しているし、わかっています」

 言ったあと、ふるふる、と頭を振る。

「ですが――彼の思想は、我らが目指す理想と、変わりがないものでした。唯一、己の配下を大切に思うあまりに皇帝へと上申出来なかった、という点だけが、我らが目指す理想と異なる点ですが――そのおかげで、彼を慕う部下がいて、彼のために命を擲つ者たちがいた。……(エルム)の名のもとに命を擲つ者がいるように、彼らにとっては、ゴーティス自身が、神と同義の存在でした」

「……そうだね」

 ネロは静かに肯定する。

 クルサールが偉業を成し遂げるという決意を見せてから、ネロは己の闇の魔法で彼を補佐することを願い出た。それは、クルサールの最終目的を思えば、卑怯と言っても過言ではない力だ。

 クルサールは、最初はその卑怯と言われる手を使うことを拒否した。

 地獄へ堕ちるのは自分だけでいい――そう言って、ネロを遠ざけようとした。

 だがネロは、半ば強引にそれを納得させた。彼が気を揉まないように、必死に鍛錬をして、側近に相応しい力を得た。

 それは――クルサールが、偉業を成し得た果てには命を擲とうとしていることに、気づいていたから。

 だから、ネロは提案する。

 闇の魔法を使って、ただの土着信仰だったそれを、より求心力の高い宗教へと仕立て上げることを。

 土着信仰の”名も無き神”の教えを基にしながら、クルサールが理想とする思想を語らせる神を、新しく作り、エラムイドの全員にそれを信じ込ませる必要があった。

 その新しい”神”は、<贄>を望まない。『咎人の儀』など望みもしない。――過去に辛い思いをした<贄>の親族が、新しく幸せを享受する未来の親や子供に嫉妬をすることを許しはしない。

 人々に信じさせるために、”神”を身近な存在にする必要があった。

 だから、まずは、名前を付けた。――おとぎ話にあやかり、『エルム』と名付けた。彼の本名は別にあったという事実を基に、神の声を聴ける少年が、己で神の名を名乗ったのだと物語の筋を書き換えた。

 違和感など感じるはずがない。全ては、クルサールが直接「神がそうおっしゃっている」と言えば、それが世の中の『真実』になった。

 そして目には見えないその存在を、より信じさせるために、宗教画を作り、人格を持たせ、人々に流布した。仮にクルサールの語る言葉に矛盾や違和感を感じる者が出てきても、ネロの魔法でかき消した。

 その結果――クルサールの言葉は全て、真実となった。名前を与えられた神エルムが<贄>の儀式の撤廃を望んでいると言えば、それに反対する者は出なかった。――出たとしても、無理矢理、ネロが押さえつけた。

 クルサールが命を擲たなくても、人々が新しい”神”を受け入れるように――それだけのために、ネロは魔法を使い続けた。

 結果――

「……ネロ。そういえば、身体の方は大丈夫なのですか」

「え?あぁ……大丈夫だよ。心配性だなぁ」

「少しでも不調があれば、必ずすぐに申し出なさい。私しか、貴方を治癒出来る者はいないのだから」

 心配そうな色を紺碧の瞳に宿すクルサールに、ネロは困ったような顔で苦笑する。

 ――ネロが闇魔法を行使しすぎた代償に身体を壊したのは、クルサールの側近になってすぐのことだった。

「……魔物は、帝国を手中に収めて大人しくしていますか」

「あぁ。今のところは文句ないみたいだよ。……こっから平和になったらどうなるか、わからないけれど」

「大丈夫です。イラグエナムの残党勢力がいます。やがて、彼らが新勢力となり抗争が始まることでしょう。それが終われば、またその次――大丈夫。人間の欲は果てしない。抗争の種は、どこにでもあります」

「ハハッ……怖い怖い」

 ネロは軽く肩をすくめて茶化したように言う。

 ネロが血を吐いて倒れたのは、クルサールが光魔法を『神の奇跡』として国の者たちに付与したと宣言しようと画策していた丁度その時だった。

 治癒の魔法をかければ回復したものの、再び闇魔法を使えばすぐに血を吐いた。

 魔物が言うには、どうやらネロは契約違反をしている、ということらしい。魔物は、南の集落を始めとした、エラムイド全土を眷族の力を使って蹂躙し、恐怖と絶望に陥れることを約束してネロと契約した。しかしネロはクルサールとの対話の果て、穏便にエラムイドを治めていく方法に協力することになってしまった。

 与えた闇魔法の力は、負の感情を集めるためのものなのに、ネロがやっているのは、むしろ負の感情を排除していくような行為だ。その代償として、ネロの身体を蝕むことにした、とそう告げた。

『――大丈夫だよ』

 ネロは、いつか見たような顔で笑って見せる。

『そもそも、本来なら俺は、もう、二回くらい死んでるはずなんだ。それを、何の因果かこうして生き残ってる。クルサールが成し遂げたい世界を、俺も見てみたい。そのために力を使って、死ぬならそれでも――』

『駄目だ!っ、言ったはずです!必ず助けを求めろ、と――そうすれば、私は必ずあなたを助けて見せますから……!』

 そうして、計画は大きく修正される。

 クルサールが目を付けたのは、国内に渦巻く帝国への悪感情。

 <贄>の儀式が無くなれば、”神”の教えが浸透するわけではない。残酷な行いが無くなるわけではない。

 国内に渦巻く敵国への悪感情は、間違いなく魔物が好む負の感情だ。これを最大限に膨らませ――その先で、エラムイドなど比較にならないほどの人口を有する帝国領において、魔物に負の感情を摂取させる計画。

 そこで、クルサールは民に朗々と宣言する。

 神のお告げがあった。

 エルム様は、慈悲の塊――帝国領にも、我らが祖国を蹂躙した憎き皇族によって虐げられている民がいる。人としての尊厳を奪われた奴隷や、武力と悪政で虐げられた市井の民の悪感情は計り知れない。

 そんな哀れな彼らにエルムの教えを広め、憎き帝国を打ち破り、全ての悩める民を救えと言われたのだ――と演説すれば、国民はわかりやすく喜んだ。

 神を信じない帝国民に、その存在を信じさせるには、魔物に怯える彼らの生活を逆手に取ろうと決めた。退魔の力を持つ光魔法の秘密を打ち明けるのは、帝国を全て手中に収めてからにすることにした。

 より多くの民に効率よく教えを普及するため、『聖典』を作り上げてクルサールの魔法を込めた『聖印』と共にばら撒いた。

「あぁ……そういえば、一年前に<贄>として帝国に送られた女の子だけど」

「はい」

「無事にエラムイドで暮らしているよ。クルサール様に助けていただいたと、涙を流して喜んでた」

「それはよかった。――あんな、惨い仕打ちを、二度と繰り返さぬために、私はこの覇道を歩むと決めたのですから」

 帝国を手中に収めるには、どうしても政治的な部分での策略が必須だった。クルサールは、父に頼んで己を代表者と偽り帝国に向かった。

 彼らの狡猾さは筋金入りで、どれほど交渉を試みても<贄>を寄こせと言って憚らなかった。まずは信頼させるために、<贄>候補を帝国へと運んだが――こっそりと後を付けていき、少女を解放し、代わりにクルサールが結界を張った。見張りとしてついてきていた兵士たちは、ネロの魔法で少女が魔物の胃袋に収まったと思い込ませて返した。

 帝国へ来て、その惨状を知る度に、一刻も早くここに住まう民を救わねばという使命感に燃えた。愚かな皇帝も、側近も、帝国を支配する者たち全員の首を刎ねることに、何の躊躇もなかった。

 自分はきっと、地獄行だろう。罪に罪を重ねて、世界をペテンに陥れて――それでも世の中を『正しい』姿にするには、”神”の教えがなければ不可能だと信じていたから、突き進んで来られた。

 それなのに――

『国が惑い、民が悲しむ世の中で――己の首一つで、民が、臣下が、真に救われるならば、喜んで差し出しこそすれ、どうして命乞いなど出来ましょうか』

 そう言って、笑みを浮かべた少女がいた。

『残された俺に出来るのは――ここで、誇り高く、首を討たれることだけだ。それで救われる民の心があるなら、喜んでこの第六皇子ゴーティスの首を晒そう。――心して、受け取るがいい』

 目の前に迫る死を前に、怯えることなくギラリと眼光を鋭くした男がいた。

「ゴーティスの首を――晒すべき、でしょうか……」

「え……?」

「調査書を見る限り、<贄>を使わずにあくまで軍事力に頼る方針に不満を示していた民はいたようですが、ゴーティス本人に対して不満を持つ民はいません。……その首を掲げるだけで歓声が上がるギークや、それ以外の首とは、訳が違う。――その首を見て、嘆く民が、いるでしょう」

「……不都合なら、俺の魔法で――」

 控えめに言葉を発したネロを緩く頭を振って制す。

「乱発はしたくありません。正午に集まるのは、帝都の民の殆ど全てでしょう。それほどの人間に魔法をかければ、貴方の身体も心配です。魔力も底をつきかねない」

「だけど――」

「……悪逆非道な行いをした、神の教えに悖る人間の首だけを晒し、それ以外の者に関しては、口頭で名前を読み上げるだけに留めてはどうでしょうか」

「クルサール……」

 ネロの痛ましげな声音に、嘆息して瞳を閉じる。

「いえ……すみません。私が、惑ってはいけませんね。少し、怖くなってしまっただけです。もしかして、私は――真にこの世に顕現した”神”を、この手で討ち取ってしまったのではないかと――」

「!」

「神の名を騙り、悪行を重ねる私を諫めるために遣わされた、”神”を――刃を向けてこの手にかけてしまったのではないかと、急に、不安になってしまいました。ふっ……情けない話です。”救世主”ともあろうものが」

 口の端に自嘲の笑みを刻む。

 クルサールは、自分が人間であることを誰よりもよく理解している。

 だから――いつも、”神”に縋りたくなる。

 今もこうして――覚悟を決めたと思っても、すぐに、その存在に縋りたくなって――

「既に、地獄に落とされることは覚悟の上です。今までの報われぬ沢山の<贄>と、その家族の無念に報いて、世の中を『正しく』導くと決めたのは、私です。――今更、下らない情や不安に惑っている場合ではないですね。……忘れてください」

 眉間を抑えて、ふるふると頭を振る。

 実は――真なる”神”に見えたのではないかと錯覚したのは、人生で二度目だった。

 ぺら……と手元の調査書類のページを捲る。

 そこには、ゴーティスと同じく――皇族の中で唯一、民からの支持率が最後まで高かった少女の名前が書かれている。

 ――第六皇女ミレニア。

(私を諫める”神”なのではと錯覚し、手に掛けることを忌避して、彼女を生かしたままに己の罪からも逃れる策を練ろうとした結果――罪から逃れるどころか、今までの全ての罪を白日の下に晒され、覇道を成し遂げる前に罪を裁かれる脅威に陥った……甘い考えは、己の身を亡ぼすと、あの時確かに学んだはずです)

 彼女を生かしておいては、光魔法のペテンも、司祭の一族の秘密も、何もかもを暴かれ、クルサールが築き上げてきた”神”の教えを基に世界を『正しく』導くという目論見は無に帰す。

 それ故、皇族の血を引くヒュードやその他の有力貴族よりも高額な懸賞金をかけた手配書を用意して、早々にばら撒いたのだ。

『だからと言って、殺すのか!放っていても無害な、幼子を!』

 耳の奥で、ザナドの声が蘇り、ふるっ……と背筋が震えた。

「……ミレニア姫も、捕えれば、首を刎ねます。例外は許されない。城門に晒します」

「……そっか」

 襲い来た恐怖を誤魔化すように、低い声で早口に言い切る。ネロは、静かに同意しただけだった。

(惑うな……私が惑えば、私を信じ、ついてきてくれた民が惑う……)

 目的を成すために、どんなことでもやり遂げると誓ったはずだった。

 しかし、どこかで囁く自分がいる。

 ――ミレニアを殺すのは、無害な幼子を<贄>に送っていた祖国の大人たちと罪と同じではないのか。

 例外を許さぬと意固地になるのは――自分が何より忌避した、あの悪魔のような大人と同じ、愚かな行為ではないのか。

 彼女が真実に辿り着き、クルサールの目論見を阻止しかねなかったのは――”神”が、己の行いを償えと、強く導いているからではないのか――

(ふ……『君主たるもの、己の孤独と、心と、戦え』――貴女の教えは、本当に身に染みることばかりですよ、ミレニア姫)

 もはや、クルサールは誰にも助けを求めることは許されない。

 孤独に己の心と向き合い、己が正義と信じる道を突き進む――民の全てを背負いながら。

 かつて、のどかな庭園で茶を飲みながら語り明かした彼女との会話は、クルサールに確かに根付き、息づいていた。


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