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149.レイドの敗北

 「いい剣だな」

 転がっている剣を蹴り上げ、手中に収めたジークが満足そうにかざしている。

 「お兄ちゃん上!」


 アグルの警告の意味を理解した。剣が床で寝そべっている俺に向けられる。

 「いいから呪文を唱えてろ!」


 自らの武器で死ぬなど、恥もいいところだ。落ちてくる切っ先を、両足で挟む。ほとんど意地だ。ジークが感嘆の声をこぼす。


 「お、のってきたのか?」

 「俺の剣だ。返せ!」


 足で奪い取る格好は、奇妙且つ、戦士として羞恥心もある。が、ここまで追い込まれた以上甘いことは言っていられない。十字聖剣、カオスを悪魔に渡す程、やわではない。


 剣が神々しく、最期の光を放つ。魔法が効かないとあっても、カオスは世界で一つの意志ある剣だ。熱気が靴底を焦がす。とうとう、お別れだ。


 「砕けろ!」


 カオスは砕け散った。爆発を引き起こし、白い悪魔も道連れだ。両足が焼けつく。白煙が立ち込め、剣は光となって消え失せた。


 よろめきながら立ち上がると、そこにジークの姿は確認できない。白煙が収まるのを待つしかない。


 笑い声。どこからでも聞こえてくる。カオスをもってしても死なないのか。立ち込めた白煙を吹き飛ばし、ジークが足を踏み鳴らす。背中には羽。空中へ逃げられたのか。


 「それだけか? お前も素手で来いよ。剣がないと、何もできないのか?」


 悪魔になめられたことは数知れないが、これだけなめた口を利かれたことはない。怒りで、噛み合わせた歯が音を立てる。それだけに留まらず、拳に喝を入れながら正面から殴りかかった。


 「おっと図星か?」


 易々と掌であしらわれる。ジークがいたずらっぽく笑ったところで、愛らしさは感じられない。悪魔に憎しみを抱くことこそ、思う壺だ。


 殴ろうとして、悲鳴を上げた。腕の骨が折れる音を立てた。激痛が脳まで達する。到底考えられないような方向に向いた腕が、自らの重みで揺れる度、理性が吹き飛んで呻く。



 「悪いな。魔王になってから力があり余って、加減を間違えた」


 曲った腕を指が這ってくる。喚き声で喉が枯れる。しかし、理性をしっかり離さない。遊びと戦いは違う。もう一度、健全な方の腕で殴る。


 鼻を鳴らしたジークの拳がみぞおちを突き上げる。今度は堪えきれず、意識が飛んだ。アグルの絶叫が聞こえた。


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