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ロール18。家に帰るまでが運動会って言うけども。 3転がり目。

「流石にまだ誰もついてないか」

 中腹の巨木に戻って来て、辺りをザっと見てみてのひとことである。

「そういえば、アズラッティちゃんとカスクちゃん。大丈夫でしょうか?」

「って言うと?」

 

「はい。あの二人、こんな上の方まで来たことないんですよ。

体力続くかなーって」

「その辺は問題ないだろ。体力については、

疲れたらレイナが回復してるだろうからな」

 

「レイナさん?」

「ああ。あの、黒い人」

「黒いひ……ああ、あの一番おっきな胸の人ですね」

 

「あ……うん。そう。……それで通用したのか」

 「それで」からは小さくぼやいてしまった。あの少女が上半身に持つ、

 巨大な柔らかい二つの山が胸だって認識してたとは思わなかったもんでな。

 

 昨日、結葉ゆいはとかかわった時に知った可能性があるか。

 

 

「人の知らないところで、なんの話ですの?」

 右の方から聞こえた声に顔を向けると、そこには

 横に並んだレイナとエルがいた。

 

「ん、ああ。来たのか。レイナが誰かってことを

ゆるさんに教えてたんだよ」

「で、胸でハンダンした。ってわけね」

 木で隠れて見えないけど、レイナたちの右の辺りにベルクがいるらしい。

 

「そういうこと。ほぼ同時到着か」

 レイナとエルがこっちに近づいたおかげか、ベルクたちも全員

 俺の視界に入った。

 

「探索場所、近かったんだな」

 

「うん。アズラッティちゃんとカスクちゃんが、

あんまり歩きたくないって言って、近くで探すことになったんだ」

 レイナの左横に立ってるエルが、そう理由を話した。

 

「なるほどな。けど、疲れてるんなら、

レイナが回復してやればよかったんじゃないか?」

「精神的な問題だったみたいなんだ」

 今度はベルクの右前にいるリビックが言う。

 

「そっか、それじゃあ体力が回復してもいやなもんはいやだよな」

「ってことで。こっから先は、あたしとレイナでだっこしてくことになったのよ」

 よく見れば、たしかにレイナがカスクを ベルクがアズラッティを、

 顔をこっちに向ける形で抱きかかえている。

 

 まるでぬいぐるみを抱いてるみたいで、なんとも微笑ましい。

 

「大変そうだな、それ。けどさ、山降りるのになにかを抱えて歩くって、

重たい以上に危険じゃないか?」

 

 心配して言ったら、

「重 た く な い か ら 大 丈 夫」

 とアズラッティが、やけに一文字一文字強調しながら言って来た。

 

「人のファーストキス奪っておいてきょとんとしてたくせに、

体重に関して乙女ってどういうことよ」

 エルが誰よりも早く反応した、睨んですらいる。

 

「だってぼく、ファーストキスって言うのがなんなのか知らないし。

でも、なんだかわかんないけど重たいって言われるの、なんかやだ」

「ひどい、むちゃくちゃだー!」

「しかしエルの嘆きは、空しく空に響くだけだった」

 

 

「ナレーションするなー!」

 俺の冗談ナレーションに反応したエル、じだんだ踏み始めちまった。

 

 って言うかナレーションって言葉、あるのか こっちの世界に。

 

 で、じだんだ踏んでるエルに、二人の人女子から穏やかな笑いが生まれて、

 「わーらーうーなー!」っとじだんだをなおも踏みながら、

 半泣きな声で叫ぶエルであった。

 

 ーー無限ループにならないか、それ?

 

 

「あの。アズラッティちゃんとカスクちゃん、抱えて行くのがあぶないってことでしたら」

 ちょっと遠慮がちに切り出したゆるさんは、

「わたしが乗せていきましょうか?」

 そう続けた。

 

「おお、それいいな。そうすりゃ二人はあぶなくない。

けど、二匹乗せて大丈夫なのか?」

「問題ないですよ」

「自信あり、か。アズラッティとカスクはそれでかまわないか?」

 

「うん」

「いいよ」

「よし。って、俺が仕切ってていいんだろうか? 今更ではあるけど」

 

「そんなの気にしないでいいわよ、勢い勢い」

「か……軽いな」

 ベルクに言われて思わず苦笑い。

 

「それではカスクさん、下ろしますわね」

「うん」

「アズラッティも、下ろすわよ」

「うん」

 

「よっっと」「よ い しょっ っと」

 そう言いながらゆっくりしゃがんだ二人は、そっと水竜姉妹を地面に下ろした。

 よいしょっとがレイナなちなみに。

 

 水竜姉妹は着地を確認するように何度か地面を手で叩いてから、

 アズラッティから先にゆるさんのそばまでトコトコ歩いて行く。

 

 そのままの勢いで、やっぱりアズラッティから先に、

 ゆるさんの背中に飛び乗った。

 

 カスクはジャンプに慣れてないようで、背中には乗れたものの

 着地に失敗し一度ずり落ちてしまった。しかし二度目の挑戦で、

 うまいこと飛び乗ることができた。

 

 更にカスク、ゆるさんに乗ってるアズラッティの背中に向けてジャンプ。

 親亀の上に子亀が、のドラゴンバージョンとでも言うべき状態になった。

 

 そんな白青い竜とドラゴン三段重ねの様子に、俺達は一同和んだ。

 そのおかげで、エルの雰囲気から怒りが消えた。

 

 ーーうむ。あかちゃんかそれに近いちっちゃい生き物の癒し能力の高さ、流石だぜ。

 

「んで、みんなは護札まもりふだ何個確保して来たんだ?

俺は自分の分を覗くと二つなんだけど」

「あたしは三つ」

「同じく三つですわね」

 

「ぼくふったつー」

「楽しそうに言うなよ小学生か」

 百鬼姫なきりめの言い方に突っ込んだ。

 

 そしたら、

「小?」

 ベルクと、

「学?」

 エルと、

「生、ですの?」

 レイナから疑問声が……。

 

「あ……」

 やっちまったぜ。なるほど、学校はあっても、

 小とか中とかって言うカテゴライズはされてないのか。

 

 

「え、えーっと。ぼくは、ベルクローザと同じで、三つだよ」

 リビックが遠慮しながら言ってくれた。むしろナイスだよくやった!

 

「で、その中の一個をわたしがもらった」

 

「えーっと、ってことは?

二ーのー二ーのー三のー三のーで十で、んで二つ、か。

あちゃ、二つ余計になっちまったな」

 

 十を必要数にしたのは、自分の分をそれぞれ確保してるから、

 依頼分の数までを数えればいいって考えたからだ。

 

 

「ううん、どうすっか。売って資金にするのが得さくかなぁ?」

「売る、って。なんですか?」

 ゆるさんが聞いて来た。お金を必要としないから、

 売買って概念がわからないんだろうな。

 

「ん? ああ、なんて言えばいいか……うん。今回ならもらいすぎた護札まもりふだ

必要な人に渡して、お金に交換する。わかるかなぁ、これで?」

「なんとなく、ですけど。知らない誰かに使われるかもしれない状態にするかわりに、

リョウマさんはオカネを持つことになる。って ことですか?」

 

「おお」

 俺以外の人間と鬼からも、すごいの歓声が上がった。

「そうそう、そういうこと。すげーな、きっちりわかってる」

 

「そうなんですね」

 自分が理解できてたことが不思議な様子。

 

 

「オカネは、たしか人間さんたちにはなくちゃいけない、んですよね?」

 なぜかエルの方を見て聞いている。もしかして、

 昨日エルからお金のことを教わったのかもしれないな。

 

「そのとおり。だから依頼分プラス俺達の分、

それよりも更に取りすぎた二つは、

 

人間の使い方で有効的に使わせてもらおうと思う」

「そうですか。わかりました。今持ってるのはあなたたちですから、

それをどうするのかもあなたたちの自由ですからね」

 

「流石ゆるさん、話が分かるぜ」

「ってことで。状況の整理も終わったし、いこっか」

 いきなり鬼娘がしゃしゃり出て来た。誰が仕切るのかは勢いだってベルク言ったけど、

 食い気味に入って来るこたないだろ、いくらなんでも……。

 

「あ、ああ。そうだな」

「どうしたのさ竜馬、いきなり気が抜けたみたいになっちゃって?」

「だれのせいだよ……」

 

 

 

 そんなこんなで。俺達はフォニクディオス火山を、

 この山最強にはとても思えない、ものすごくお人よしなドラゴンに案内されて

 下山するのだった。

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関連作品。

ゆるさんの押し事 ~ 最強竜凰さんののんびり火山生活 ~
同じ世界の作品、2D6の後半にクロスオーバーする。


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