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ロール15。竜凰と繋がりし者たち。 3転がり目。

「で、さ。結葉の言ってるのって……すごいことなのか?」

 思わずベルクに小声で問いかけた。本人に聞くのは、

 どぉーにも気が咎めたのである。

 

 速攻で感動が冷めたように思うかもしれないがそんーなことはないっ。

 

「すごいなんてもんじゃないわよ、僅かな時間毎に属性を切り替えるなんて。

おまけにそれを三つも展開する? そんな防御魔法聞いたことない。

だてにレイナかそれ以上の凄まじい体付きしてないわねユイハ」

 

 なぜかベルクも小声で返して来た。どうやら、チート級の技術らしい。

 うんうん頷いてしまう俺だった。とはいえ、頷いたのは体付きの方についてだけど。

 

 ベルクの言う体付きはだてではないってのは、この世界ならではの判断基準だ。

 理解してるけど、俺が魔力をろくに探知できないから、

 体付きと魔力の大小の因果関係にいまいち実感ないんだよな。

 

 

「で? 山まで案内してくれた女の子って言ってたけどさ」

 百鬼姫なきりめが話題をガチャコンっと変更した。

「その子。もしぼくたちが頼んでも案内してくれるかな?」

 そう来たか、抜け目ないな。

 

「どうなんでしょう。もしかすると、わたしから聞いたって言えば案内してくれるかもしれないです。

彼女、エルちゃんわたしともゆるさんとも仲良くなりましたからね」

 ゆるさんと友達なことは言う必要あるのか?

 

「そっか。つまり、そのエルって子に案内してもらえれば、竜王の機嫌をそこねなくて済むかもしれないってことか」

 なるほど、そういう解釈になるのか。

 

「心配しなくても、欲を出さなければ怒りませんよ、

フォニクディオスのモンスターや竜たちは」

 言葉の後で結葉は、クロスタイドレベリオンの男連中をチラっと見た。

 

 なんだか……積もる不満がありそうだな、と思うほどに

 結葉の自パーティの男連中への風当たりがきつい。

 

「なるほど。素材にしてやるー、とかね」

 クスクス、からかい笑いを「と」からにじませて百鬼姫なきりめ


 こいつも、クロスタイドレベリオンの男連中に視線を向けているはずだ。 後姿しか見えないから予測するしかないけど。

 

「彼女の家は、ここからそう遠くないところにあるクレインブリッジって言う家です。

町の人に聞けばたぶんどこか教えてもらえるんじゃないでしょうか?」

 

「なるほど、わかった。ありがと」

 鬼娘のお礼に、どういたしましてと結葉はまた笑みを浮かべた。

 

 

「さて。状況も理解できたことだし明日山登りする予定だし。

部屋、戻ろっか」

 いつのまにやら仕切ることになっていた鬼娘に促され、俺達は一様に同意する。

 

「びっくりさせちゃってすいませんでした」

 小さく会釈した結葉に、「なにもなくてよかったですわ」と笑顔を返したレイナ。

 こっちは向いてないけど、声で笑顔とわかった。

 

「ありがとうございます。それじゃ、おやすみなさい 皆さん」

 挨拶と同時に頭を下げて来た結葉に、俺達もおやすみを返して、

 クロスタイドレベリオンの部屋を後にした。

 

 

 ーー俺、寝られっかなぁ?

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「ごちそうさま」

 食器を置いて、それと同時に言った俺。現在、翌日の朝で朝食中である。

 俺はもう食べ終えたけどな。

 

 結局部屋戻って布団に入ったら、ちょっと後にくーっと寝てしまっていた。

 俺……どんだけ寝不足だったんだ?

 

 この宿屋に付くまでの道中、このボルカディアは、わりとアズマングの風習が取り入れられてるって話を聞いてたんだけど、

 まさか和食に近いメニューがあるとは思わなかったぜ。

 

 って言っても、白米に焼き魚と吸い物って言うシンプルな物で、野菜がなかったりはするんだけどな。

 

 

「んー。ぼく、焼いた魚って初めて食べたけど。

なんか、パサパサしてて美味しくないな」

 みんな同じメニューを食している。結葉たちもいっしょになってるんだけど、

 レイナたちには結葉が箸の使い方と箸での魚の食べ方をレクチャーした。

 

 木の棒二本が皿の近くに置かれてるのを見て、カタカナネームたちが困惑してたのは、すごく印象的だった。

 アズマングにいたレイナたちだけど、洋食的な店で食事してたんだろうか?

 

 俺はすぐアズマングを出ることになったから、アズマングの食事処が食器について、どういう配慮をしてるのかわかんなかったんだよな。

 

 で、結葉がいるのを幸いに、俺達は食事しながら昨晩のエルって女の子に関して、

 どう立ち回ったらいいかを相談した。

 

 そしたら結葉が、件の少女を見つけて昨日の今日で案内してもらえるのかを確認するまで同行してくれることになった。

 たしかに誰だかわからん奴から、山本結葉に勧められましたって言われるより、

 結葉本人が直接顔を見せた方が案内の可否に関係なく、ことはスムーズだろう。

 

 ナイスフォローなアイデアに、俺は密かに感心。

 で結葉がってわざわざ言ってるからには、男連中には別行動を指示した結葉。

 

 昨日、ゆるさんこと竜王ブルカーニュがぶち切れた理由に、

 エルを男連中が怖がらせたから、と言うのがあった。

 そのことを考慮しての判断とのことである。


 

 で、なにを頼んだのかと言うと。戦利品の必要分量以上の、

 ようは余った分の値段の査定とオーダー成功可否のチェック。

 

 そのため、最寄りの冒険者ギルドまで先に行ってもらうとのこと。

 俺が寝てた間に、既にそのギルドの位置は把握してたようで、

 

 その最寄りギルド支部の場所についてはレイナたちも同じく把握してあるそうだ。

 

 山本結葉、見事な采配。特に自パーティの男連中に関して。

 扱いの慣れっぷりに舌を巻く俺達であった。

 

 

「そう言うなって。なら、そっちの吸い物で流し込んじまったらどうだ?

少なくともパサパサはしなくなるだろ?」

 

「んー。そうするか」

 言って百鬼姫なきりめは残った四分の一ほどある魚を口に放り込むと、

 スーっと吸い物を続けて口に流し込んだ。

 

「ほんと、よくそのまんま食えるよな。骨とか刺さるぞ?」

 こいつは、焼き魚を箸は使ったもののただ口元に運んだだけで、

 切らずにそのまま神千切っていたのだ。

 

「ちょっとチクチクしたけど、邪魔に思うほどじゃなかったなぁ」

「そうか?」

「うん。でも、やっぱ山で魚食べる方が好きだなぼく」

 

「だからな。食堂でそういうことを堂々と言うな」

 たしなめるように言うが、不思議そうな顔をされただけだった。

 

「で? 山ではどうやって魚食べてたんだ?」

 しょうがないので話を進めた。

 

 

「ん? 爪でスパーっと切ってから軽く骨抜いて、それを近くの草取っていっしょにガブーって」

 カタカナネーム六人が、全員驚いたリアクションをしている。

 いや、そんな食い方カタカナネームじゃなくても驚くぞ。

 

 証拠に結葉が「え?」ってちっちゃく言ってるしな。

 

「……豪快すぎだろ」

 俺だってこう言うのがやっとだからな。

 って言うか、生魚を捌ける爪とは凄まじい切れ味と強度だ。

 

 自分でいろいろと人より強いって言う鬼だけはある。

 

 

「もしかして、捕まえてその場でおさしみにしてたんでしょうか?」

 結葉の推測に、「……そういうことなのか?」と

 信じがたいって色の疑問声を返した俺。

 

「たぶん、ですけど」

「ああ言う食べ方、おさしみって言うんだ? たしかに、絵が書いてあるお話で、

相手をズバって斬る場面で、『さしみにしてやるぜ!』って台詞があったような」

 

 思い出しながらって調子で呟くように言った鬼娘に、

「どんな漫画読んでんだお前は……」

 と思わずぼやき突っ込みしていた。

 

 もしかして、エロ捨て山でありグロ捨て山でもあったのか? 富士山とみさむやまってところは? 恐ろしいな、ある意味で。

 

 

「漫画? ああいう、絵が書いてあって、四角とか変な形の白いのの中に台詞が書いてあって、

その絵と台詞を四角く区切ったところに、たまに音が太字で入ってるようなの漫画って言うんだ」

 

「うん。それはもう、間違いなく漫画だ」

 それも雰囲気的にコミックじゃなくてMangaの方だと思う。なんとなくだけど。

 

「そうなんだ。よくわかるね、実際にそれを見てないのに」

 驚きに軽く目を見開いて、百鬼姫なきりめは俺に言った。

 

「好きだからな、漫画。特に日p……アズマングの奴は」

 そっか、と納得に頷いた百鬼姫なきりめの瞳は不自然に窓の外、

 青く澄んだ空の更に彼方かなたを向いているように思える。

 

 その不自然な瞳の角度。おそらく、俺がニッポンと言いかけたことで、

 漫画がこの世界の物を刺してないことを察したんだろう。

 

 とたん遠くを見たのは、距離の遠さを表現したんだろうと読む。

 ひやひやさせられるものの、本質的には空気読む力の高いこいつだからな。

 

 ……とはいえ、その空気読みムーブとその意味を察せる俺は我ながらどうかしてると思う。

 我が事ながら言いたい。つーかーになるにはちょいと早すぎやしないか? と。

 

 そんなこんな。箸に四苦八苦するクロス・アエジスの、

 カタカナネーム三人の食事終了を待って行動を開始。

 

 クロス・アエジスとクロスタイドレベリオン、合わせて九人の冒険者は

 一路この宿屋を出発することにした。

 

 ……あ、百鬼姫なきりめは公式には冒険者カウントされてないから、冒険者は8人か。

 

 そうなんだよ。そうなんだよな。

 

 鬼娘がクロス・アエジス預かりになったことと、俺がこれから冒険者を始めるのの抱き合わせで、

 これから増えて行く俺個人の軍資金が、鬼娘と共有ってことにされてるんだよな。

 

 例の契約書的な紙書類に記載されてたらしい。

 

 個人的な軍資金とは別に、パーティ共有財産があるから、たぶんみんなは気にしなかったんだろう。

 が、その話を軽い感じでベルクから告げられた俺が、

 

 大事なことだろうが当人無視して決めんなクラスのかかり決めか、

 

 と憤慨したのは言うまでもない。

 

 

 

 この切れ方、まったくこの世界の住民には理解してもらえなかったけどな……。

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関連作品。

ゆるさんの押し事 ~ 最強竜凰さんののんびり火山生活 ~
同じ世界の作品、2D6の後半にクロスオーバーする。


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