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ロール15。竜凰と繋がりし者たち。 2転がり目。

「大丈夫かっ!」「「大丈夫ですかっ!?」」「「大丈夫っ!?」」

 ドタドタ踏み込んだ俺達を、ゆっくりと振り返った結葉ゆいは

 どうやら窓辺にいるらしい。見えた結葉の表情は、なんとも寂しげだ。

 

 一方男連中は目だけを向けて来た。……ちょっと怖い。

 

 大分俺もこの世界の夜、星明かり月明かりだけの夜にも慣れて来たようで、

 はっきりと結葉の表情が見えている。

 

 考えて見ると、この世界の夜は俺の元生きてた世界に比べて、天体の明かりが強い感じがする。

 街灯ほどとまでは行かないけど、それでもかなり星 月の光が強いんだ。

 街灯がないせいなんだろうか? 街灯があると星、見えないからな殆ど。

 

 この強さなら、一週間弱もいれば人の表情くらいは見えるか。

 

 

「なんだ今の光っ」

 入って早々、俺が発した声だ。俺、一人だけ興味優先みたいになっちまった……。

 

「今の光ですか?」

 そう言ってゆっくりと口角を上げた結葉、

 俺達の方 部屋の中央辺りまで歩いて来ると、答えの続きを口にした。

 

「これですよ」

 胸元にぶら下がってたらしい物を少し持ち上げた。

「それは……護札まもりふだですわね。けれど……中央の宝玉、

かわった輝きをしていますわ。これは、いったい?」

 

 どうやらレイナ、護札まもりふだの実物を見たことがあるらしいな。

 

「この光。虹色の輝きが、今の光の正体ですよ。

ゆるさんがわたしの家の話を聞いてわけてくれた魔力です」

 今しがた遠ざかった部屋の窓に顔を向けて嬉しそうに言った。

 

「「「「「ゆるさん?」」」」」

 五人同時に間抜けな疑問声。

 

「はい。フォニクディオス最強の存在。竜凰ブルカーニュ。その愛称です」

 なんだかフランス風味な名前の竜王だ。

 

「ずいぶん……力の抜ける愛称だな」

「って、ちょっとまって?」

「なんですか?」

 

「ってことは、よ。つい今の今まで、その竜王がここにいたのよね?」

 驚き声で、床を指差すベルク。そうですよ、とこともなげに頷いて見せる結葉に、

 俺達五人は全員「えええ?!」っとこれまた間抜けな驚き方をしてしまった。

 

 だってそうだろう? 竜王だぞ竜王。

 そんな奴が、こんなただの宿屋に人間一人の頼みごときで

 ほいほい山を下りて来るのか?

 

 竜王といえば、ドッシリ構えててともすれば、世界の半分をくれてやる、とか言うとんでもない取引を持ち掛けたりするような奴だろ?

 なにそのフットワークの軽さ?

 

 

「彼女、竜凰って呼ばれるの好きじゃないみたいで。

彼女自身がゆるさんって呼んでくれって言ってたんです。

もしくはブルカーニュって呼んでほしいって」

 

「どんな性格の龍王だ、そりゃ?」

 思わず目を見開いて呟いた俺に、結葉はニコリと微小。

「会えばわかりますよ。ゆるさんがどんな性格の竜なのか」

 

「あの書物に書かれていたように、

竜王と言う言葉の印象を大きく裏切られる。と言うことでしょうか?」

 思考しながらと言う調子のレイナに、

 はいとまた笑みを浮かべて結葉は頷いた。

 

 

「ところでユイハさん。どうしてその宝玉は、虹色なんですの?」

 右腕が動いたレイナ。おそらく護札まもりふだを指差したんだろう。

 

「これは、ゆるさんの心遣いです。

わたしの山本家をほら吹きで終わらせないように、って。

全属性を込めてくれたんです」

 

 わたしの、ってことわってるのは、俺も山本家だからだ。

 なんも構えずそう言えるのは、結葉の性格だろうな。

 

「全……属性。あの感覚、ナキリメの言ってた通りってことか」

 驚き、そして納得してるのはベルクだ。レイナの方が驚きそうなもんだけど、

 レイナの方は「なるほど、全属性を同時に放つと虹色になるんですのね」と冷静に感心している。

 

 

「彼女は火竜でありながら、全ての属性を扱える特異な竜で。

複数属性を同時に扱うことで、口を開けたまま喋ったりできるんですよ」

「口を開けたまま……喋る?」

 

「風属性で声を乗せて魔力を飛ばす、ってこと?」

 

 俺の呟きに続いた百鬼姫なきりめの言葉に頷くと、

「そうです、驚きました。口を開いたブレスを準備した状態のままで、

火属性を高めるのと同時に言葉を話した時には」

 と結葉はその時の様子を思い出しながらっぽく返した。

 

 

 ーーそのとたん。

 

 

「や、やめろ。やめてくれその時の話はっ」

「魔竜王怖ええ……」

「だが、あの虹色の光に包まれるのなら悪くない」

 突然男連中がうめき始めたのだ。

 俺達クロス・アエジス全員でビクっとなったのは、しかたない話。

 

 たしかソロードって言うぼっちマン臭のする名前の中ぐらいのと、マイトって言う三人の中で一番ちっこいのはガタガタ震えながら、

 一番背が高いマシアットって奴は恍惚とした表情でうめいた。

 

「こいつら……なにやらかしたんだよ」

 呆れ声で呟いた俺。三人の台詞とこの様子を見ればこんな気分にもなる。

 

「わたしたちがなにもしなければ、彼等もなにもしなかったと思うんですよね。

でも、この三人 彼等をウエポナイトのついでに素材にしてやる、なんて言って攻撃したんです。

 

その上で、わたしたちをフォニクディオスに案内してくれた女の子に怖い思いをさせてしまって。

その結果、ゆるさんの逆鱗に触れたんです」

 

「竜王の逆鱗に触れた……」

 呟いた俺、背中がゾクっとした。竜王の逆鱗に触れた、その響きだけで恐ろしい。

 

「よく生きてたわね、こいつら」

「ゆるさん、殺すつもりはありませんでしたから。それに、わたしの全属性防御魔法もありましたし、

それほど怪我なく済みました」

 

「全属性防御魔法っ!?」

 またベルクが驚きの声。おそらくこのリアクションのでかさからして、

 目をおもっきし見開いて言ったな。

 

「では、あなたも虹色を発生させられるんですの?」

 やっぱりレイナは冷静だ。ドラゴンの発した全属性の気配を察知した今さっきの流れがあるから、

 冷静なのはまあわかる。

 

 けど、似たような現象を人間の側でやらかしたのに冷静なままなのは……もしかして、知識欲か?

 興味が驚きを凌駕したのか??

 

「いえ。わたしはゆるさんと違って、同時に全属性を展開してるわけじゃないんです」

「と言うと?」

 まるで取材でもするように、興味津々と言った様子で続きを促すレイナ。

 やっぱり知識欲だったのかこの冷静さ……おそるべし知識欲。

 

 レイナの促しに一つ頷くと、結葉は言葉を続けた。

 

「わたしの使える最大防御魔法護星纏命陣ごせいてんめいじんは、

五芒星を描きながらその線一本毎に属性を切り替え、それを三枚展開。

 

全属性がさまざまに入り混じり、それによって結果的に、

全属性のダメージを最大限軽減すると言う防御壁なんです」

 なんつう説明台詞だ……。

 

「「なるほど」」

 リビックまで頷いてるぞ?

 

「とはいえ生半可な威力では破られない自信はありましたけどね」

 軽い苦笑でそう言葉をしめた。この言葉から、彼女のゴセイなんとかに対する自信のほどがうかがえる。

 それと同時に、それをぶち抜いたゆるさん、竜王ブルカーニュの凄まじさもわかった。

 

 

 で、な。スラスラと自分の魔法の解説をした結葉。

 その結果、俺に生まれた感情があってだな。

 

「か……」

「か?」

「かっけー……!」

 それは感動だ。感動だったんだっ。

 

 レイナと結葉が、ウフフとおしとやかに笑っている。たぶん「か?」と聞き返したのは結葉だろうな。

 おそらくウフフ笑いは俺のリアクションで、だろう。

 

 そんな年齢一桁台ぐらいの子供をめでるように柔らかに笑われても、この感動はどうしようもないのだよ……っ!

 

 

 まずその魔法名と思しき中二心をくすぐる通り越してわしづかみするワード。

 漢字五文字っぽいところもまたかっこいいじゃねえかっ。

 

 更に、わけはわからんけど、なんだかものすごそうな発動原理。この二つが合わさりゃ、

 俺の鱗怪変化りんかいへんげも泣いて謝る中二魔法の解説のできあがりだっ!

 

 

 

 ……いやまあ。こいつの場合、中二とかじゃなくてほんとに使えるんだろうけどさ。

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関連作品。

ゆるさんの押し事 ~ 最強竜凰さんののんびり火山生活 ~
同じ世界の作品、2D6の後半にクロスオーバーする。


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