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ロール13。冒険者になりました。 3転がり目。

「どうやら、滞りなく終わったようですわね」

 レイナたちの側に三人で移動して、一番に声をかけて来たのが、このとおりレイナだ。

 

「ココさんのおかげで、緊張は思ったほどしなくて済んだからな」

「だからこそ、登録の時はギルドマスターではなく、受付嬢が担当して、ギルドマスターはいるだけなんですよ」

 

 ココさんの補足に、ギルドマスターはめげることなく

 「女性ギルドマスターの場合は、本人だけのこともあるがな」と更に補足した。

 

「そうなのか」

「こっちの確認も住んでるわよ」

 俺の感心相槌に答えるように、ベルクがさっきの紙と思われる物を持ち上げてみせた。

 なるほど、平仮名とカタカナだけだな。おそらくアズマングの人間なら漢字も使ってるんだろうな。

 

「よし、記載を確認した。鬼の少女を、今これから君たち預かりとする」

 喜びの穏やかな笑い声が、ギルドマスターの部屋に広がった。

 

「……ん? なあ。なんか名前の部分が濃いって言うか厚いって言うか。

他の部分と筆圧が違うんだけど、これ なんだ?」

 厚い薄いって言うより、名前の部分がドロっとしてる感じで、気味の悪い筆跡になってるんだよな。

 

「ん? ああ、それ? このペン、魔筆まひつって言って魔力を注ぐことで、色とか筆圧の濃淡がかわるの。

みんな文字書く時、無意識に意識集中するから、ちょっとは魔力が出て、濃くない部分ぐらいの厚みになるのよ。

 

けど今回は重要な書き物だから、名前の部分はみんな意識して魔力を出したんだ。

だからこんな、ちょっとドロっとしたような感じになってるのよね」

 

 ベルクの説明に、そうなんだな、とまたも感心頷き。判子代わりのドロっと名前ってことか。

 

 

「魔力、出しすぎてしまいましたの。なんだか……血で書いたように見えて、自分でゾっとします」

 レイナが肩をすくめて言った。ほんとに気味悪がってる感じである。

 

「たしかに、血文字みたいに見えるよな、この文字」

 まさにそれだ。言いたいことを、見事に表現してくれて、思わず何度も頷いてしまった。

 

「魔筆はこういう、特別な場合に使う筆記道具でね。本人であることを、魔力で証明するんだ。

ギルドカードと似たようなものだよね、この辺は」

 

 百鬼姫なきりめが教えてくれたので、なるほどなの後に会釈して礼を示した。

 鬼娘、偉そうに一つ頷きで返したってことは、会釈に感謝の意味が、

 どうやらこの世界でも含まってるようだ。

 

 

「あの、皆さん。リョウマさんはあなた方と同行したいようですけど、かまわないんですか?」

 ココさんの問いかけに、百鬼姫なきりめを含めた四人が、了承の言葉を返してくれた。

 

 あの流れなら、いいえは無いだろうとは思ってたものの、密かにほっとしてたりする。

 

「でも、そういう言葉は本人から聞きたかったわね」

 笑みを含んでベルクが言うと、それに「そうですわね」とレイナが続き、

 「だよねぇ」と鬼娘が楽しげに同意した。

 

「すみません、つい 勢いで」

 楽しげな苦笑で言うココさん、それに冒険者側五人から柔らかな笑いが起きた。

 ギルドマスターは僅かに口角を緩めてはいるから、俺達と同じような心境なんだろうとは思う。

 

「じゃ。早速だけど依頼探しましょっか。リョウマが受けられる奴」

 言い終えると、ベルクは座ってた椅子から立ち上がった。

 レイナ リビック 百鬼姫なきりめの順で、次々に同意しながら立ち上がる。

 

 どうやら、依頼と呼んだりオーダーと呼んだりはわりとてきとうらしい。正式にはオーダーなのかもしれないな。

 

 

「俺が、ってことは。ランクで受けられる依頼に制限あるのか?」

 やっぱり、ってつけそうになったけどなんとかその四文字は省いた。

 

「あ、そうですよね。説明してませんでした」

 柔らかに苦笑して、ベルクたちにお先にどうぞと退室を促してから、ココさんは説明してくれた。

 

「おっしゃる通りです。冒険者ランクは、ただ実力を示すためだけに用意してある物ではありません。

冒険者ランクは、その冒険者がどの程度まで危険なオーダーを受けられるかを表しています。

 

ランクが上位であるほど、そのオーダーの危険度も高くなります。

本人の能力の高い低いに関係なく、ギルドが示した条件を満たすことでしか

ランクを上げることはできません」

 

「本人の資質でランクを左右しちゃ不公平だし、無制限に上位ランクになっちゃ、

ギルドとしては制限として機能しなくなるからルールを設けてるわけか」

 

「はい。ランク毎、受けられる危険度に制限をかけているのは、冒険者さんの身の安全のためですから。

危険度を無制限でオーダーを受けられるようにしてしまうと、高ランクの物でも命の危険を伴うような物を、

 

低ランクで受けることができてしまいますからね。

ランクが高いと言うことは場数を踏んでいることと同じですから、

 

低いランクではオーダーに対する心構えや、引き時を見極められないと言うことです」

 

「だからこその危険度制限」

 頷いての俺の返しに、「そういうことです」と少し驚いたような表情で答えたココさん。

 納得できたを込めて頷き返す俺である。

 

 狩りゲーでもランクを設定してある理由を、受付嬢が同じような説明してた。

 ゲーム知識が、これほど異世界の理解に役立つとは驚きだ。

 

 

「ポーンの依頼内容に不満を漏らす人も少なからずいるんですけどね」

 そう困ったような笑みでつけたすココさんに、そうなんだなと相槌。

 

「ええ。さて、リョウマさん。ここからは本格的に冒険者ですよ。

クロス・アエジスの皆さんと合流しましょう」

 

「クロス……なんだって?」

「クロス・アエジス。「レイナさん ベルクローザさん リビックさん、三人の冒険者パーティの名前です。

識別のため、二人以上の冒険者のグループには、名前をつけてもらっているんですよ」

 

「そうなのか。で、今日から俺もその一員ってわけだな」

 そういや、TRPGのリプレイ動画見たことあるけど、

 たしかにだいたいプレイヤーたちは、自分たちのグループに名前をつけるくだりがあるな。

 

「そういうことですね」

 ココさん、一つ頷く。言われて、急に体ん中がこうくすぐったいような感じがして来た。

 

 ーーおら、わくわくしてきたぞ!

 

 部屋を出る足取りが、昨晩の百鬼姫なきりめみたく軽い。勝手にスキップになってるんじゃないかってほどだ。

 

 出入り口ドアに差し掛かったところでギルドマスターに、「がんばってくれ。死なない程度にな」と声をかけられた。

 顔だけを向け頷いて俺は、ココさんといっしょにギルドマスターの部屋を出た。

 

 ざわざわと人の気配のする方に戻って来て、またこれ見よがしな階段を下り切る。

 そこでココさんは、受付嬢に戻りますので、とひとこと言って少し奥まった方へ行ってしまった。

 

 

「おわっ?」

 どうしたらいいんだろうと考える間もなく、誰かに腕を掴まれた。

 びっくりしてるに、ズルズル引きずられる俺。

 

「な、なんだ 放せよっ」

 言葉で抵抗するが、踏ん張るほどの余裕がない。誰だ? こいつはいったい誰なんだ?

 

「いいの? 放したら路頭に迷うよーん?」

 心底楽しそうなその声を聴いて体から力が抜けた。

 

「なんだよ百鬼姫なきりめかよ、脅かすなよな」

「やー、どんな反応するかなーと思ってね」

 

「ニヤニヤしやがって。心臓に悪いわ」

 ぶっきらぼうに投げつけるように切り返す。アハハハって楽しそうに笑う鬼娘。

 とんだいたずらっこでありやがる。

 

 

「いろんな意味でよさそうなのが見つかってさ。早く内容見せたくってね」

「いろんな意味で。って、どういうことだ?」

「見てのお楽しみ」

 俺を引きずり続けながら、相変わらず楽しそうだ。

 

 けど、今さっきのとはちょっと雰囲気の違う、いたずら含みの楽しげではなく、

 純粋にお楽しみにな楽しげで百鬼姫なきりめは言った。

 

「つうか、いい加減引きずんのやめろ」

「えー、後ろからついて来てるか耳確認しながら歩くのめんどくさいんだもん」

「もんじゃねえよ、こっちは変な体勢で引っ張られてんだぞ。

 

変なとこに力かかっておかしな痛め方したらどうすんだ」

 まくしたててやった。が、鬼娘はまったく動じていない。

 

「大丈夫大丈夫、ついたから」

 言うと、おもむろに掴んでた俺の腕から手を離しやがった。

「うわっ?」

 

 床に横向きの状態で、しかも床についてるのは左足の横っ側だけと言う状況で、俺は支えを失わされた。

 当然バランスを取り直すなんてことは、いきなりのバランス崩壊でできるわけもなく、

 ドターンと倒れることを覚悟する。

 

「いよっと」

 が、しかし。俺は倒れなかった。なぜかって言うと。

 

「抱き抱えて体勢を元に戻すな!」

 これが理由。

 

 どうやら俺の体勢を立ち状態にするため、

 一度腕から手を離し 倒れるより前に抱きかかえるって動きの予定で、

 俺を支えなし宙ぶらりんにしやがったようだ。

 

 なんつう反射神経だ。おそるべし、鬼。

 

 

「楽だからいいんだよ」

「なんて自分勝手な……こっちは一瞬ゾっとしたんだぞ」

 

 

「みんな、引っ張って来たよ」

 悪態をものともせず、鬼娘はメンバーに声を書けている。なんて奴だ。

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関連作品。

ゆるさんの押し事 ~ 最強竜凰さんののんびり火山生活 ~
同じ世界の作品、2D6の後半にクロスオーバーする。


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