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ロール10。好奇心旺盛なぼくっこ鬼少女。 1転がり目。

「日本。よくそんな昔の名前知ってるね、君」

 君、と言った鬼少女括弧推測の視線は俺に向いている。

 

 ……ちょっとまて? 昔の名前……だと?

 

「あれ? ちょっとびっくりした? それが、このアズマングの昔の呼び方って、もしかして 知らないの?」

 鬼少女括弧推測に、逆にちょっとびっくりされてしまった。

 

 

 ーーまずい。

 

 

「なぁんだ。ニホンってアズマングのことだったんだ。

なんで最初っからそう言わなかったのよリョウマ」

「え、あ、その。それは……」

 

 おいおいちょっとまて。こんなの想定外だぞ。

 俺のでっちあげスキルなんて、あってないようなもんなのに!

 

「うち、親が変わり者でさ。他がアズマングって呼ぶのに、歴史を大事にしろー とか言って、

アズマングを知っていながら、あえて日本って呼べって言ってさ。だから、今の呼び方 忘れてたんだよ……」

 苦しい。苦しすぎる。

 汗だらっだらだよ。こんなんで納得されるわけがねえっ!

 

 嘘って、一つつくと、嘘を守るための嘘をつかなきゃいけない、って言うけど……こんな立て続けに嘘をつかされるとは思わなかった……。

 

 とっさに嘘を要求されるプレッシャーも、嘘をつく罪悪感もすごい。

 

 

「そうなんだ。ほんと、かわった家ね リョウマの家」

 納得した?

 

「わたくしはその、歴史を大事にすると言う考え方、共感できますわ。

わたくしの名前もクロシーア家の歴史ですし、書物は歴史の足跡ですもの」

 

 レイナが言うと、重みが違うな。

 

「でも、それが全員共通の認識じゃないから、今に合わせるのが多くの人の考え方なんだけどね。

ぼくたち冒険者が落伍者の烙印を押されてるのもその一つだし」

 

 グ、っとリビックは拳を握り込んだ。らくごしゃ、って どんな意味だっけ? 落語家じゃないのはわかるんだけど。

 

 そして、リビックがこんなリアクションするってことは、いい意味じゃないこともわかる。

 それとリビックも、冒険者の扱いにはくすぶるもんがあるってこともわかった。

 

 

 ーー自由を求めたこの世界、ファンタジー世界への転生だけど、自由じゃないことはあるんだな、どこの世界にも。

 自分の転生先選択理由をまっとうする意味でも、俺はこいつらと冒険者をやろう。

 

 それしか、生きていける気もしないしな。社会基盤を聞くだけでも、俺に冒険者以外の道はなさそうだし。

 

 って言うか、全員納得したのか? あのガバガバな言い訳を?

 

 

「大変なんだなー人間社会」

 ふむふむと、俺達の会話をこくこくと頷きながら聞いていた鬼少女は、そう感想を発した。

 

「それにしても、『竜のリョウマ』、か。不思議な縁だなー」

「どういうことだ?」

 俺の問いに「うん」と一つ相槌に頷いた鬼少女、話し始めた。

 

「ぼくのじじうえが聞かせてくれた話があって。昔、虹色の竜がここに降り立った時、それを呆けて見つめてた人間がいたんだって。

その人の名前が山本竜馬って言うんだってさ」

「お、おいおい。俺とまったく同姓同名かよ」

 

 凄まじい偶然だな。同姓同名がいることは、元いた世界でもありえたことだけど、

 まさかファンタジーな異世界でまったくの同姓同名がいるなんて思わないだろ、普通。

 

 しかもこの世界の名前の付け方、俺からすればものすごい特殊だ。

 こんな、名前が長ければ長いほど優れてるって一般的に言われてる世界で、

 名字と名前しかない上での同姓同名。

 

 もうハイパーミラクルってレベルの奇跡だろ、これ。

 

 

「でも、その人。他の人達にもその竜を見せたくて、この富士山とみさむやまに登ったけど虹色の竜は見つからなかった。

それでほら吹き扱いされちゃったんだって」

「で、その人どうなったんだ?」

 

「さあ。それから後、じじうえはその人を見なかったって言ってた。どうしたのかはわかんない」

「そうか。あんま、いい結果にはなってなさそうだな」

 

 

「それで、鬼さん」

「ナキリメだよ、ナキリメ。百の鬼の姫って書いてナキリメ」

 漢字が、あるのか? 俺が言ったでっちあげが悉く事実とは。

 しかも今、俺は日本ライクな場所にいるらしい。

 

 ……転移魔法の件について、怪しまれてなきゃいいが。

 

「ではナキリメさん。雑談するために、ここまで来たのですか?」

「ん? ほんとは様子見るだけにしようと思ったんだけど、つい話しちゃった感じだね。

なんか手伝おっか? あの蛇やっつけてくれたお礼の意味もこめて」

 

 なんとも、人のいい鬼だ。変な言い回しだけど

 

「そうだなぁ。俺、元に戻る手段、知らないか?」

「んー。どうやって竜になったかによるなー。状況によっちゃわかるかもしれない、だから期待しないで」

 

「そっか。そうだな。わかった。聞かせてくれるか?」

「うん、知ってれば万々歳ってことで」

 

 鬼少女改め百鬼姫なきりめの言葉によしと頷き、

 俺はあの返信呪文詠唱を思い出し出し聞かせて、それによって変身したことを伝えた。

 

「んーっと、それはたしか……鱗怪変化りんかいへんげの術だね」

 あった。女神謹製火竜変身とかじゃなかったんだな。

 

「その解除は簡単。鱗解りんかいって唱えるだけで人に戻れるよ」

「呪文短っ、変身する時あんなに長え呪文なのに!」

 

「ただ、あぶないから 周りに人がいない場合か、周りの人を伏せさせてからじゃないと駄目だけどね」

「あぶない? なんでだ?」

 

「その鱗が、バラバラーって飛び散るから」

 俺を指差して説明した百鬼姫なきりめに、そうなのかと相槌。

 

 どこぞの超高速仮面ヒーローの身軽化かよ。

 

 

「どうする? 今試してみる?」

 百鬼姫なきりめに問われて、「ああ、やってみる」と頷く。

「よしよし」

 なぜか楽しそうにこくこくと頷く百鬼姫なきりめ

 

「じゃあ、人間さんたちは伏せて。

って言ってもぼくだって、呪文だけなら記憶にあるけど、

実際見るのは初めてだからうまく行く保証はないんだけどね」

 

 えへへ、っと恥ずかしそうに苦笑している。

 ーーこれ、ほんとに強く恐ろしいオーガなのか? 幽霊見たりなんとやら、ってことかね?

 

 

「とにかく物は試しだ。今はこれしか手掛かりもないことだしな。

ってことで三人とも、伏せといてくれ」

 

 全員からわかったと言う内容の返事がして、ガサっと言う音。伏せたってことだろう。

 

 ……百鬼姫なきりめが目をキラキラさせて俺を見ている。よっぽど楽しみなんだろうな、俺の変身解除が。

 

「いくぞ」

 静かに呟く。自分に言い聞かせる意味もこめて。

 

 

「鱗! 解!」

 

 

 思わず魂を斬る刀の力を開放しそうな言い方になっちまった。

 

 

 パリ。パリパリ。俺から音が聞こえ始める。変身した時に比べれば幾分か軽い音だ。

 

 たとえるなら、ゆっくりめに面ファスナーをはがすような音。あれよりは鈍いが、概ね雰囲気はあの感じである。

 

 誰も支払いをかっこよく請け負ってもないし「やめて!」とも言わないけど。

 

 俺の体から鱗が微妙にはがれ、ちょっと触れば取れるんじゃないか、ってほどのゆるいくっつきっぷりになった。

 

 ーーその直後。

 

 バアン!

 

 まるで爆竹でも爆ぜたかのような音が俺の周りから鳴った。

 

 

「おおお」

 パチパチと拍手しながら、おそらく今の弾けたなにかをもろに喰らってるはずだが、平然と感激の声をゆるふわに上げている百鬼姫なきりめ

 

 なるほど。強き者、ってふれこみはだてじゃないらしい。

 

 

「って、刺さってる! なんか刺さってる!」

 指を思わず刺した。

 

「うん、刺さってるよ。でも大丈夫」

 言いながら、刺さったなにかをむしり取るように抜いている。

 

 やっぱり、強き者、だな。物理的に。

 

「それよりどうかね、自分の様子は?」

 おどけた調子で言われて、気が付く。

 

「……お?」

 すんなりと指が動いたことに。

 

「おお?」

 すんなりと腕が動いたことに。

 

「おおお??」

 それも左右に楽に広げることまでできるじゃないか!

 

 

「……なおったっ!」

 思わず目をクワッと見開いてしまうほどの間隙。

 

「ほんと?」

 その声といっしょに、ガサリと音がする。ベルクが一番最初に置きあがったらしい。

 

「ほんとだ。二人とも起きなさいよ!」

 感激声で促されて、リビックとレイナのところからガサガサと音が。

 

「え、えええっ!」

 リビックがものすごくびっくりしている。

 

「あら」

 意外そうなレイナの声。

「そんなびっくりすることか?」

 

「そりゃびっくりするわよ。だって、ねぇ?」

「そうだよ」

「リョウマさん、不思議な感じではございませんか?」

 

「なにがだ?」

 

 

「あなた。服、そのまま着ているんですあよ」

 

 

「……え? そこ?」

 言われて突っ込みついでに確かめた。

「……ほんとだ。服、まんま着てるわ俺。え? どういうことだこれ?」

 

 ゆーっくりと百鬼姫なきりめを見る。

 

「その変化へんげ術がどんなものなのか知りたい、って顔だねー」

「はい、そのとおりでございます」

 

「わかった。解説してあげよう」

 なんとも楽しそうな鬼娘だ。

 

 

 

 そんな鬼娘は、そのテンションを崩さずに解説を始めた。

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関連作品。

ゆるさんの押し事 ~ 最強竜凰さんののんびり火山生活 ~
同じ世界の作品、2D6の後半にクロスオーバーする。


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