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月光の狐  作者: 葉暮銀
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天災への奉納

家に戻ってナラクさんに事の経緯を話した。

喜色満面のナラクさん。

政治に関与しないと言っても四方(よも)(やま)(ばなし)は好きらしい。


「ナギはやるのぉ。あのサクラの申し出を断るなんてな。歯軋りしているサクラの顔を見たかったのぉ」


「別に大した事じゃないでしょ。あくまで依頼ですから。受ける受けないの選択権はこちらにありますから」


「いやいや仙狐(せんこ)相手にできることじゃないわ。それより今後の事は考えておるのか?」


「別に神格管理局の依頼をこなさなくても、こちらの世界で封印されている妖怪を倒していけば良くないですか?それでシロちゃんの神格を上げて行けば大丈夫でしょ」


「お主も甘いのぉ。サクラがそんな事を許すとは思えんがな」


「そうなんですか?まさか霊片の納品を受け付けてくれなくなるとかですか?」


「それくらいなら可愛いもんじゃな。夜道を1人で歩かんほうが良いかもな。かかかかか!」


マジか。

そこまでやるのか。

野狐の里にお世話になる事も考えたほうが良いかも。


「まぁ妾は暇だからナギ達の後ろ盾になってやらん事も無い」


「本当ですか!」


「有無。そのかわりこの【爆速!金髪野郎!】の続きを奉納せよ!」


まさか漫画の続きが読みたいだけなのか!?

それでも漫画を買うだけで天災に匹敵する空狐(くうこ)の後ろ盾ができるなら安い買い物だ。

俺は早速タブレットを操作して電子書籍で【爆速!金髪野郎!】を全巻購入した。

ナラクさんにタブレットの使い方を説明する。


「ナラクさん。これで貴女は俺たちの後ろ盾になってくれるんですよね」


「おぉ!任せておくのじゃ!ナギ達の霊片の納品に付いていってやるぞ!妾が入れば神格管理局も受け取り拒否など出来ぬわ!」


なんて単純な天災なんだろう。

ある意味怖すぎる。

タブレットで漫画を読んでいたナラクさんが顔を上げて真剣な顔になる。


「妾からの忠告じゃ。シロを早く気狐程度の神格に上げる事だ。そうじゃなければ後悔する事になると心せよ」

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