神格管理局からの依頼を拒否
神界から家に戻りナラクさんに、いろいろ聞いてみた。
ナラクさんは政治的な事には関与したく無いそうで、あまり突っ込んだ話はしてもらえなかった。
野狐の里は善狐である白狐が誘惑に負けて、悪狐である黒狐になった者が集まっているところだそうだ。
ただし善狐、悪狐の差は人間に対してのスタンスの差でしか無いとのこと。
また善狐は神力、悪狐は妖力を主に使うそうだ。
妖狐の眷属になれる血筋は六家。これは香澄からも聞いた内容だ。
家の格の順位は
①力徳家 神格管理局陣営
②高仁家 野狐の里陣営
③久礼家 神格管理局陣営
④上信家 野狐の里陣営
⑤尼義家 野狐の里陣営
⑥明智家 神格管理局陣営
となっている。
確かに力徳家の俺が野狐の里に与すれば、力のバランスが崩れそうだ。
野狐の里の長は6本の尻尾を持つ妖狐のシオリ。
シロちゃんのお母さんで金狐のサトミさんと、神格管理局局長代理で仙狐のサクラさんと幼馴染とのこと。
ナラクさんは俺が野狐の里陣営になる事は反対しないが、シロちゃんの眷属をやめる必要があるとは言われた。
シロちゃんが黒狐になっちゃうからね。
うーん。
他の狐の眷属になってシロちゃんが敵になるのは考えられないな。
交渉のためとはいえ、俺の発言はあり得ないものなのか。
煽て山で悪霊を退治した次の日、朝から神格管理局の赤狐が家を訪ねてきた。
緊急で神格管理局にシロちゃんと俺に来て欲しいとのこと。
なんだか人使いが荒いなぁと少し感じながらも身を清める。
狐神界のシロちゃんの社に移動し、神格管理局に向かう。
神格管理局では二階の局長代理室に案内される。
局長代理室には昨日あったばかりのサクラさんと秀一さんがいた。
俺とシロちゃんがソファに座るとすぐに用件を伝えるサクラさん。
「わざわざ来てくれてありがとう。早速だけど騒がせ山に行って欲しいのよ」
「騒がせ山にはゴウラさんが行ったんじゃないですか?」
シロちゃんの言葉に困ったような声を出すサクラさん。
「ゴウラのチームが壊滅して帰ってきたのよ。リーダーのゴウラは片腕を無くしているわ。眷属の明智葉月もボロボロの身体ね。一緒に行った他のメンバーも似たような状態よ」
そんなところに行ったら危なくないか?
もうこれは小競り合いじゃなく戦争じゃないのか?
俺は言葉を挟む事を止められなかった。
「すいません。もう少し情報をいただけませんか?神格管理局の精鋭がやられたんですよね。これは既に野狐の里との戦争になっていませんか?」
サクラさんが苦虫を潰したような顔でこちらを見る。
「野狐の里の連中は高仁家の眷属を出して来たのよ。それでこちらは壊滅状態ね。久礼家と明智家では高仁家の眷属に勝てないわ。力徳家の貴方に行ってもらうしか方法がないの」
「悪霊退治なら喜んで行きますけど、既に人間である眷属同士の争いに発展していますよね。煽て山の時は確かに上信家と事を構えそうになりましたが、わざわざ争い事に首を突っ込む気は俺にはありません。そんなところにノコノコ行く気は無いですよ」
鬼のような形相を見せるサクラさん。
無理に平静を保ったような声を出す。
「ナギさん、貴方は神格管理局に歯向かうと言うことかしら」
「ちょっと極端過ぎないですか?狐神界の揉め事は狐神界だけで収めてくださいって事です。野狐の里とトコトンやり合うのも良いですし、話し合いを持つのも良いと思いますよ。ただしこちらに影響が無いようにお願いしたいですね。一応シロちゃんにも確認を取りますけど」
俺は横のシロちゃんを見つめる。
「シロちゃん?シロちゃんはどうしたい?その意見を聞いて、俺はどうするか考えたい。ただし俺の希望はこの件は関知しないって事だ」
シロちゃんは俯いて考えている。
応接室に無言の時間が流れる。
数分後、シロちゃんが顔を上げてサクラさんにゆっくりと口を開く。
「サクラさん。申し訳ございませんがこの件はお断りさせていただきます。眷属同士の衝突は限り無く避けるべきだと思います」
爆発寸前のサクラさん。
手が震え、目が吊り上がっている。
サクラさんは俺たちに対して冷たい声を出す。
「わかりました。それがあなた達の答えですね。この選択が間違っていないと良いですね」
俺はその脅し文句を軽くいなす。
「どちらの選択も間違っている事なんて世の中にはたくさんあるんだよ。今回の選択はたぶんその選択だ。その場合は自分の信念に沿うだけさ。行こうか、シロちゃん」
そう言って俺たちは神格管理局を後にした。
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ランキングのためだけに小説を書いているわけではありませんが、やはりモチベーションが低下してしまいます。
現在、【月光の狐】のプロットがある程度固まりました。
このままゆっくりと物語を進めていくか、一気にラストまで進めるか考慮中です。
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優柔不断の作者ですいません。
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