ささやかな焼肉パーティー
富士の樹海から帰宅してシロちゃんと二人で家で焼肉パーティーを開いた。
俺はビールを飲んでほろ酔いだ。
「シロちゃんは魚より肉のほうが好きなの?」
「どっちも好きだけど」
「そっか、肉食べている時のほうが喜んでいるみたいに見えたから」
焼肉を食べながら激しく揺れるシロちゃんの尻尾を見ながら選んだ会話だった。
どうみても肉好きにしか見えないなぁ。
「神格管理局には明日行くとして、どうなの地狐にはなれそう?」
「どうだろう?今回の霊片はいつものより大きいし、膨大な数だから納品してみないと分からないかな。なんて言ったって、富士の樹海の洞妖窟の荒行をこなしてきたからね」
「あれって荒行なの?確かに土蜘蛛の量が異常だったけど」
「もともと封印されている妖怪のところに行く行為だからね。富士の樹海の洞妖窟は修行の中でも特A級だわ」
効率が良いと言っても特A級の荒行だったとは…。
そんなところに連れて行かれていたのか。
二泊三日で通算10時間は戦闘してたもんな。
俺は当分蜘蛛は見たくない。
「まずは霊片を納品してから次を考えようか?シロちゃんが地狐に神格が上がればできる事も増えるんでしょ?」
「そうね、物質界で人型になる時、狐耳と尻尾が隠せるようになると思う。あと神気を帯びている物なら物質界から神界に持ち込めるようになると思うわ」
それが本当なら神界に神刀【日日月】を持ち込めるじゃないか。
あんな二足三文の神刀を使う必要が無くなるな。
まてよ、それより耳と尻尾が隠せるなら物質界でシロちゃんと普通にデートできる!?
気持ちを落ち着かせながらシロちゃんに確認をする。
「シロちゃん、本当に狐耳と尻尾が隠せるようになるの?地狐になればマジで出来るの?」
「お母さんが大人になればできるって小さい時に言っていたけど、あれは地狐以上の神力を得たらって意味みたい。学校でそう習ったわ。練習は必要みたいだけどね」
やべぇ。今から楽しみでしょうがない。もしシロちゃんがまだ地狐になれないのなら、もう一度富士の樹海に行っても良いくらいだ。
シロちゃんとのデートを思い浮かべながらビールを流し込んでいく。
結局、したたかに酔ってしまった。
シロちゃんの肩を借りて自室のベッドに潜り込む。
夢うつつの中、狐姿のシロちゃんが布団に潜り込んできた。
俺はアルコールでフワフワした頭で、シロちゃんのフワフワの毛並みを感じながら爆睡した。
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