【白の羽衣】について
新進気鋭のAランクパーティー、【白の羽衣】──。
戦士の〝ライト〟。
魔術師の〝グラミィ=サスピシア〟。
武闘家の〝ヨクル〟。
盗賊の〝アジーラ〟。
商人の〝シュルード=ウェルマナー〟。
そして、神官の〝マリア=ローゼス〟。
転職士を除く6種の基本職に就いた6人組という、他の高ランクパーティーでは中々見られない珍しい構成をしていながら、この国ではNo.2として地位を確立しているらしく。
不動のNo.1として君臨しているSランクパーティーにも引けを取らない実績を上げ続けた結果、今や『アイズロンの竜狩人パーティーと言えば【白の羽衣】だ』という意見も多いようで、ユニもその例に漏れず似た認識を持っていた。
……が、しかし。
その認識を持っている者たちの大半は、『最後の希望の1人であり、最も儚く美しい神官が属しているから』という俗物的な理由か、もしくは『3度目の生を授けてくれる唯一の存在であり、最も清く崇高な神官が属しているから』という盲目的な理由からしかそういった認識を持っておらず。
他の5人も間違いなくAランクに相応しいだけの実力を有してはいるし、リーダー格の戦士に至っては『最後の希望にも届き得る逸材だ』と評価されるほどではあるのだが。
そもそも【白の羽衣】というパーティー名自体がマリアの纏う純白の修道服を表したものである為、他の誰が抜けたとしてもマリアが居る限り【白の羽衣】は消えず、マリア1人が抜けただけで【白の羽衣】ではなくなるという事になり。
人数も戦力も大きく違えど、〝【最強の最弱職】が抜けた時点で崩壊が確定していた〟虹の橋と境遇が似通っている。
そんな歪に整い切ったパーティー、それが【白の羽衣】。
「鏡試合の時にも会ったし、もちろん知ってるよ」
「そうかい、なら話は早いね」
そして、ドライアからの問いに対して数ヶ月前の鏡試合を想起しながら『YES』と返したところ、おそらくそれを知った上で問いかけたのだろう彼女が煙草を吸ってから煙とともに吐き出した言葉に、ユニは確かな興味を示す事となる。
「アンタもよく知る【白の羽衣】の6人全員が──」
「──3週間前から、〝未帰還〟になってるんだ」
「……へぇ」




