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ネクスト・オリジン  作者: orion1196
絶対強者
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4-3 反逆の騎士 2

  地面にくっきりと足型を残して澪がモードレッドに飛びかかる。一瞬反応が遅れたモードレッドは慌てて一歩飛び退いた。


「……ハァッ! 」


「チッ! この小娘…… 」


 モードレッドの首に澪の剣が触れる。間一髪で受け止めて反撃に出ようとするが、澪は体当たりを食らわせて彼の動きを止めた。


「ここッ!……ウグッ!! 」


「なめるなぁッ!! 」


 剣の柄頭で澪の背中を殴り付け、彼女を地面に這いつくばらせるモードレッド。気付けば彼の銀の鎧には所々傷が入っていた。


「……化け物め、怒りで限界を超えたというわけか」


「ゴホッ!…… ヒュー、ヒュー…… 」


 背中を殴られた衝撃で息が詰まる澪だったが、その目から闘志は失せていない。また立ち上がろうとするも、モードレッドはすかさず剣を掲げ、光の束を射出する。


「ウワアァァ!!…… 」


 爆風とともに黒煙が辺りを包む。澪はその場に膝から崩れ落ちた。


「……やっとくたばったか、世話の焼ける小娘よ」


「う……ぐ…… 」


 なんとか剣を取ろうと這いずる澪だったが、モードレッドがその右手を踏みつけ、髪の無造作に掴み上げた。


「なかなか大した力だった。得物が剣でなく槍であったなら互角にやり合えただろうに」


「ちく、しょう…… 」


 抵抗できずに力なく持ち上げられる澪を、司はただ見つめるしかなかった。


(動けッ! 頼むから…… くそッ!!)


 必死に木の下から出ようともがく司。しかし脚を挟まれているために一切身動きが取れない。


(頼む! 彼女を助けたいんだ!!…… )


 司の思いをよそに、モードレッドは既に澪へとどめを刺しに動き始めている。


「この鎧…… 神器か? 人が扱うには余りにも霊力の消費が酷かろうに」


「や……めろ…… 」


 未だうっすらと光を放つ澪の宝具(ヒストリア)に触れるモードレッド。しかしなぜか鎧に触れたとたんに指先が燃え始めた。


「加護か、なるほどこれでは殺せぬ」


「はな……せ…… 」

 

 澪はなんとか腕を持ち上げてモードレッドを振りほどこうとするが、再び赤黒いロングソード(クラレント)に光が走る。


「ぐぁッ! うぅぅ…… 」


「まだ死なんのか。しぶとい」


 細かく攻撃を当てるモードレッド。徐々に澪の反応がなくなっていき、生気が失せはじめた。


「ア……… ウ…… 」


「これで終わりだ。よく耐えた小娘よ」


 光が走る(クラレント)。司は思わず叫んだ。


「やめろぉォォォォォォ!!! 」


 モードレッドが剣を止めた。固唾を飲む司を横目で睨む。


「……先にこっちを消すか」


 切っ先が光る。もはや動くことすら叶わない司は観念したように目を閉じた。


「……二人揃って死ぬがいい」


 閃光がほとばしる。が、光の束は司の頬を触っただけで、彼を押さえつけていた木を粉砕した。


「……あんたは、あんただけは許さない」


 さっきまで死に体だった澪が立ち上がっていた。それどころか、モードレッドの左腕が地面に転がっている。


「……得物を槍に変えたのか」


「そう、力は想いが作るもの。だよね? アダム」


 澪の鎧がいっそう光りはじめる。そして、光の中から『彼』が現れた。


「はい、良くできました」

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