第五十八姉「ひぃ!嘘です終わってます!ゲームセット!」
アホ会話パートのキーボード
「カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ」
戦闘や訓練などのパートのキーボード
「カタカタ、カタカタカタ・・・カタカタカタ、カタカタ・・・ぽちっ(バックスペース押しっぱ)カタカタ・・・」
こんな感じです
学の差が如実に出たようで、すぐにわかったノエルさんと、よくわかってないウェイトレスさん。
しかし、両者ともに『こいつら、すげぇ・・・』って顔をしていた。
おいしいな。もぐもぐ。あーん。もぐもぐ。
結局、全てあーんで食べさせあった。
美味であった。
「しかし、それだけでお腹は足りるのか?」
「久しぶりの甘いデザートだから、余韻に浸りたいわね。」
「同じく。お腹すいたらまた後でなんか食べます。」
「そうか。ならいいんだが・・・会計を頼む。」
「はい、カップル限定メニューが一点にワイルドイノシシのシチューが一点の計二点で、560パルになります!」
「「ぶっ!」」
さきねぇと俺が一斉に吹き出す。
シチューが確か110パルだったから・・・あのコンビニで売ってる量のパフェで450パル!?
つまり、約4500円・・・たけぇ・・・
「え、これ詐欺じゃない?大丈夫この店?」
「いや、ああいう嗜好品はこんなもんだぞ?むしろ良心的と言える。・・・これで560パルちょうどだ。」
「そ、そうなんですか・・・そりゃそうですよね。異世界ですもんね。」
「ありがとーございましたぁー!」
カランコロン♪
三人で店を出る。
『むだがね つかうな !』のはずが、いつのまにか『がんがん つかおう !』になっていたとは・・・
誰かが俺の声真似をしたに違いない。
気をつけなければ!
「あ!なんか美味しそうな食べ物発見!突撃ー!」
「「余韻は!?」」
今さっきいったことを即翻すとは・・・さきねぇ、恐ろしい子!
「へいおばちゃ~ん!めっちゃ美味しそうなにおいがしてるわね!それなーに?」
「お、これかい?お目が高いね!珍しい海の魔物、『タッコンヌ』の足をこれにいれて焼くと~!ほい!『タッコンヌ焼き』の出来上がり!一個どうだい?」
「もらいましょうか店主!!モグモグ・・・あつっ!うまっ!あつっ!でもうまっ!きゃーなにこれ久しぶりー!やっぱたこ焼きは美味いわー!特に、このタレ!タコとタレがお互いがお互いに引き立てあって・・・味の宝箱やー!」
だいぶパクったー!しかもけっこう古い!
しかし、この世界では珍しい表現方法だったらしい。
それをさきねぇの綺麗でよく通る声で叫ぶもんだから、周りでは爆笑が起こっている。
・・・お?なんだ?人が集まってきたぞ?
『嬢ちゃんの話聞いてたらなんかお腹減ってきちゃったよ!』
『食べてみたいと思ってたけど、海の魔物って言うから怖くて・・・でも美味しいなら食べてみようかしら。』
『楽しそうだな。いい香りもするし、俺も一個もらおうかな!』
という声が聞こえ、どんどん人が集まってきた。
「はいはーい!おばちゃん特製たこ焼きよー!今食べなかったら、次はいつ食べられるかわからない!さぁさぁ食べた食べた!そんな高い食べ物でもないんだから、さっさと財布を出しなさい!こんな美味しい食べ物、いつ食べるの?今でしょ!」
また盛大にパクったー!それもけっこう古いよ!
しかし、効果は絶大だった。
笑い声とともに、大勢の客が店に並びだした。
この人、何やらせても上手くいくなー。
神様に愛されすぎだろ。
これが『愛されガール』ってやつか・・・これも古いな。
「よし、じゃあそろそろギルドに向かおうか。」
「はい!」「よっしゃー!だー!」
結局、さきねぇが売り子を始めて少ししたら仕入れ分が全部売れたらしい。
さきねぇが食べた一個はタダにしてくれた上に、次来たら好きなものを好きなだけ食べていけ!とまでいってくれた。
後悔すんなよおばちゃん・・・
おばちゃんや客のみんなに手を振って別れ、通りを歩く。
「いやー久しぶりに食べたけど、おいしかったわね。」
「ね。なんか探したら他にも知ってる料理いっぱいありそうだ。」
「・・・そうだ。ヒイロ、どうせだからギルドにいったら初級魔法使い試験も受けたらどうだ?余裕で合格できるぞ。」
「え、いきなり受けたいっていって、すぐ受けられるものなんですか?」
「魔法使いは少ないからな。色々優遇されるんだよ。内容も、初級はただ的に魔法を数回当てるだけだからな。やろうと思えば数秒で合格だ。」
まじすか。
さっきまで動く魔物相手に魔法を使ってたんだから、完全に余裕のよっちゃんじゃないですか。
「受けます!そして、堂々と魔法使いを名乗ります!」
「うん、その意気だ!」
「よくわかんないけど、わかったわ!ヒロ頑張れ!」
そんな感じでギルドへ到着。
中に入る。けっこう人いるな。
魔法を扱うようになってわかったけど、周りの人から魔力を全然感じない。
本当に魔法使いは少ないようだ。
まぁ隣にいるノエルさんが(魔力を抑えているにも関わらず)すごすぎるせいかもしれんが。
「あ、ヒイロさーん!」
お、マリーシアさんだ。
なんか久しぶりだな。一週間ぶりくらいか?
「お久しぶりです、マリーシアさん。お元気そうでよかったです。」
「はい!あ、い、いいえ!ヒイロさんと会えなくて寂し「マリすけ久しぶりね。で、私たちには挨拶もないのかしら?」
「ひぃ!お、義姉さまと義母さまもお久しぶりです!」
「義姉さま?」「義母さま?」
マリーシア、アウトー。
ノエルさんは『は?なにこいつケンカ売ってんの?』って顔してる。
さきねぇにいたっては、維新志士を発見した新選組の表情だ。見たことないけど。
この人、申し訳ないけど、バカなんじゃなかろうか。
さきねぇがノエルさんの魔法袋からミカエルくんを取りだし、ゴルフのように縦スイングをしだす。
恐ろしい音と強烈な風が室内を舞う。
「ねぇエルエル?ゴルフやんない?球はこの女で。」
「『ごるふ』が何かはわからんが、いいな。やろうか。」
「いやぁぁぁぁぁぁ!ごめんなさいごめんなさい叩かないでください叩かないでください身長が半分以下になっちゃうぅぅぅぅ!」
いつのまにかノエルさんも魔法袋からミカエルくんより一回り小さいミカエルくんJr.を取りだしていた。ノエルさんもムラサキ菌に毒されてきたな・・・
「まぁマリーシアさんの戯れ言は置いといて、冒険者登録と初級魔法使い試験を受けたいんですけど。」
「ざ、ざれご・・・(私、眼中になしですかそうですか・・・でも、まだ勝負は始まったばかり!)」
「「あぁ?」」
「ひぃ!嘘です終わってます!ゲームセット!」
ゲームセットって何がやねん。
マリーシアさんもつくづく愉快な人だな。
しかし、さんにんとも、なかがいいな~、いつのまにこんなになかよくなったんだろー(棒読み)
「おい、兄ちゃん。」
「え?」
そんなことを考えていると、冒険者風の知らないおっちゃんからいきなり声をかけられる。
お、おれなにかした?
「な、なんでしょう・・・?」
「兄ちゃん、初級魔法使い試験受けるってことは、魔法適性検査受かったのか?」
「え、ええ。一週間くらい前に。」
その瞬間、シンと静まり返ったあと、ザワザワとしだした。
な、なんなんだ・・・
「おいおっさん、私のかわいい弟になんかの用?」
「ん?嬢ちゃんの弟なのか?似てねぇな。いや、頑張れよって言いたくてな。合格しろよ!」
それから周りから『頑張れよ!』『応援してるからねー!』『試験受かったら奢ってやるぞー!』と声をかけられる。
なんぞこれ。
「みんな、約束するわ・・・試験開始して、五分!で合格して戻ってくるわ!」
さきねぇ!勝手に約束しないで!やるの、俺!
ま、周りから歓声と拍手が!?
ハ、ハイドロプレッシャーがかかる・・・
「大丈夫だよヒイロ。試験内容はさっき話したとおりだ。余裕だ余裕。リラックスだ。」
「う、うぃ。」
マリーシアさんが紙を差し出す。
「で、ではとりあえず冒険者登録から始めましょうか。こちらの用紙に記入してください・・・あ、文字の読み書きできます?」
「あ?バカにしてんの?裸にひんむいてハチミツ塗りたくって森に放置するわよ?」
「ひぃぃぃ!ごめんなさいバカにしてません余計なこといってすいません虫はいやぁぁぁぁ!」
さきねぇの当たりつぇーな。
まぁ確かにマリーシアさん、俺のこと狙ってるっぽい感じはするしな。
どんまい。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
今回びっくりしたことがありました。
『定食屋から出たらどんな流れでギルドにいこうかなー』と思いながら、適当に文を打っていると
「あ!なんか美味しそうな食べ物発見!突撃ー!」
と手が勝手に入力していました。
自分で書きながら「え!?さっき紫さん余韻とか言ってなかった!?」と自分で突っ込んじゃいました。
恐るべし、紫お姉ちゃん・・・
あと、今話のタイトルにもなっているマリーシアさんの台詞
「ひぃ!嘘です終わってます!ゲームセット!」は個人的にすごい気に入ってます。
自分で書いたんですけどね。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。




