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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第三章 冒険者ギルドにいってみよう!編
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第三十九姉 「ふ・・・今日もガイアが私に輝けと囁いているわ。」

 さきねぇにしゃべるなと脅されてから、呼吸を抑えていたらしい。

 そんなに怖かったのか。

 完全に俺のせいですほんとうにごめんなさい。




「ありがとうございます。死んだおばあちゃんが川の向こうで手を振っていました。」

「俺のせいで申し訳ありませんでした・・・ほら、さきねぇも。」

「ごめーんち☆」

「こらっ!さきねぇ!」

「え、だって私『しゃべるな』とはいったけど『呼吸するな』なんていってな「姉さん?」「ごめんなさい。」

「い、いえいえいえいえ!私が悪いんです!謝らないでください!(あとが怖いから!)」


 なんとか示談に持ち込めたぞ。

 誠意の勝利だな!


「えっと、他になんかやることありましたっけ?」

「私の異世界セカンドライブじゃない?」

「それだ!」「「違う!」」


 却下された。

 ノリが悪いな。


「えっと、次は魔法量測定ですよ。お二人のためにわざわざ貸切にして、見学者お断りにしてるんで、できれば早くしてもらえると…」

「魔法使い候補って全然いないんでしょ?あと詰まってんの?私たち、邪魔?」

「ひぃ!?そういうわけじゃありませんごめんなさい殺さないで!?」


 マリーシアさんが完全に『殺人鬼を前にした少女』みたいになっとる。

 かわいそうに・・・

 さきねぇは、昔から俺に関わる女性のフラグと心をガンガン折ってくからな・・・


「さきねぇ、ほら、普通わざわざ支部長がついて回ってくれることなんてないんだよきっと。忙しくて。次いこう?」

「仕方ないわねぇ。マリーシなんとかさん?ヒロの優しさに感謝・・・はしなくていいわ。惚れられても困るし。」


 マリーシなんとかさんって・・・そこまでいったら普通に言ったほうが早いよさきねぇ。

 マリーシアさんも、なんで魔法力Sなんて化け物に自分が絡まれてるのか全くわかっていないようだ。

 重ね重ね申し訳ない。


「は、はぁ・・・」

「は?何その返事。うちの(ヒロ)の素敵さがわからないの?それともディスってるのかしら?」

「え!?い、いえ、わかります!ヒイロさんは素敵ですよね!惚れちゃうかも!?」

「・・・私の目の前で、愛しいヒロを寝取り発言とは・・・とりあえず、屋上にいきましょうか。」

「私はどうすればいいんですかぁぁぁぁぁぁ!!!」


 ハンマーを担ぎなおし、左手の親指を出口に向けそう言い放つさきねぇと、絶叫を上げるマリーシアさん。

 マリーシアさんも変わっててちょっと面白い人だな。

 そこにノエルさんが手をパンパンと打ちながら割ってはいる。


「はいはい、遊ぶのはこれで終わりだ。さっさと次にいくぞ。」

「「はぁ~い!」」

「「・・・・・・・・・」」


 明るい顔の俺たち姉弟とは対照的に、暗い顔をして疲れきってる感じのギルド組。

 ライトにいこうぜ、ライトに!YAHーYAHー!



 またも部屋を移動する。

 つーかなんで何回も移動するんだろうか。

 別にあのくらいの規模なら、一部屋で完結すればいいんじゃないか?


「ねえ、ヒロ。適正検査と魔法力測定があんな感じだったけど、次はどうなるのかしらね?」

「そうだな・・・普通に考えれば『魔法力を吸収するなにかがあって、それに触れる』とかかな?でも、ここまできたらいっそのこと、SAS○KEがあって、魔法量次第でクリア可能とかは?」

「ちょっと苦しいわね。もしそうだったら魔法力Sの私とDのヒロでぶっ壊そうぜ。」

「ありだな。」

「なしだよ!?何いってんの!?」


 ラムサスさんがびっくりしていた。

 だったらもっとマシなもん持って来いよ。

 どうやら到着したらしい。

 部屋のドアの前に立つ。


「ここで最後だ。魔法量測定装置がここにある。覚悟は、いいか?」

「うぃ~っす。」


 ほんとはゴクリ・・・みたいな展開なんだろうが、バイトだったら『あ、もう時間なんであがっていいっすかね?おさきで~す』みたいな心境だ。

 さきねぇも枝毛を探すのに夢中だ。


「これが、魔法量測定装置だ!」


 ドアが開かれる。

 そこには・・・



 ドラムカンと、地面に引かれた白線があった。



「えっと、これは・・・」

「お?さすがのヒイロも、これは使い方がわからなかったようだな!ふっふっふ。」


 ・・・押すの?まさかそんな。

 異世界よ?人と銃と戦車と犬の世界じゃないよ?


「これは『ドゥラム・クァン』という特殊な金属で作られたものでな!これを押して、どれだけ進めるかで魔法量がわかるんだ!」

「姉上、大変です。私たちはデスクルスに来てしまったようです。」

「最上階に登って猿をぶっ殺さないといけないわね。エレベーターがないから戦車は持っていけないわ。銃は?銃はどこ?」

「何を言ってるのか、よくわからないが・・・」


 大丈夫、俺たちも何が起こったのかよくわかってないから。

 いや、わかりすぎてるからわかってないのか?


「もういいや。押せばいいんですよね?ヒイロいきまーす。」

「いってら~。」


 もう適当オブ適当な感じになった俺たちはさっさと済ますことにした。

 ドラムカンに手をつけ、押す準備をする。

 お、なんか体中に不思議な感覚が。

 中から喰われてるんじゃないだろうな。

 嫌だぞ、エイリアン編なんて。


「せ~っの!ふんんんんんん!」


 ズリズリズリズリ。ズリズリズリズリ。ズリズリ・・・

 白線の上を進んでいたが、途中から全く動かなくなってしまった。


「ふ~、こんなもんですかね?これでどんくらいです?やっぱDっすか?」

「うむ。Dだな。魔法力Dに魔法量Dか。最初にこれだけあれば十分だ。あとは鍛錬あるのみだな。」

「ういっす。了解っす。」


 まぁこんなもんだろう。覚悟さえできていればショックは受けない。

 持てるカードで最大限の努力をするだけだ。

 すると、ノエルさんが片手でドラムカンを押して元に戻した。

 軽々って感じだな。マジリスペクトだわ。


「よし、では、ムラサキ。やってみなさい。」

「ふ・・・今日もガイアが私に輝けと囁いているわ。」

「意味がわからん。」


 一応、何が起こってもいいように、白線の向こうにラムサスさんが待機している。

 うちのお姉さまの場合、押した瞬間にドラムカンが部屋の向こう側まで吹っ飛ぶ、なんて可能性すらあるからな。

 念には念をいれて悪いことはない。


「いっくわよ~!はっけよーい、のこったー!」


 ドラムカンに突撃するさきねぇ。

 すると、ドラムカンが動いた!

 ズリ・・・

 止まった。

 ん?

 さきねぇも『ん?』って顔をしてる。


「さきねぇ?どしたん?」

「ちょい待ち。ふんっ!」


 さきねぇは顔を真っ赤にしている。

 思いっきりドラムカンを押しているようだが、先ほどからピクリとも動かない。

 故障か?


「っっっっふ!はぁ、はぁ・・・ちょっとエルエル!これ不良品なんじゃないの!?動かないんだけど!」

「・・・・・・動かないということは、そういうことなんだろう。」

「・・・はい?」

「えっと、ノエルさん?すいません、どういうことですか?」


 ノエルさんが何をいっているのかがさっぱりわからない。

 その言い方だと、まるで・・・


「ムラサキ。はっきり言うぞ。・・・お前の魔法量は低すぎる。子供、いや、それ以下だ。魔法使いになるのはあきらめろ。」

「「・・・・・・・なんですとぉぉぉぉぉぉぉ!?」」


 さきねぇと俺の叫び声が響き渡った。




ここまでお読みいただきありがとうございました。


天才ムラサキさん、まさかの展開に。

あと、「ごめーんち☆」は某ゲームの某ヒロインの台詞です。

『うざい』と『かわいい』を両立した素敵な言葉です。


ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。

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