第三十五姉 「・・・やっぱり?ヒロもそう思う!?そうよね、私が信じてあげないでどうするのかしら!産みます!この子は私の子です!」
「ふー・・・竜神○、キングス○ッシャー、マグナ○エース、F○1、私に力を貸して!はぁ!」
なぜか俺たちが子供のころ大好きだったロボアニメの主人公機を名を呼び、手をつっこむさきねぇ。
意味がわからん。しかもマグナ○エースだけ畑が違うだろ。
「おー!おーおーおーおー?こーれーはー?」
「もしかして、『熱くて冷たくて硬くて柔らかい』とかいいだすんじゃないだろうな・・・」
「大陸史が始まって以来、そんな生き物は存在したことがないが・・・」
ノエルさんも困惑顔だ。
だが、さきねぇのことだから『全属性完備です!』とか普通にやりそうで怖い。
「んっと・・・なんか、熱くて柔らかい?わね。」
「!ほぅ、火と風の二重属性か!・・・珍しいな。」
「あー、やっぱ属性二つ持ちは珍しいですか。」
だが、ノエルさんもマリーシアさんもラムサスさんも微妙な顔をしている。
「ただ、片方は風か。その、なんだ。残念だったが、気を落とすな。火は強いぞ?十分だ。」
「そ、そうですよね!風でも、二重属性ってだけですごいことですし!」
「まぁ風だったのは運が悪かったと思ってあきらめるしかないね・・・」
「「???」」
よくわからない俺たち姉弟。
なんか、『風属性で残念。いなやじけんだったね』って慰められてるように聞こえるんだが・・・?
「まぁ防御と回復、専守防衛に長けた水属性のヒイロと、攻撃特化の火属性のムラサキ。ちょうどいいバラン「待った待った待った待った!おかしくない!?なんで私の風属性がシカトされてるの!?ISOに訴えるわよ!」
なぜ国際標準化機構なんだ。
しかし、俺もおかしいと思う。
だって風だぜ?あのサイバ○ターだって風だぜ?
ラムサスさんが苦い顔で答える。
「風は、使い手もあまりいないし、使い勝手も悪いし、正直微妙だから・・・」
「なんでよ!風よ!?主人公の属性といえば『炎・光・雷・風』のテンプレ四天王よ!?」
さきねぇはいまにも『お前らを蝋人形にしてやろうか!』といわんばかりの形相だ。
マリーシアさんは無言で震えている。
「あの、ノエルさん、とりあえず理由を聞いても?」
「そうだな、魔法についてもう少し説明するか。まず『火』は攻撃特化で防御に向いたものはほとんどない。『水』は逆に防御に向いているが、攻撃手段は少ない。『土』は攻防ともに充実している。『風』は攻防ともに手段が乏しい。ここまではいいか?」
「とりあえず、はい。」「風ェ・・・」
「この中で人気順に並べると土>水≧火>>>風となる。理由は『回復魔法の有無』と『魔法の習得のしやすさ』にある。四属性の中で、回復魔法があるものは『土』と『水』だけなんだ。水より火のほうが覚えやすいが、『回復の有無』と魔法使いの冒険者自体が少ないため、『火力は戦士で十分だから魔法は補助的に使えればOK』という考え方が多いんだ。そのため、水のほうが人気がある。いいか?」
ノエルさんの風魔法レイプは続く。
「そして土は『回復魔法がある』『攻防共に充実している』『習得が一番簡単』という理由で一番人気だ。大陸は土属性を得意する魔法使いが一番多いから、教わりやすいというのもあるな。土の上位魔法である闇は大陸で数人しか使用できる魔法使いがいないため、上位魔法はまず使えないというところが欠点といえば欠点か。もちろん!私は!使えるが!」
ドヤ顔で、ない胸を張るノエルさん。
まぁ世界で数人しかいない魔法の使い手なら、ドヤっても文句もいえないな。
しかし、まさか土属性が一番人気の世界があるとは。
世の中広いな。
「そして風だが・・・『回復魔法がない』『習得がかなり難しい』『仮に習得できても使いづらい』、その上『上位魔法の雷属性が存在意義を疑うほど使えない』と、まさしくふんだりけったりというやつだ。」
「か、雷属性まで、ダメな子扱いなの・・?」
さきねぇの目がグロッキーだ。
さらにラムサスさんからも追撃が!
「雷はな・・・強いし速いんだけど、命中率がアホみたいに悪かったり、速すぎたりで味方にあたるんだよ。『雷魔法が得意です!』っていうのはイコール『敵も味方も殺します!』っていってるようなもので、まずチームなんて組めない。宴会で『雷魔法が使えます!』っていったら大人気だね。ネタキャラとして。」
「よく考えると、ムラサキを体現したような魔法だな!あっはっはっは!」
ノエルさんは鬼の首を取ったかのようにご機嫌だ。普段いじられている分、仕返しのつもりなんだろう。
あのさきねぇですらorz状態だ。
「でも、ほら、実はすごい使い道があってそれをさきねぇが発見しちゃうとかさ。あるかもしれないじゃん?」
「・・・やっぱり?ヒロもそう思う!?そうよね、私が信じてあげないでどうするのかしら!産みます!この子は私の子です!」
さきねぇが、なぜかお腹を押さえて叫ぶ。
ノエル・ラムサス・マリーシアの異世界三人組が『かわいそうに・・・よっぽど怖い目にあったんだね』みたいな悲しげな目をしてる。
しかも俺にまでその視線を向けている!
やめて、私は無実よ!冤罪だわ!弁護士を呼んで!?
それから10分後、なんとか正気に戻った俺たちは違う部屋へと向かっていた。
なんでも、次は魔法力と魔法量の測定があるみたいだ。
それが全部終わってから魔法を使うための訓練に入るらしい。
「魔法力の測定ねぇ・・・さっきの適性検査がアレだったから、今回も怪しいわね。」
「こういう場合のテンプレってなんだろうね。『水晶玉に手をかざす』とか?」
「あーあるわねー。で、水晶玉にひびがはいるのよね。『まさか、この水晶玉にひびがはいるほどの魔力の持ち主が現れるとは・・・』みたいな。」
「でも、この世界だからな・・・怪しいよね。」
「・・・パンチングマシーンなんてどうかしら!?殴ったら画面に『アナタノ マホウリョクハ 87 テン デス !』みたいな!」
「可能性としてゼロと言い切れないところが怖いな。」
「・・・ついたぞ。ここが魔法力測定装置が置いてある部屋だ。」
ノエルさんがドアを開ける。
そこには・・・!
とぅーびーこんてにゅーど!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
初めての『次回に続く!』です。
理由は二つ。
一つは(しょうもないネタではあるけども)インパクトを出すため。
もう一つは、ヒロくんの内面に関わるお話に続くからです。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。




