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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第二十五章 熱戦、烈戦、超激戦!?嵐を呼ぶ美少女コンテスト!編
186/191

第百八十六姉「それほどでもあります!」

完結まであと三日!


久しぶりにマリさんのファン(多分)の方から感想いただきました。

名も無き受付モブ嬢Bから準レギュラーにまで上り詰めた彼女に惜しみない拍手を!

 ・・・これもう放送事故だろ。

 半分以上の観客が首傾げてて意味わかってないもん。

 ちゃんと意味がわかった人の一部だけやや受けてるレベルだ。

 何も関係ないのに、なんか俺までスベった気がしてきてすごい恥ずかしい!




 その後、『酒場のアルバイトの面接の練習をする男』や『冒険者あるある』などでギリギリ挽回できたが、これは票に響くんじゃないか?


「はい、お時間です!ムラサキさんありがとうございましたー!」

「おっかしいな、予想よりウケてなかったわね。この世界の住民にはハイセンスすぎたのかしら・・・?」


 首を傾げつつ、ぶつぶつ言いながらも退場するさきねぇ。


「続きましてエントリーナンバー二番!アルゼン出身のリムル・リクルさんでーす!」

「よろしくお願いします!」


 お、スレイの幼馴染のリムルちゃんだ。


「リムルさんはなぜエントリーしたんですか?」

「えっと・・・お、幼馴染が勝手に応募しちゃって!そしたらなんか受かっちゃったんです!」


 俺と同じく関係者席に座っているスレイを見ると、『お前が勝手にエントリーしたんだろうが・・・』っていうダルい感じになってる。


「そうなんですか!じゃあその幼馴染さんのためにもがんばらないといけませんね!」

「は、はい!がんばります!

「ではリムルさんの最近頑張ってることはなんですか!」

「頑張ってること、ですか?えーっと・・・」


 スレイをチラッと見るリムルちゃん。


「その、は、花嫁修業を・・・」

「花嫁修業!かわいらしいですねー!お相手がいるんですか!」

「え!? その、ま、まだ、です・・・」


 顔を赤くするリムルちゃん。

 あの素直さとかわいらしさをスレイの前で出せばいいのに・・・


「ではアピールタイムに入ります!制限時間は五分!どうぞー!」

「じゃあ、歌を歌います!」


 そういうとアカペラで歌い始めるリムルちゃん。

 けっこういい声してるな。でもこの歌なんだろ。知らんな。


「ボソッ(スレイ。この歌、なに?有名なやつ?)」

「ボソッ(え、ヒイロさん知らないんすか?あー、でもこれアルゼンの歴史を歌ったテーマソングみたいなもんなんで、アルゼン出身以外だと知らないかもっす。)」


 え、この街テーマソングあんの?




「すばらしい歌声でした!リムルさんありがとうございましたー!」


 ペコッとお辞儀をするリムルちゃんに拍手が送られる。

 むぅ、この会場にいるほぼ全てがアルゼン生まれだ。なかなかよいアピールだったな。

 少なくとも腹話術で漫才するよりは効果的だろう。


「えー続きまして、エントリーナンバー三番の方どうぞー!」


 司会のその言葉とともに、ミニスカートを履き金髪に赤いリボンを添えた美少女が俯いてモジモジしながら現れる。


「王都から来てくださったクリス子さんでーす!」

「・・・・・・ク、クリス・・・子・・・です・・・」


 壇上で両手をプルプルさせながら爆発しそうなほど赤くなっているのは、もちろん俺の弟子であるクリスである。

 『クリス』って男女ともに使える名前なのに、なぜ『クリス子』なのだろうか。まぁきっとうちのお姉さま命名だろうけど。

 しかし、普通にかわいいなあいつ。足とかすげぇ綺麗。お師匠様ビックリ。

 そして観客もザワついている。


「えー、ではクリス子さんは王都出身ということなんですが、どうしてエントリーしてくださったんですか!?」

「・・・・・・・・・・・・」


 まずいな、固まってる。

 まぁ女装して大勢の前に立ってミスコンに参加するとか俺なら逃げ出してるからな。

 ・・・よし。


「クリス子頑張れー!イメージするのは最強の自分だぞー!」


 俺の声援を受けて、ハッとした顔で俺を見るクリス。

 すると観客からも『クリス子ちゃん頑張れー!』『負けるなー!』『応援してるぞー!』という声が続々と届く。

 ・・・観客はクリスのことを知ってるんだろうか知らないんだろうか。

 知ってるとしたらクリスとわかってて応援してるのか、わかってなくて応援してるのか。

 普通ならクリスとわかってるだろうが、アルゼンの連中は天然が多いからな・・・

 そんなことを考えている間にクリスは一度目を閉じ、数秒後目を開く。

 そこにはいつもどおりの誇り高いクリスがいた。


「ボクがエントリーした理由は、勝負を挑まれて逃げることなどできなかったからです!」

「おー、かっこいいですねー!では、特技を教えてください!」

「ボ、ボクの特技は・・・火魔法が得意です!」

「おお、魔法使いの方でしたか!すごいですね!」

「それほどでもあります!」


 クリス、ドヤ顔。

 観客たちもクリスのあまりの言い方に笑いが起こっている。

 クリスは笑いを取るつもりじゃなくて素で言ってるんだけどね。


「ではアピールタイムです!どうぞー!」

「では、華麗な火魔法をお見せします!」


 そういってクリスは≪火球ファイアーボール≫を空に打ち上げ爆発させるなどの王道から≪火鞭ファイアウィップ≫を使って縄跳びをするなどいろいろな使い方で観客を楽しませた。

そして縄跳びを飛ぶ度にミニスカートがフワッとなり、男性客から『おぉっ!』とか『惜しい、ギリギリ見えねぇ!』などの声が上がる。

あれを狙ってやってるとしたら・・・クリス、恐ろしい子・・・!

 しかし、派手な技しか興味のなかったクリスがよくぞここまで・・・師匠として弟子の成長を嬉しく思います。


「ではクリス子さんありがとうございましたー!さて、次の方はー・・・え? この人なんで出てるの? え、元冒険者だから? いいのそれ? まぁいいか。えー、エントリーナンバー四番、マリーシア・ホルンさんでーす!」

「どーもぉこんにちわー!冒険者ギルドのアイドル、みんなの受付お姉さん、マリーシアでーす!てへ☆」


 エェー!


「えぇー!ってなんやねんゴラァ!なんか文句あります!?」


 出やがった。いい年して『てへ☆』はないだろ。

 つーか『エェー!』って観客もひでーな。

 まぁでも美少女・・・コンテストだもんねこれ・・・

 さすがに少女は無理があるですたい。


「えー、とりあえずお聞きしますが、なんでエントリーしちゃったんですか?」

「なんかひっかかる言い方ですが・・・友達が勝手に応募しちゃってー!そしたら受かっちゃったみたいでー!」


 ブーブー!

 ダウトー!


「なんで私の時だけブーイングなんだよ!」


 ワハハハハハ!


 観客もマリーシアさんのイジリ方をわかってるようで大変よろしい。


「えーではマリーシアさんの特技を教えてください。」

「特技ですか?えっと・・・あ!あの【オーガ殺し】をビンでラッパ飲みイッキできます!」

「・・・そう、ですか。」


 なにあのマリーシアさんの得意げな顔。司会もすごい困った顔してるじゃん。

 いや、すごいよ?酒にけっこう強いほうの俺でも【オーガ殺し】は水でかなり薄めないと飲めないからね。

 すごいんだけど、この場で酒強いアピールして意味ある?

 ・・・まぁ腹話術で漫才と同じレベルか。


「・・・えー、では、アピールタイムにうつります。五分いります?あ、いりますか。じゃあ適当にどうぞ。」


 司会のやっつけっぷりもすごいなまた。


「では論より証拠!この場で【オーガ殺し】をイッキします!」


 ザワザワ!


 観客もざわめいている。


「では、ヒイロさん!コール御願いします!」

「え、俺? わ、わかりました・・・すぅー・・・なーんで持ってんの!なーんで持ってんの!飲み足りないから持ってるの!あマリさんの!ちょっといいとこ見てみたい!それイッキ!イッキ!」


 俺の掛け声とともに、観客たちからも『イッキ!イッキ!』のコールがかかる。

 ちなみに、イッキは体に悪いからやっちゃいけないよ?お兄さんとの約束だ!

 その間にもみるみるうちに減っていく【オーガ殺し】の水量。

 そして。


「~~~~プハァッ!飲んだぞー!」


 ウワァァァァァァァ!

 パチパチパチパチ!


 観客から万雷の拍手が。

 酒飲んで拍手をもらってる今がマリーシアさんの一番輝いてる時だな。

 しかし、相変わらずオーガ殺し一気飲みはすげぇわ。絶対真似できん。


「えー、素晴らしい宴会芸をありがとうございました。では次の方!エントリーナンバー五番!カチュア・グラールさんでーす!」

「ど、どうも。カチュア・グラールです。よ、よろしくお願いします・・・」


 ワァァァァァァァァァァ!


 お、けっこう声援が多いな。

 さきねぇと違って隠れファンがいるのか。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


安定のマリさん。友人にいたら最高に楽しいと思います。

恋愛関係になるかどうかは置いておいて。

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