第百八十五姉「土下座してなんとか。」
完結まであと四日!
評価を入れてくださった方が何人も。ありがとうございます。
11月はほとんど更新しなかったのもあって全然評価入らなかったので嬉しかったです(笑)
今日の予定を話しながらギルドカウンターへ向かうのだった。
ちなみに、マリーシアさんは黙っていたわけではなく、会議中ずっと『私は!?私は参加しちゃダメなの!?ねぇ!?』を繰り返していたが、誰も相手にしなかっただけです。
「というわけで、エルエルも参加ね。」
「どういうわけか全くわからん。何に参加するんだ?」
ノエルさんちに帰り、夕食を食べている最中。
突然の参加宣言に困惑するノエルさん。
「今度アルゼンでミスコンやることになったから。エルエルも参加確定だから。」
「ミスコンかよ・・・絶対出ないぞ。」
「いや、確定だから。」
「出ない。」
「確定。」
「出ない!」
「確定!」
にらみ合っている二人。
なんか今日のさきねぇはすげーにらみ合ってんな。
「ムラサキが出たいんだったら勝手に一人で出ろ!」
「エルエルが出なかったら私が優勝してもロリコンどもが『ノエル様がいればノエル様が勝ってた』とか言いだすでしょ!」
「知るか!」
お互い引きませんな。
「せっかくだから出ませんか? ノエルさんの威光を数多の民衆に知らしめる絶好の機会では?」
「別に私の威光を数多の民衆に知らしめる必要はないと思うのだが! そ、それに・・・」
「それに?」
「は、恥ずかしいじゃないか!」
顔を赤くし騒ぐノエルさん。
『KWEP』が10万・・・12万・・・15万・・・まだ上がっていく、だと?
まさかこいつ、でんせちゅのスーパー美少幼女だとでも言うのか?
「それと、私のような年増がミスコンなんて出ても誰も嬉しくないだろう?」
「「・・・・・・・・・」」
アイコンタクトで『集合!』を伝え、さきねぇと二人で部屋のすみっこにいく。
「今のは・・・有罪? 無罪?」
「・・・・・・・・・エルエルだから無罪!」
「無罪出ました!やりましたよノエルさん!おめでとうございます!さすがノエルさん!」
「うん・・・うん? ありがとう・・・?」
今の発言をそこらへんの適当な女がしれっとしたら有罪だったな。
無垢で純粋、言動に何の裏もないノエルさんだからこその無罪。
でも、困ったな。
ノエルさんが出場って大会の目玉の一つみたいなもんだし、みんなにはノエルさん参加!ってさきねぇが言っちゃったし・・・仕方ない。
「ノエルさん、どうしてもダメですか・・・?」
「う・・・」
必殺、義孫 (おとこのこ)の上目遣いビーム!
「エルエルぅ・・・」
「うぅ・・・・・・」
追撃の義孫 (おんなのこ)の上目遣いビームⅡ!
「・・・・・・・・・・・・・・・今回だけだぞ。」
「「(落ちた!)」」
『計画どおり!』といった悪い顔をする俺たちだった。
そんなこんなで大会当日。
アルゼン東広場はかつてないほどの盛り上がりをみせていた。
「うーん、みんなお祭り騒ぎが大好きなんだなー。」
「まぁアルゼンって娯楽があんまりないっすからねぇ。」
関係者席に座っている俺とスレイとヴォルフ。
本当は司会をやりたかったんだけど、絶対さきねぇを贔屓するからって却下されちゃった。(´・ω・`)ショボーン
まぁ絶対贔屓するんだけどね!
「つーかヴォルフ、よくカチュアさんが出てくれたな。恥ずかしがり屋なのに。」
「土下座してなんとか。」
「土下座したのか・・・」
さすがシスコン。
「皆さん、長らくお待たせいたしましたー!これより『彼女にしたい女の子は誰だ!?第一回アルゼン美少女コンテスト』!始めたいと思いまーす!」
ワァァァァァァァァァァァァァァ!
司会さんの言葉に集まったアルゼン住人たちも大興奮です。
「今回は第一回ということで六人の女性冒険者さんにお集まりいただきましたー!」
「六人って少なくねぇか?」
ヴォルフの疑問ももっともだ。
「他にも出てもいいって女性冒険者さんもいたんだけどね。さきねぇが出るって言ったらみんな辞退しちゃったらしい。うちの姉様のかわいらしさマジ罪。」
「ふ~ん。」
興味なさそうだな。
しょせんシスコン同盟とはいえ方向性は真逆だから仕方ないといえば仕方ないが。
「では張り切っていきましょう!まずは、エントリーナンバー1番!ムラサキ・ウイヅキさんでーす!」
「はろーはろー!アルゼンのアイドルにして元忍○組一番隊、子忍のムラサキさんですよー!」
ワァァァァァァァァァァァァ!
ムラサキサマー!
ムラサキオネエサマー!
ムラサキサーン!
観客やMFCの連中から歓声があがる。
いいなー、俺も関係者席にいなければあそこで紫色のはちまきに紫色の法被着て絶叫してたのになー・・・
てゆーかさきねぇ。なぜそこをチョイスしたのか。
身体能力で考えれば、あながち間違ってはいないのが困る。
「ムラサキさんはどうしてこの大会にエントリーされたんですか?」
「えー、私はー出る気なかったんですけどー、弟がー勝手に応募しちゃってーそしたら受かっちゃったんですよー!」
「あーそうでしたかー!」
よくもまぁそこまで嘘八百をペラペラと・・・
つーか数百人の観客の前で話してるのに相変わらず自信満々、余裕綽々の態度。
俺にもあの十分の一でいいから肝っ玉がほしかった。
「好きなことはなんですか?」
「好きなことはー、弟とすることならなんでも好きですー!」
「いやー、やっぱり弟さん大好きなんですねぇ!」
「当然よ!そもそも私とヒロの出会いは~」
おいおい、俺たち姉弟が生まれたところから語り始めたぞ。
司会、困った顔してこっち見てないでさっさと次に進めろ!ほっとくと止まらんぞ!
「でその時にヒロがお「ありがとうございましたー!」姉ちゃん大好きって言ってー!それでねそれでねー!」
司会が遮ったのにまだ話し続ける、だと・・・?
俺が関係者席から両手で×をすると、こっちを見たさきねぇがぷんぷんした顔をしつつもオトウトークを中断する。
「えー、ムラサキさんの弟さんを愛する心が会場の皆さんに届いたところで!アピールターイム!どんなことでも構いません!時間は5分以内で御願いします!では、どーぞ!」
「えー、では、私の秘奥義の一つ、腹話術で一人二役漫才やります!」
なんで!? なんでそこチョイスしたの!?
あなた歌だろーが踊りだろーがなんでも出来るのに、なんでそこいったの!?
そしてさきねぇは後ろの袋からごそごそとぬいぐるみを取り出す。
あ、あれは・・・!
「こちら、アシスタントの『ヒロくん十三号』でーす!ご挨拶は?」
「ミナサンコンニチワ、オネエチャンダイスキヒロクンデス!」
オ、オォ~!
やはり俺がモデルのヒロくんシリーズか・・・
観客の声も『すごい!』が半分、『若干引く』が半分の微妙な感じだ。
ちなみに、ヒロくんシリーズとは手縫いの割りに異常なまでのクオリティを誇るさきねぇの力作である。
様々なタイプがあるが、ヒロくん十三号はスマート棍棒と飛竜のマント、皮帽子と皮靴を身に着けた冒険者装備タイプである。
そしてさきねぇの一人二役漫才がはじまった。
のだが。
「ネェネェオネエチャン、キイタキイタ!?」
「お、ヒロくんどうしたの?」
「トナリノアキチニヘイガデキタンダヨ!」
「へぇー!」
「シカモカコイマデデキタラシインダ!」
「かっこいー!」
「オマケニオシロマデタッチャンダカラスゴイヨネ!」
「どーにかしろー!」
・・・これもう放送事故だろ。
半分以上の観客が首傾げてて意味わかってないもん。
ちゃんと意味がわかった人の一部だけやや受けてるレベルだ。
何も関係ないのに、なんか俺までスベった気がしてきてすごい恥ずかしい!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
ムラサキさんのネタは読者さんを苦笑いさせることが目的なので、苦笑・失笑してくださったら私の勝ちです。




