第百八十姉「っしゃあ!絶っっっっっっっっっっ対ですよ!約束ですよ!ひゃっほー!」
読者さんから色々感想をいただきました。ありがとうございます。
「完結します!」とかいって読者さんから反応がなかったら最終姉を前にエタって打ち切りになってるところでした(笑
今話でついに女の子の婚約者とその理想の人が判明!
犯人は……ヤス!
「居場所、ですか。そ、その人物の名前とかってわかります?」
「名前はわからないんですが、彼が言うには棍棒を武器に扱う水魔法使いで、お姉さんがとても好きな人物らしいです・・・」
・・・え?
「え、それってヒイ「マリーシアさん!ちょっとあっちでお話しましょう!」
神速でマリーシアさんの元まで駆け寄ると、肩を掴みガクガク揺さぶりながらカウンター付近まで移動する。
「なななななんですかヒイロさん。というか、あの暗い女の子の捜してる男性ってヒイロさんですよね?」
「ちちちちち違うかもしれないじゃないですか!」
「・・・多分ですけど、街で『①棍棒使い②水魔法使い③姉大好き、これらから連想される人物は?』ってアンケートとったら100人中100人がヒイロさんっていうと思いますよ。」
わかってるよ!俺だってわかってるんだよそんなことは!
「身に覚えのない罪で刺されて水虫になるかもしれないんです。」
「あの、すいません、仰ってる意味が全くわからないんですけど。」
「とにかく助けてください!俺のことはボカす感じで!」
「・・・・・・」ニヤァ
くそーすげー嫌な笑顔見ちゃったよ!
人間ってこんな笑顔できるのかよ!!
「どうしよっかな~?」
「くっ・・・お、お願いします。」
「言葉だけじゃな~?態度と行動で示してほしいかな~?」
「(すげーうぜぇ!)じゃ、じゃあ奢りますよ!」
「・・・お店は?」
「い、いつもの定食屋で飲み放題でどうです?」
「・・・あのー!その水魔法使いに心当た「わかった!おしゃれなレストランで食事でもどうですか!?」
「・・・それは姉ありで?なしで?」
「・・・・・・姉・・・・・・・・・・・・なしで。」
「っしゃあ!絶っっっっっっっっっっ対ですよ!約束ですよ!ひゃっほー!」
いきなり踊り始めるマリーシアさん。
代償がでかすぎる・・・なんてね!
俺はあくまで『おしゃれなレストランで食事。姉抜きで。』と約束しただけ。
ならその場にスレイとリムルちゃんとヴォルフとカチュアさんを連れて行っても何も問題ない。
ケケケケ、契約内容はキチンと確認しましょうねマリーシアさん。
いい勉強になりましたね!
「えっと、じゃあそこのあなた。冒険者ギルドアルゼン支部で超有能と名高い私がお相手しましょう!まずお名前を聞かせてください。あ、偽名とかはやめてくださいね。バレた時点で二度とギルドに依頼できなくなりますので。」
「は、はい・・・私はアウロラ・グリーングリーンといいます・・・」
「アウロラさんですね・・・ん?グリーングリーン?どっかで聞いたことあるような・・・?」
「ああ、なんでも貴族さんらしいですよ。」
しかし変わった苗字だな。
この世界的には『初月』のほうが異端だろうが。
「貴族・・・グリーングリーン・・・ってまさか、あのグリーングリーンですか?」
「はい、多分そのグリーングリーンだと思います・・・」
「ぎぃやぁー!お許しをー!超有能とかでかい口叩いてすいませんでしたぁー!実際はそこそこでしたぁー!」
瞬間的にDOGEZAするマリーシアさん。
え、発作かなんか?
「やっぱり、うち、影薄いですよね・・・」
「けけけけ決してそのようなことはー!ははぁー!」
「なになに、どうしたの?」
「ちょっとこっち!」
マリーシアさんにギルドの隅っこに連れて行かれる。
そして首を絞められる。
「ヒイロさん!そういうことは先にいってくださいよぉ!なんなんですか実は私のこと嫌いなんですかぁ!?」
「ぐ、ぐるじぃ・・・!」
「彼女!グリーングリーン家の人じゃないですか!何か失礼があったら私なんて首ちょんぱですよ、首ちょんぱ!」
「・・・ええい、離せぇ!ったく、俺だって名前聞いたの今が初めてですよ。有名なんですかそのグリグリさん。」
俺の言葉に『嘘、だろ・・・?』って顔してるマリーシアさん。
だって俺、アルゼンから出たことないし。
「グ、グリグリさんって・・・魔法四聖の一つですよ!火のクリフレッド、水のブルーノート、土のゴールドラッシュ、そして風のグリーングリーンです!知らないんですか?」
「へー、そんなのあるんだ。クリフレッド家しか知らなかった。じゃあ名家のお嬢様じゃない。」
「いえ、クリフレッド家とうちは月とすっぽんくらい違います・・・」
「「ひぃ!?」」
いつのまにかそばにきていたアウロラさんがボソッと呟く。
「クリフレッド家の人が王城に立ち寄れば兵士の方々は全員最敬礼ですが、うちの人間が王城にいったら門番さんですら『あ、グリグリさんちーっす。で昨日さー!』みたいな感じでスルーされます・・・」
「どんだけ下に見られてるんだ・・・」
「てゆーかグリグリって呼び方メジャーなんですか?」
いったん席に戻って仕切りなおし。
「えっと、とりあえずその棍棒を武器に扱うシスコン水魔法使いをストーキングする理由をお聞きしても?」
「はい。簡潔に言うと、私の婚約者が寝取られたんです・・・」
「ねとら・・・?え、婚約者って男性ですよね・・・?」
「私の婚約者はまるで美少女のようにかわいらしいですが、男性です・・・」
アウロラさんのその言葉に、マリシーアさんがすごい顔でこっちを見てくる。
見てんじゃねーよ!
「違いますよね!正確に!物事は略さずに正確に伝えましょう!」
「そうですか?長くなってしまうと思うのですが・・・」
「長くなっていい!人間だもの!」
「わかりました。では・・・」
なんとか一から全て説明させる。
勘弁してくれよ・・・ただでさえ俺はラムサスさんとかスレイとかヴォルフとかと仲がいいから、一部の腐った女性がキャーキャー騒いでるのに。
腐ったものに燃料を与えないでくださーい。
「・・・というわけなんです・・・」
「なるほどなるほど。それは災難でしたねー。ちなみに、その婚約者の方のお名前を教えてもらってもよろしいですか?」
「名前はちょっと・・・彼に迷惑がかかっても嫌ですし・・・」
そこまで気を使えるなら俺を刺しにくるんじゃねーよ!
婚約者が魔法使いを刺し殺すとかそっちのがよっぽど迷惑がかかるわ!
「じゃあせめて特徴だけでも。」
「特徴なら・・・彼は金髪で美少年か美少女かわからないくらいの中性的イケメンで火魔法使いですごい家柄の方です。」
「「・・・・・・」」
黙る俺とマリーシアさん。
思い当たる子が一人だけいるぞー。
「その方、もしかして名前の最初が『ク』で最後が『ド』じゃないですか?」
「!? あ、当たってます・・・もしや、マリーシア様は預言者なのですか・・・?」
「実はそうなんです。」
「普通に嘘をつくな。」
なぜ真顔で自然に嘘をつくのか。
「もしかしなくても、アウロラさんの婚約者ってクリスですか?」
「え、クリス様をご存知なんですか?」
「え、ええ。まぁ。」
「なぜクリス様を知ってらっしゃるんですか・・・?」
まずい。
アルゼンなんて田舎町に住んでるごく普通の魔法使いがクリスを知ってるのはおかしい。
なにか良い言い訳はないか・・・
チラッとマリーシアさんに目線を送ると、目が合った瞬間に寝たふりをする。
この女、マジで使えないんですけど・・・!
「えっと、その・・・そう!アルゼンではクリスさんは有名なんですよ!アルゼン四天王の一人、爆炎のクリスといえば誰でも知ってるレベルです!ねぇマリーシアさん!?」
「え、ええ!そうです!超有名人ですから!」
「そうなのですか。さすがクリス様です。それに比べて私はこんなグリーンいもむしみたいな女ですいません・・・」
ふぅ、なんとか乗り切ったぜ。
しかし、精霊王様は俺にさらなる試練を課す。
「ん? クリスくんがどうかしたっすか?」
いつのまにか俺の横には次なる刺客、スレイが立っていたのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
すいません、まえがきで嘘つきました。
犯人はヤスじゃありませんでした。




