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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第十七章 異世界でもいちゃいちゃしながらデートするよ!編
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第百三十九姉「ヒイロ、お前まさか、操られてるのか!?」

感想と評価をいただきました。ありがとうございます。

頑張りますよ~!

 さきねぇが驚く。

 そりゃそうだ。異世界にも関わらず、薄い桜色と朱色の美しい着物が置いてあったんだから。




「こ、これですか。えっと、これはちょっといわくつきの物なんですけど・・・」

「まさか呪われてるんですか?」

「呪われてるというか・・・誰も装備できないんですよ。」

「? どういうことですか?」

「これだけ変わっていて美しい服なので購入を希望される方は多いんですが、皆さん触れた瞬間に『これは着れない』って仰るんですよ。」

「「はぁ。」」


 よく意味がわからん。


「なんというか、この服に触れた瞬間に『この服を着る資格が自分にはない』と思うらしいんです。」

「・・・じゃああなたはどうなんです?」

「私はそもそも着ようとも思わないですよ。私なんかじゃ似合いませんし、恥ずかしくて着れないです。あはは。」

「いまいちピンとこないな?」

「とりあえずお姉ちゃんが触ってみればいいんじゃないかしら?」

「ええ、そうですね。どうぞ。」


 さきねぇが袴に触れる。

 すると。

 一瞬、どこからか桜の匂いを乗せた風が吹く。

 そして。


「・・・貴女こそ私の捜し求めた真の姫。どうかお受け取りください。」


 そんな声が聞こえたような気がした。


「・・・さきねぇ、今の、聞こえた?」

「ヒロも聞こえたってことは幻聴じゃないわね。」

「? 何が聞こえたんですか?」


 店員さんの頭には???が浮かんでいる。

 俺たちは顔を見合わせる。


「でもなんか嬉しそうだったよね。」

「うん。迷子が親を見つけた、みたいな。」

「・・・というかお客様!?その服に触ってもなんともないんですか!?」

「え? ええ、特には。」


 驚愕の店員さん。


「というわけで、これください。」

「は、はぁ、わかりました。でも、それ服というより芸術品扱いなのでかなり高いですけど・・・」

「構いません。なんなら言い値で結構です。いくらですか?」


 今、俺の体にはグリー○アイランドを競り落としたバッ○ラ氏の魂が乗り移っているといっても過言ではない。

 これは誰にも渡さん。これは、さきねぇのものだ!


「は、はぁ。えっと、ゴニョゴニョ・・・」

「ふんふん。」


 店員さんから値段を聞く。

 確かに高い。

 だが!


 ジャラジャラジャラジャラ!


「これで。」

「!? ・・・た、ただいま包装いたします!お待ちください!」


 俺が魔法袋から大小様々、色取り取りの大量の硬貨を部屋の一角に備え付けられた机にぶちまけると、一瞬にして目がドルマークになった店員さんはすぐに裏へひっこんでいった。


「ヒロ、いいの?今の、ヒロの貯金でしょ?水魔法の威力が上がる腕輪がほしいって言って「俺がさきねぇに贈りたいから買うんだ。誰にも文句は言わせない。例えそれがさきねぇでも、だ。」

「・・・ありがとう。」

「いえいえ。むしろさきねぇのために存在してるようなもんでしょこいつ。異世界でさきねぇを待ってたんだよきっと。」

「そうなら嬉しいわね・・・ううん、ヒロがそういうんだからそうなんでしょうね。」




 会計も終わり、笑顔で大事そうに服を抱えるさきねぇ。

 よかったよかった。


「さきねぇ、とりあえずその着物俺の魔法袋にいれておくよ。あとで改めてプレゼントします。」

「じゃあお願いしようかしら。私の魔法袋にもっといっぱい入ればいいんだけど。」


 しかし、見れば見るほど『ザ・着物!』って感じできれいやね。


「あ、ちなみに製作者ってわかります?」

「あーこれはずいぶん昔に私の母がイルドアム王国で入手したものなんですけど、詳細はわかってないんですよ。申し訳ありません申し訳ありません!」

「いえいえ。気になさらず。」


 必死に頭を下げる店員さん。


「でも、そんな古いものにしてはすごいきれいですけど。」

「それもよくわかってないんですよね。なんらかの魔法がかかってるみたいなんですけど、どんな魔法か誰もわからなくて。でも全然痛まない良い服ですよ。」


 まぁ不思議アイテムとして納得しておこう。


「それじゃ、また来ます。」

「ぜひ!ぜひ宜しくお願いします!」


 店員さんの目がまたドルマークになってる。

 まぁ地球あっちの感覚でいえば100万の札束を現金でポンと渡されたようなもんだ。

 上客扱いになってもしょうがない。



 次の目的地はギルドだ。

 さて、どんな反応を見せてくれるのかな?


「おはようございまーす。」

「あ、ヒイロさんとムラサキさん。おはようございます。」


 ギルドに入ると、マリーシアさんが暇そうにしていた。

 今日はあんまり人いないな。

 さきねぇも笑顔で挨拶する。


「マリーシアさん、おはようございます。いつも弟がお世話になってます。」ペコリ

「・・・・・・・・・?」


 マリーシアさんのきょとん顔いただきました。


「えっと、あれ?ムラサキさんどこにいったんですか?数秒前まで確かにここにいたのに・・・?」

「存在が見えなくなるほど驚くの!?」


 すげー驚き方だ。さすがマリーシアさん。


「ふふふ、もう、何言ってるんですかマリーシアさん。ひどいです。私はここにいますよ?」

「え、なにこいつ怖い。私何されるの?ついに裸で森に投げ込まれるの?まだ遺書書いてないんですけど・・・」

「いや、書かなくていいから。」

「え、だってこれ。え?誰?」

「どっからどうみてもさきねぇじゃないですか。」

「ヒイロさん、落ち着いてよく聞いてください。気付いていないかもしれませんが、実はあなたのお姉さんは悪魔です。残虐非道を絵に描いた、人の生き血をすすり不幸をあざ笑う魔女で、魔王すら裸足で逃げ出す恐怖と暴力の権化です。」


 お前は人の姉をなんだと思ってるんだ。


「でも、この人は違うでしょ?美人でかわいくて胸が大きくて明るくて人気があって強い上に、優しくて礼儀正しい。どう考えても悪魔じゃない、どちらかといえば天使でしょ?そんな人間存在すると思いますか?私は思いません。なら答えは一つ。この人は悪魔です。」

「言動が支離滅裂になってて何言ってるか全然わかんないけど。お前が落ち着け。」

「・・・あ、じゃあ夢かこれ。うわーリアルー。じゃあ好きなこといっちゃおっと!おいムラサキ!私よりほんのちょっとだけかわいくて胸が大きくて人気があるからって調子のんなよ!私の方が年上だからな!そこの店でカフィー買ってこい!豆挽きたての一番いいやつな!」

「・・・ふふふ、申し訳ありませんけど、お断りします。」


 うわーやっちゃった。さらばマリーシアよ永遠に。

 これ以上ギルドにいると、さきねぇが通常モードに戻ったときにマリーシアさんがピーーーされてしまうので脱出することにした。




「お昼ご飯どうしようか。」

「そうねぇ。サンドイッチでも摘んで、あ。」


 チラッとお店に目を向けると、お店のカフェテラスでヴォルフとカチュアさんが昼食をとっている最中だった。


「おっす。」

「おお、ヒイ「こんにちわヴォルフさん、カチュアちゃん。」ブフォ!」


 盛大にカフィーを噴出すヴォルフ。きれいな黒い虹がかかっとります。

 カチュアさんもゴホゴホとむせている。

 失敬な。


「ヒイロ、離れろ!そいつはドッペルゲンガーだ!まさかこんなところでB級魔物に出会うとはな・・・!」

「ムラサキさんをどこにやったんですか!」


 ヴォルフが大剣を、カチュアさんが短剣を構え戦闘体制に入る。


「いやいやいやいや。二人ともキレすぎでしょ。ちゃうねん。さきねぇやねん。」

「ヒイロ、お前まさか、操られてるのか!?」

「そんな、ヒイロさん!正気に戻ってください!」


 兄妹の悲痛な叫び声に、反応に困る姉弟。


「・・・とりあえず、逃げましょうか。」

「・・・そうだね。二人とも、また後でね!」


 さきねぇの手を握り一気に走り出す!


「ヒイロ待て!クソッ、街の警備兵は何やってんだ!?絶対に俺が助けてやるからな、親友!」


 魂を熱く震わせているヴォルフたちを残し、さっさと退散するのであった。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


【紫桜の羽衣】

・ある物語に魅せられた職人が異世界に転移した後、その物語のある登場人物に着てもらうことを夢見て心血を注いで製作した、愛と情熱と狂気の幻想兵装。

・『数百年経っても歴史に名を残す不朽の名作』という製作者の想いが反映されており、決して汚れることがなく色褪せることもない。

・また、生半可な攻撃では傷一つ付けられず、傷がついたとしても自動的に再生する。

・装備するためには異常な難易度の条件をいくつも達成しなければならないが、ムラサキさんは常態で全条件を達成した。

・事実上ムラサキさん専用装備。


という設定を書いてる途中で思いつきました。

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