第百二十五姉「私とヒロの子供。」
読み返したら「あ、これはまずい」と思った箇所が何点かあって序盤をほんの数文字だけ修正しました。
読者さんから指摘もなかったんで該当箇所は気づかれてはいない、はず!
とはいえ、間違いに気付けるのはブクマ一桁時代から読んでくれてる人だけですけどね(笑
どこにいくのかよくわかってないけどニコニコしているみーこ。
ドワーフの強面見て泣かないよな?まぁ人生経験か!ゴーゴー!
「ここが目的地、『アルゴスノブキヤ』よ!」
「ぶ、武器屋さんですか!?初めて見ました!」
「そうでしょうそうでしょう!ここは初心者が入ると何されるかわからない危険な店だけど、私レベルの冒険者が一緒なら何も問題はないわ!」」
「す、すごい!さすがムラサキ様!」
偉そうなさきねぇとキラキラした瞳でさきねぇを見つめるみーこ。
無邪気な幼女を騙すとは・・・汚い大人だ。
「おい、勝手なこといってんじゃねーぞムラサキ。」
「お?あ、アルゴスさん、こんにちわ。」
後ろから声をかけられ振り向くと、憮然とした態度のアルゴスさんが。
「みーこ、これがここのボスよ。弱点は相手がジャンプして着地したあとに☆が出るから、それを吸い込んでぶつけるの。ぶつけ終わったらすぐに飛んで逃げるのよ!」
「勉強になります!」
「・・・俺は一体何者なんだ。」
「あとでしかっときますんで。ほんとすいません。」
「よし、店内に突撃するわよ!ついてきなさい!」
「はい!」
ダダダダと店内に入っていく二人。
「・・・なんなんだ?」
「実は・・・」
事情を説明する。
「なるほどな。しかし貴族か。まためんどくさいことになりそうだな・・・」
「そこはもう諦めてます。それに貴族のお嬢様に社会勉強ってのも悪いことじゃないかと。」
「・・・まぁお前がいいならいいけどな。」
「心配してくださったんですか?ありがとうございます。」
「・・・勘違いするな。別にお前を心配したわけじゃない。」
「ツンデレきたー!」
「つんでれ?」
そんな世間話をしていると店内から『ガシャーーーン!』という音が。
「ム、ムラサキ様!?どうしましょう!?」
「だいじょぶだいじょぶ、これをこうして・・・っと。ほら、これでばれない!」
「さすがムラサキ様!」
「ムラサキィィィ!てめぇなにやってやがる!」
「みーこ、逃げるわよ!」
「は、はい!」
アルゴスさんが店内に入ると、すでにやつらの姿はなかった。
どうやら裏口から逃げ出したらしい。人んちなのに勝手知りすぎだろ。
「ほんとすいません!あとで弁償しますんで!」
「もういいからさっさといけ!」
「ごめんなさーい!」
ダッシュで逃げる俺だった。
俺、何もしてないのに・・・
二人を探してキョロキョロしていると、さっそく発見。
見知らぬおじいちゃんとおばあちゃんたちに捕まって話をしているようだ。
「おじいさま、この国はお好きですか?」
「ああ、もちろんだとも。こんなに小さいのにもうお国のことを考えているのかい?きっとご両親が素晴らしいんだろうね。」
「はい!」
みーこも嬉しそうだ。
頭撫でられまくって髪の毛が大変なことになってるが。
「はいはい、じーちゃんばーちゃんたちもこれで終わりね!私達いくとこあっから!」
「あら、そう?じゃあまた会いましょうねぇ。」
「・・・はい、また。」
また、か。貴族だからきっと会うことはないだろうが・・・また会えたらいいな。
「終わった?」
「ヒロおっそい!なんかじーちゃんばーちゃんたちが集まってきてびびったわ。バイオハザードかと思った。」
「さすがに失礼すぎるだろ。」
「?」
よくわかってないみーこ。いいんだよわかんなくて。
「さて、次は・・・ギルドいくか。」
「ギルド・・・冒険者ギルドですか?」
「そう。大丈夫よ、心配しなくても。なんかいってくるやつらがいたら私がグーパンチで殴るから。」
さきねぇのグーパンチは威力やばいからな・・・へたしたら死者が出るレベルなのでできれば勘弁していただきたい。
「ここがギルドよ!」
「ここが、ギルド・・・!」
ギルドのど真ん中で仁王立ちのさきねぇと、あたりを興味深そうに見回すみーこ。
冒険者達は『あの子、誰?』みたいな感じでこっちを見てる。
そこにスレイが寄ってきた。
「あ、ヒイロさんじゃないですか!お疲れ様っす!・・・あれ、ムラサキさんが連れてる女の子は?」
「私とヒロの子供。」
「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」」
「・・・おぅ、大きくなってきたからギルドの皆に紹介しようと思って。」
『マジかよ・・・』『確かに面影が・・・』『あいつら姉弟だろ?すげぇな・・・』と様々な反応が。
「・・・まぁ冗談だけどね。ちょっと今日一日子守のバイトをしてて、社会勉強でギルド見学にきただけ。」
「あ、あーなんだ、びっくりしたぁ~。」
『びびったわ』『心臓に悪いぜ』『でも、あの二人ならありえそうで怖い』と、みんなほっとした感じ。
そこに一人の冒険者が近づいてくる。
「お嬢ちゃん、これ食ってみるか。グリーンハーブ。」
「ちょっとラウルさん、みーこに変なものあげないでくださいよ。」
「まぁいいじゃないか。何事も経験だろ?」
「グリーンハーブ・・・たしか、グリーンポーションの原料、ですよね?」
「お、よくしってるな。食べるか?」
「・・・いただきます。」
みーこはラウルさんからグリーンハーブを受け取ると、ぽいっと口の中に放り込む。
すると、突然手で口を抑える。
「に、にがぁ・・・」
「はははは、良い勉強になったろう?なんでもかんでも口に入れてはいけませんってな!」
「みーこ、これ飲んで。」
みーこに≪聖杯水≫を渡すと、すごい勢いでゴクゴク飲み干す。
「うぅ・・・あれ?苦いのがなくなった。」
「ふふふふ、すごいだろう。俺の必殺回復魔法≪聖杯水≫だ。傷の回復と異常の回復どっちもできるんだぞ?」
「ふわ~、ヒイロ様もすごいお方だったんですね!」
「まぁまぁまぁまぁ、それほどでもないけど?」
幼女に褒められ喜ぶ俺だった。
「ヒ、ヒイロくん、俺にも回復を・・・」
「何も聞こえない。」
さきねぇによって人間サンドバッグと化し、ボコボコになったラウルさんからの救援要請を華麗にスルー。
うちのみーこに変なもん食わせるからだ。
「よーし、次いくぞー!」
「はい!」
三人で仲良くギルドを後にする。
「いやーお二人の子供とかびっくりしたっすねマリーシアさん!・・・マリーシアさん?マリーシアさん!?」
そこには、みーこが俺とさきねぇの子供と聞いた瞬間に真っ白に燃え尽きたマリーシアさんの姿があったとかなかったとか。
「よし、ちょっと早いけどお昼にしましょうか。みーこはお嬢だから定食屋でご飯とか食べたことないでしょ?」
「な、ないです!」
「食べてみたい?」
「食べてみたいです!」
「よし、では定食屋へゴー!」
「ゴ、ゴー!・・・あ、でも私、お金が・・・」
「あはは、こどもがそんなの気にしない気にしない。」
「で、ですが・・・あ!この腕輪を売ってくだされば多少のお金にはなると思います!」
そういって、やけにキラキラしてる腕輪を見せるみーこ。
・・・これ、純金じゃね?
「あー、みーこさんや。そういうの、あんまりお外で見せないように。人によっては盗まれちゃうよ。」
「でも、私、これ以外にお金になりそうなもの・・・」
「ヒロが全額払うから大丈夫よ!出会った記念!だから気にしないの!」
「・・・わかりました。お言葉に甘えさせていただきます。」
なんとかみーこが折れる。
こんな小さな子がここまで気を遣わなくていいのにな。
「ん?そういやみーこって今いくつ?」
「私ですか?今年で8歳になります。」
「おおー、エルエルみたいなエセ幼女じゃなくてホンマモンの幼女ね。単位的には1/21エルエルね!」
「そう考えると、ノエルさんてけっこう年いってるね。見た目からじゃ想像もできないけど。」
「エルエルに言ってやろ。」
「お願いやめて!」
俺達の会話をクスクス笑いながら聞いているみーこ。お上品ですね。
そしていつもの定食屋に三人で入る。
「いらっしゃいませー!なんめ、ってヒイロさんたちですね!こちらへどーぞ!・・・って、ノエル様、ちょっと縮まれました?」
「いや、別人別人。」
「・・・・・・わかってますよぉ、嫌だなーもー!」
絶対わかってなかっただろ。
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