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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第十三章 ここ掘れワンワン!異世界、大自然の驚異!編
111/191

第百十一姉「でしょ?やっぱ妹じゃなくて姉でしょ?」

皆様、あけましておめでとうございます。

今年も皆(自分含む)が素晴らしい姉にめぐり合えますように。

そして1月1日に第111姉を投稿と、新年早々縁起がよくて何よりでございます。

今日も明日も仕事ですけどね!

「別に悪いことばかりじゃないぞ?それに強者が強さを隠し続けることには限界がある。ヒイロの謙虚は美徳だが、過ぎれば毒だぞ?素直に受け入れろ。」

「うぅ~・・・・・・はい、わかりました。」


 もうD級とか展開早いよ!巻きすぎでしょ!?




「いやーめでたい!アルゼンから一年未満の早さでD級冒険者が出るなんてね!」

「しかも片方は魔法使いだしのぉ。これで今年はシナサスの街やメクリスの街のやつらから『新人の町(笑)』とか言われてバカにされんの!目にもの見せてくれるわ!ほっほっほ!」


 ニヤニヤ笑顔の気持ち悪いラムサスさんとガルダじぃさま。


「どゆこと?」

「ほら、うちって新人多くて有名な冒険者ってあんまりいないじゃないですか。だから同規模の他のギルド支部からけっこう陰口叩かれるんですよ。強い冒険者もいないくせにでかい顔しやがって、みたいな。」

「あーそこに私達っていう将来S級確実な超弩級大型新人がでちゃったからフィーバーしてるわけね。」


 マリーシアさんが説明してくれる。

 大人の世界って大変だね。


「ヒイロくん!もし他の冒険者に出身地聞かれたらアルゼン!アルゼン出身です!って言ってね!」

「なんなら、アルゼン生まれのアルゼン育ちと言っても良いぞ!ワシが許す!」

「「あっはっはっはっは!」」


 すげーテンション高いなこの人たち。地元好きすぎだろ。

 そして、さきねぇの目が妖しく輝く。


「つまり、今日からD級依頼が受けられるってことね!こうしちゃいられないわ!さっそく依頼表見てくるわよ!ひゃっはー!」

「ちょ、待て!落ち着け!」


 光速ダッシュをかけるさきねぇを追いかける俺なのだった。




「う~ん・・・困った。これは困ったぞぅ。」


 さきねぇがどこかに消えたので(早くて追いつけなかった)俺は一人、ギルドの依頼掲示板とにらめっこをして唸っていると、俺の姿に気付いたスレイが駆け寄ってきた。


「あ!ヒイロさん聞きましたよ!ついにD級冒険者にクラスアップしたそうじゃないですか!アルゼンではかなり珍しいスピード出世らしくて、いたるところで噂になってますよ!」

「もう広まってんのかよ!?」

「アルゼン冒険者の間じゃ有名な話ですよ?」


 だからギルドに入ったとき、ジロジロ見られてたのか。

 なんで当事者よりも他の人間のほうが知ってるんだよ。

 ・・・まぁわざと俺達(というよりむしろ俺)に情報をシャットダウンしてたんだろうが。

 警戒しすぎだろ冒険者ギルド。

 その時。


「ヒロ-!これこれこれこれ!これにけってーい!」


 きたよ。一体何を持ってきたんだろうか。

 どうか安全かつ平和な感じでありますように・・・!

 恐る恐る依頼票を覗くと、そこには。


「・・・芋掘り?」

「そう!芋掘り!懐かしくない!?小学校以来じゃない!?やるしか!」


 その依頼票には『農園でのサツミモ掘り 募集ランクE~D 人数たくさん』と書いてある。

 サツミモとはジャパン的に言うならさつまいものことだ。


「お?おぉ?おぉぉ!すごいまともな依頼じゃん!いきなりゴブリンの巣殲滅とかじゃなくて良かったよ。これなら安心だ。グッジョブ!」

「でしょ?やっぱ妹じゃなくて姉でしょ?」


 いや、妹いないから知らんけど。

 なぜこのひとは存在しない妹を目の敵にするんだろうか。病気なんだろうか。


「マリーシアさーん。これってまだ募集してますー?」

「どれですか?・・・ああ、サツミモ掘りですね。やってますよ。お二人がいれば作業もはかどるでしょうから喜ばれますよ!」

「じゃあこれで。」

「承りましたー!」

「あ、じゃあ俺もご一緒するっす!」


 俺とスレイは依頼票にちゃちゃっとサインをする。

 すると、ノエルさんが現れ依頼票を覗き込む。


「結局どうなったんだ?・・・ん?サツミモ掘り?こんなもん受けなくてもいいんじゃないか?」

「エルエルのバカ!エルエルはサツミモのこと、何もわかってない!」


 突然のさきねぇの怒りに、目をパチクリさせしどろもどろになるノエルさん。


「え、す、すまん・・・えっと、どういうことなんだ?」

「・・・さぁ?」

「自分でわからないのに勢いでしゃべるな!」

「わかんないわよ!悪い!?」

「「「開き直るの!?」」」


 完全に混沌と化した依頼カウンターだった。

 周りの冒険者も俺達を恐ろしいものを見る目で見てくる。

 俺をさきねぇと一緒にしないでくれ!頼む!俺は違うんだ!



 とりあえず依頼も受けたので、ギルドを後にする。

 スレイは用事があるということで別れた。


「D級かーなんか実感わかないわー。」

「まぁD級になったからどうにかなるわけでもないしな。せっかくだからD級昇格記念も兼ねてちょっと豪華に食べようか!」

「さんせーい!にくにくにくにくー!にくくいてー!」

「どこぞの海賊かよ。」


 ノエルさんに連れられて通りを歩く。

 そしてお金持ちが住むエリアの中に入っていく。道も整備されており、ゴミひとつ落ちていない。

 うーむ、見るからに『高級住宅街ですけど、なにか?』って感じだ。


「ノ、ノエルさん、こんなとこ通って大丈夫ですか?狙撃とかされないですか?」

「誰にだ・・・?お前達が住んでいた場所はそんなに物騒だったのか?」

「歩いていたらいきなり後ろからバッグを奪われるとか日常茶飯事だったわね。」

「どこの大陸も治安が悪いな。困ったものだ。」


 千葉県のひったくり発生率は日本トップクラスだから、あながち間違っているともいえないのが悔しい。


「よし、ここに入ろうか。」

「こ、ここ!?」「おー!奮発したわねエルエル!」


 そこには、いつもの定食屋とは比べ物にならないほどの荘厳さを誇る建物だった。

 なんかの神殿かと思ってたわ。レストランだったのかよ。


「ノエルさん、俺ら普通の冒険者スタイルですけど、入れるんですか?ドレスコード的に。」

「ここは金さえ払えば人間だろうがドワーフだろうが獣人だろうが浮浪者だろうが受け入れるレストランだ。問題ない。」


 のっしのっしと店に入店するノエルさんとさきねぇ。

 さすが『破軍炎剣バーニングピアス』と『絶対姉姫シスタープリンセス』、なんて堂々とした姿!

 これが天才と凡人の差なのか・・・

 こそこそと後をついてく俺だった。


 テーブルにつき、ノエルさんがウェイターさんに色々話をしている。

 さきねぇはリラックス、というかむしろ『ここ、わたしんちだけど、文句ある?まぁゆっくりしていきなさいよ!』みたいな顔をしてどっかり座っている。

 キョドっているのは俺だけだ。

 小心者なんだよ!こういうとこくんの初めてなんだよ!悪いか!


 それからしばらくして料理が運ばれてくる。

 こ、これは!?


「「しゃぶしゃぶだと!?」」


 うっそ、マジで!?雰囲気的にフレンチっぽいのが出てくると思ってた!

 さすが異世界、場違いのコレジャナイ感半端ないぜ!

 そして、ウェイターさんの言葉にさらに驚愕を覚えることになる。


「当店おすすめのブラックサンダーのしゃぶしゃぶでございます。」

「・・・え?ブ、ブラックサンダー!?」


 これが、俺の戦友のお肉!(第五十五姉・第五十六姉参照)

 戦士の肉を食べることによって、戦士は永遠に俺の中で生き続けるというわけか・・・!


「つまり、そういうわけなんですね!ノエルさん!」

「え、なにが?」


 そういうわけではなかったらしい。


「とりあえず食べましょう!いただきまうす!」

「いただきまうす!」「いただきますの前に精霊王様にお祈りな?」


 寸止めを喰らってぶつぶついいながらも、精霊王に祈りを捧げる。

 さきねぇの大切な思い出の中にいつも俺がいますように、と。


「では食べようか。」

「「いただきまーす!」」


 一斉にしゃぶしゃぶしだす。

 備え付けのよくわからないタレにつけ食べる。


「「ウマッ!?」」

「ちょっとさきねぇ、猪肉って血生臭さというか独特のくせがあるけど、全然ない!『高級豚肉・改』って感じ!」

「独特のコクの中に奥深さがあって、食べ進めるとさらにウマミが出てやばい!神獣麒麟の肉って言われても信じそうね!嘘だけど!」

「さらに、肉と一緒に出されたこの野菜!野菜本来の甘みがぎゅっと凝縮されてて、食べると口の中で一気に解放される!」

「タレもやばいわね!まろやかさと味のキレが同居してるのに、ケンカすることなく見事に融和しているわ!」

「「これぞまさしく、味覚神経を痺れさせる黒き稲妻やー!」」

「・・・お前達、けっこうグルメだな。なんなのそのノリ。」


 行儀が悪いとは思ったが、マジでうまかったため食事中はずっとそんな感じだった。



ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


設定に関する感想いただきました。

考えてはいたけど必要ないだろうから書かなかった設定だったので、ちょっと嬉しかったです(笑

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