第百一姉「わたしたちの故郷の伝統芸能よ?」
新章でございます。が!二話で終わります!(笑
最初は番外編で書いてたんですが、ノリノリで書いたら二倍の文量に。
まぁこんなのもあねおれクオリティ!
今日も今日とてノエルさんとの特訓だ。
異世界にきてからほとんど毎日こなしているので、もはや日課のようなものだ。
最初はノエルの森(仮)を走るだけでバテていた俺だが、今は軽く会話しながら走れるようにはなった。
ちなみにさきねぇはこぶしをきかせながら演歌を歌う余裕すらある。
こぶしをきかせて演歌を歌いながら走る理由はどこにもないが、すごいものはすごいといっておこう。
「ふっ!」「わきが甘い!」
「はっ!」「違う!そうじゃない!」
「はぁ!」「そう、それだ!」
今はさきねぇとノエルさんの特訓(剣)の時間だ。
当初は危ないからダメ!と言われていた剣だが、最近になってやっと扱い方を教えてもらっていた。
教えてもらっていたといっても、もちろん実戦さながらの実技だが。
「よし、今日はこれまでにする。ムラサキ、さっきの一撃は良かったぞ。」
「ふぃ~・・・良かったとかいいつつしっかり防いでんじゃん。私はご立腹よ。」
腰に手をやり、ぷんぷん具合を示すさきねぇ。
・・・かわいい。
「逆に言えば、防がなければ危なかったということだ。この短い時間でよくここまで腕が上がるものだ。」
「ほほぅ!?まぁねまぁね!私はいわゆる1031(テンサイ)だからね!もっと褒めれば褒めるだけ伸びるわよ!腕が。」
「腕が伸びるの!?なんで!?」
姉がゴム人間であるという衝撃の事実が発覚した瞬間だった。
ちなみに、俺もノエルさんと組み手をしており、それなりにマシにはなってきた。
寸止めではあるものの、10分間の乱取りで二十回くらいしか死ななくなってきたからな!
つまり、大体30秒に一回くらい死んでる計算だが、最初は10秒で一殺だったので単純計算で三倍は強くなっているということだ!やったね!
「さて、では戻ろうか。」
「うほうほ!」「は~・・・うほ!うほほ!」
「「うっほー!」」
「何が起こった!?」
突然ゴリラ化し、踊りながら謎の儀式を行いだした姉弟に驚きを隠せないノエルさんだった。
俺も自分で驚いてます。
毎朝恒例の特訓も終わりお風呂で汗を流した後、話をしながら早めの昼食を取る。
話題はさきほどの特訓(剣)の話だ。
「でも、最初の頃と比べてさきねぇもめっちゃ強くなったというか、巧くなったよね。剣の扱い。」
「そうだな、大分上達したな。正直驚いてるぞ。」
「まぁ私は武蔵と小次郎を足して二で割った女といわれてるからね!」
「うん、ごめん、すごさがちょっとよくわからない。」
ノエルさんは『ムサシ?コジロー?』とよくわかってない顔だ。
まぁやつらが異世界トリップでもしてない限り知るはずねーよな。
「そういえば、ラムサスさんも昔はすごい強い剣士だったって話を小耳に挟んだんですけど、どんなもんなんですか?」
「ん?あいつは・・・まぁそこそこだったな。A級の中では中くらいの強さだ。現役を引退した今はもう少し弱くなってるだろうがな。」
「へー、じゃあ私と戦ったらどっちが勝つ?」
さきねぇのその言葉に、フンッという小馬鹿にしたような顔をするノエルさん。
「自意識過剰だぞムラサキ。お前はまだまだA級の領域には達していないよ。B級と戦っても多分負けるぞ。」
「うっそー?私よ?勝てるでしょ!」
『私よ?勝てるでしょ!』ってすごいセリフだなおい。
ビビリでへたれな俺なら口が裂けても言えないわ。
「無理無理。今のムラサキならラムサスとは千回やって一回勝てるかどうかといったところだぞ?」
「つまり、一万回やりゃ一回は勝てるってことでしょ?なら話は簡単じゃない。その一回を一番最初に持って来ればいいだけの話よ。」
・・・か、かっこよすぎる!惚れるわ。俺じゃなくても惚れるわ。一生ついていきます!
「ふむ。たまには私以外の強者とやりあうのも良い経験になるか。身の程もわかるだろうしな。やってみるか。」
「当然!やつのカツラを剥ぎ取ってくれるわ!」
「もし本当にカツラだったらかわいそうだからやめてやれよ・・・」
食事を終え食器洗いや掃除などをすませ、外出準備をする。
アポなしでいきなりラムサスさんのとこにいって『バトルしようぜ!』とか言っても平気なんだろうか。
ポケ○ンじゃあるまいし、そんな簡単に偉い人と試合なんて組めないと思うんだが。
まぁいいか。あの人暇そうだし。
ノエルさんの馬ゴーレム馬車に乗り、一路アルゼンを目指す三人なのだった。
「たのもー!カツラムサス支部長はいるかー!」
「ム、ムラサキさん?どうしたんですかいったい。」
「あー実はですね・・・」
さきねぇの突然の襲来にキョドるマリーシアさんに経緯を説明する。
「なるほど。でも、支部長はそんな暇じゃないと思いますけど・・・」
「まぁダメもとってやつですよ。」
「はぁ・・・わかりました。ちょっと聞いてきますね。」
困ったような顔をしつつも、ラムサスさんに取り次いでくれるマリーシアさん。
なんだかんだいって、この人も優しいよな。
「マリーシアさん、いつもご迷惑かけてすいません。ありがとうございます。」
「!? そ、そんな!いいんですよ別に!ヒイロさんのためなら支部長だって喜んで差し出しますよ!」
それでいいのかギルド職員。完全に私情じゃねぇか。
「あ、で、でも、もしアレなら、今度二人きりでお食事で「スレイー!調子はどうよー。」お願い最後までしゃべらせて!」
「おいマリすけ、さっさとハゲ呼んでこいよ。針千本飲ませるわよ。」
「ヒィィィィ!どうしたらそんな残酷なことを思いつくんですか!?悪魔なんですか!?」
「わたしたちの故郷の伝統芸能よ?」
「え、ヒイロさんたちの故郷って魔境の奥地にある危険な少数部族かなんかなんですか?」
「人によっては。」
「人によっては!?どういうこと!?」
例えばアキバの裏通りなんて普通の人からすれば魔境だしね。
何に使うかよくわからない細かい部品とか大量に置いてあったり。
見てると面白いけどね?
「ほら、早く呼んできてよ。特別にヒロの使用済み靴下あげるから。」
「いや、おかしいだろ。誰がいるんだよそんなもん。ねぇマリーシアさん?」
「・・・・・・」
「おい。目を逸らして黙るなマリーシア。やらんぞこの変態が。」
そんな会話をしていると、奥からラムサスさんが。
「君達はいつも賑やかだね。楽しそうでうらやましい限りだよ。」
「おお、来たかラムサス。今日はお前に用があってな。」
ノエルさんがラムサスさんにさきねぇとの手合わせの話を伝える。
すると。
「いいですね!やりましょう!」
テンション高いな。つーかいつもその辺にいるよな。
もしかしなくても暇なんじゃねーかこの人。
「ラムサスさん、お仕事は大丈夫なんですか?」
「そんなの後回しだよ!いやー久々にちょっとだけ本気だしちゃおっかな!?」
「支部長、いいんですか?」
「僕は冒険者ギルドの支部長だよ?地元の冒険者の鍛錬に付き合うのも仕事のうちさ。」
なんかそれっぽいこといってるけど・・・
「本音は?」
「ちょっと最近ムラサキのナマイキっぷりが目に余るから上下関係ってものを教えてやろうと思ってね!」
「マジ受けるwあまりにあわれすぎて草不可避ww」
「言うじゃねぇかガキ。俺の実力を見せてやるよ・・・!」
にらみ合いながら訓練場に向かう俺達四人。
マリーシアさんは仕事があるのでお留守番だ。
『いや~ん!』とか言ってたけど、さすがに年を考えてほしいな。
「あれ?ここって・・・?」
「ああ、ここは第四訓練場っていってね。職員専用の訓練場なんだ。他より狭いけど、邪魔が入らないからこっちのほうがいいだろう?」
「まぁカツラ支部長がみんなの前で負けちゃったらかわいそうだしね?」
「その言葉、そっくりそのまま返すぞ小娘。」
仲悪いなこの人たち。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
あいつら、なんでゴリラ化したんでしょうね?
もしかしなくてもアホなのかもしれませんね。
書いたの私ですけど。
マリすけは元D級冒険者なので、アレでもアルゼン冒険者の中ではそれなりに上位の戦闘力持ってるんですよね。書いてて気が付きました。全くそんな風に感じませんね!




